舞台『クジラの子らは砂上に歌う』公開ゲネプロが24日、東京・渋谷のAiiA 2.5 Theater Tokyoで開かれ、キャスト陣がその仕上がり具合を報道陣に向け披露した。
本作は『月刊ミステリーボニータ』(秋田書店)連載中の人気漫画が原作。2016年に初舞台化され、昨年アニメ化に当たり再演となった作品だ。物語は、砂がすべてを覆いつくす世界・砂の海に浮かぶ巨船“泥クジラ”で暮らす人々の生きざまを描き、生きるとは……、感情とは……など、人間の根源的なテーマを浮かび上がらせる。
この日はゲネプロ前に赤澤燈、前島亜美、財木琢磨、伊万里有、有澤樟太郎、伊崎龍次郎、髙橋果鈴、大野未来、崎山つばさがメディア向けにあいさつ。
初演から引き続きチャクロ役で主演する赤澤は「こうやって初演から、アニメが放送され舞台も再演され、作品が盛り上がっていること。それに、素敵なキャストとスタッフさんたちと再演を作れていることは奇跡的なことだなと思っていて感謝しています」と、感慨深げで「この舞台を初演から背負ってきた身として、初演のメンバーの思いや、ここにいるみんなのためにも、お客さんの“心の記憶”に残るような舞台にしていきたいです」と、意気込んだ。
同じく2年前の初演でリコス役を演じた前島も、「この2年という時間が経って、“クジ砂”へ再び出会えたこと、心からうれしく思っています。この2年で“クジ砂”への愛や思いは本当に深くなりました」と、思いが募っていたという。そのうえで、「みんなの成長を持ち寄って、さらに新しいキャストのみなさんとより深いクジ砂を届けようと、日々稽古をしてきました。過去の死への肯定と未来の死への否定というのをテーマに、観てくださったみなさんが、誰かのことを思うような、素敵な時間にできるようにカンパニーのみんなで頑張りたいと思います」と、メッセージを。
一方、あいさつ前から少々険しい顔をしていた財木は、「いまちょっと脚をつってまして」と、苦笑いしつつ「けがなく大阪公演まで頑張っていきたい」と、痛さを我慢して前を向く。自身が演じるオウニ役へ「泥クジラでヒーロー的存在で、最後まで強く戦っていきたいと思っています」と、気合を入れ直した。
伊万里は財木との戦いもあるということで「財木くんとの戦いは見どころかなと思っています」と、ライバル心を燃やす様子も。さらに、伊万里は「きょう場当たりをしていて、何度もけいこをしていたはずのワンシーンなんですけど、涙したんです。本当にいい作品だなと思っています」と、泣けるシーンがあることもアピールすると有澤も「僕も涙ぐんでしまうシーンがある」と、共感していた。
キャストのあいさつ最後となった崎山は、「みんなが全力で生きていることは間違いありません。1人1人が1から作り上げたり、気持ちのベクトルを細かいところまで作っています。この作品にとって記録というものは大事なので、来て頂いたみなさんも心の記録というものを大事にしてもらえれば」と、呼びかけしっかりとまとめていた。
ゲネプロでは、砂クジラに住む者たちに立ちはだかる過酷な運命を感じさせながらもそれに前を向いて立ち向かう姿をキャスト陣が熱演。照明や音楽も作品の雰囲気をしっかりと支え、演技にもそれが乗ったものとなっていた。ちなみに、あいさつでは脚がつってしまっていた財木も数度の派手な殺陣をしっかりと演じきる気迫を見せ、翌日からの初日へ期待を感じさせる出来を見せていた。
舞台『クジラの子らは砂上に歌う』東京公演は1月25日から28日までAiiA 2.5 Theater Tokyoにて、大阪公演は2月2日から4日までサンケイホールブリーゼにて上演!