俳優・生田斗真、門脇麦が24日、都内で映画『渇水』(監督:髙橋正弥/配給:KADOKAWA)公開直前ティーチインイベントを髙橋監督、 白石和彌プロデューサーとともに開催した。
作家・河林満氏の同名作を、『凶悪』、『日本で一番悪い奴ら』、『孤狼の血 シリーズ』で知られる白石監督初プロデュースで映画化した作品。市の水道局に勤め、水道料金滞納家庭や店舗を回り、料金徴収と、水道を停止する停水執行を担当している岩切俊作(生田)。県内全域で給水制限が発令されるなか、ある日、出逢った育児放棄を受けている幼い姉妹がいる家庭を規則に従い停水を執り行うのだが……。
生田は「撮影は雨でした。先日の上映イベントでも大雨でした。きょうは晴れていて、どうプロモーションしていいか分からなくなりました」と、“雨男”をフックにして本作をPRしようと当て込んでいたと告白し、観客たちを沸かせることに。白石監督はそんな生田へ本イベント直前に、「上映の終わりの曲のときに、(観客の反応を知りたくて)ドアに生田さんがへばりついていました」と、お茶目な一面を暴露し、生田を照れ笑いさせることに。
この日は、観客らからの声に答えていくことに。まずは、本作参加の決め手となったのは?という問いかけに、生田は「日本映画界ですごく面白い脚本があると噂になっていたんです。それが時間をかけて自分のもとに参りました。読んでみると、たくさんの人たちの作品への愛情がふんだんに詰め込まれていて、ただならぬ脚本だったんです。この作品に参加しないと、きっと後悔するだろうなと思って。それで即座に、この作品への参加を決めました」と、流れとともに説明。一方、門脇は「素晴らしい脚本と、白石さんが『門脇さんで』と言って頂いていて、断る理由がないなって」と、期待に応えたそうだ。
続けて、役をどう演じたかへ生田は、「岩切は自分のせいで大切な家族と離れて暮らすことになってしまいます。そこをきっかけに、彼の人生は思考も止まってしまっていて、自分がなんのために働いているのか、どうして人の家の水を止めなきゃいけないのか、どこか痛みを感じないように無理をしている。そういう男の悲しい目というか、独特のオーラが滲み出てくるといいなと思ってやりました」。
撮影現場で印象に残ったことへ、生田も門脇も髙橋監督という。「雨で撮影がストップしちゃった日も、髙橋監督が嬉しそうだったんです。“この作品を撮れている”という雰囲気で、この作品で1番潤っていて。人柄に惚れて進んでいった気がしています」(生田)、「監督の温かい人柄が出ている現場で現場の居心地が良かったです」(門脇)と証言。
それでも、生田は「岩切が何本もタバコを吸って肺がぶっ壊れるかと思いました」というシーンはバッサリ編集で切られてしまったことや、磯村勇斗とアイスを食べるシーンも何度も撮り直し「夏の時期でしたが、頭が痛くなりました。あの時期にはあまりない、震える磯村勇斗がいました」と、妥協のない撮影が行われたことも窺わせることも。そんな髙橋監督へ、「編集でバッサリ切っているところもあって割り切りの良さも映画監督として両目を持っていると感じました」と、監督という視線でも見入ることがあったという。
さらに、印象的だったことへ、生田は門脇のことを挙げ「これまでに会った俳優さんのなかで1番帰るのが早いんです。すごい勢いでメイクを落としたり着替えをされていて。本当に早いんです。清々しいくらい。なんでそんなに早いのか聞いたら、“1秒でも早く帰りたい”と言っていて」と、驚いたそう。それだけに、艶めかしい感じの門脇の演技を目の当たりにしたという生田は、「その撮影の数時間後に走って帰る人とは思えないくらいで」と、ギャップを強調して笑いを誘っていた。
ほかにも、音楽を担当した向井秀徳氏がもともとはワンポイントのインストゥルメンタルで話を進めていたそうだが、向井氏が作品に心動かされて音楽を担当したというエピソード、さらに本作がフィルムカメラで前編撮影されており生田は「1ロールで8分しか撮影できないんです。リミットが来ると、フィルムチェンジの時間があって、待ち時間の間に普段喋らない、撮影部の方や、照明部の方とかと話したりでそれが楽しいんです。フィルム映画を見る機会も少なくなってきているので、フィルムでしか刻めない味なども体験してほしいと思います」と、味の良さを語っていた。
そして門脇から「口コミでじわじわ広がる映画だと思います。いままでやった作品なかで1番難しかったと思っています。本当の良さが伝わってくる映画だと思いますのでよろしくお願いします」と呼びかけると、生田からは、「この映画は本当にエンタメ作品ではないし、心をえぐられるようなシーンもあります。ですが、この映画を観る前と、観た後では少しだけ世界の見え方が違っていると思います」と、メッセージを寄せていた。
映画『渇水』は6月2日より全国公開予定!