俳優・吉岡里帆、松本まりか、音楽ユニット『水曜日のカンパネラ』詩羽が14日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで映画『アイスクリームフィーバー』（監督：千原徹也／配給：パルコ）初日舞台あいさつを千原監督とともに開いた。
作家・川上未映子氏の短編集『愛の夢とか』（講談社）内の『アイスクリーム熱』が原案。吉岡演じる常田菜摘がアルバイトしているアイスクリーム屋を中心に、4人の女性の憧れ、興味、好意、執着などを描く作品。
「映画制作をデザインする」と題し、ートディレクターの視点から構築し、従来の映画製作のやり方にとらわれない手法で挑んでいることも特徴。千原監督は、「初めてのことでしたから1から何も知らないなかで、みなさんに助けてもらいながら、よくここまで来たなと思いました」と万感で、本日劇場でも観たそうで「グッと来ました」と、噛みしめるように語る。
吉岡は本作に出演してみて、「自分には何も無いと思っていた菜摘の部分を、人が埋めてくれるような、そういうロマンティックさを脚本から感じていました。人から掬い上げられる希望的感覚、人とのつながりの尊さを感じながら演じていました」と、感じたことを。
松本は、アイスクリーム屋の近所にある銭湯を唯一の癒しにしている高嶋優役を演じた。「過去に思っている人がいて、複雑な別れ方をして……えっ、言っちゃっていいんですか」と話に熱が入るあまり、ネタバレしかけて千原監督と相談する一幕も。
相談を始める松本
松本によると、元カレを15年引きずっていたが「1歩踏み出さないと行けないと思っているのに、その勇気が出ずに、ダラダラ過ごしてしまううちに、殻が破れなくなってしまう。でも、一歩踏み出してみると、あれっ？と、全然違う世界が見えるようになることがあるんです。こんなに身軽になれるんだって」と、感銘を受けた部分を披露し、千原監督へ「良いシーン描かれていましたね」とたたえていたが、千原監督としては、「どこまでしゃべるんだろって思ってドキドキしてました（笑）」とハラハラしながら見守っていたと話していた。
一方、菜摘のアルバイトの後輩・桑島貴子役を演じた詩羽は、本作が初映画出演となるそうだが「本当に温かくて毎日楽しくて、かけがえなのない毎日を過ごしていたので、いろんな作品につなげて、またここにいるみなさんとご一緒できるようにと思いました」と、雰囲気を語っていた。
イベント中盤には今夏フィーバーしたいことについて質問。吉岡は仕事終わりにサクレというシャーベットアイスを食べることにハマっていることや、松本は「ここ数年フィーバーしてなくて。この夏はフィーバーしたい」と言いつつも具体的なことは考えておらずしばし逡巡した後に「海に行きたいです！」と思いつくと、隣りにいた吉岡と詩羽へ「海一緒に行かない？」と、誘い出し2人もこれに前向きに返答。詩羽は現在2作目となる映画の現場に入っているそうだが、「同世代の子が多いんです。友達ができて。私が最近青春だなと思っているのはボウリングです！」と、まさにいまフィーバー中とのことだった。
そして締めのあいさつとなったが松本は、言いたいことが多いのか感情があふれ涙をぬぐいながら、「自分たちをどうしていいか分からなくて、一生懸命自分を表現するけど、それがうまくいかなかったり批判されたり、そういう世の中になっているかもしれません。でも、この映画では、自分がどんな趣味趣向だったり、どんなファッションだったり、平凡だったり、奇抜だったりしても、それを認めてくれるような映画だと思います。みんなが分かり会えるような世の中になればいいなって思いました」と、熱のこもったスピーチを展開。
吉岡からは「“自分は仕事をやめたら何も残らない”と感じたところからこの物語は始まります。その時、現れた人に、人生を救われるというストーリーが好きなんです。1人では立ち向かえないことでも、誰かとなら立ち向かえるということを感じています」と、メッセージを寄せる。そして、涙した松本を気遣うように、背中に手を回し支えるように会場を後にしていた。
映画『アイスクリームフィーバー』は全国公開中！
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涙する松本
