『第33回映画祭 TAMA CINEMA FORUM』が今年も11月に開催されることが5日、発表。これにあわせて、『第15回 TAMA映画賞』の受賞作品および、受賞者が発表され、その受賞理由なども明かされた。
『TAMA CINEMA FORUM』は毎年秋に開催する、東京・多摩市民がつくる映画ファンの祭典で、国内映画賞のトップバッターとしても注目を浴びるイベント。今年は11月11日から同26日の期間に各種上映プログラムが東京・多摩市内3会場で上映。一方、『TAMA映画賞』は2009年からスタートし、前年10月から当年9月に一般劇場で公開、作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考しており、「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰するもの。今年は11月25日に『第15回 TAMA映画賞授賞式』が開催されるともしている。
●『第15回 TAMA映画賞』上昇作品および受賞者とその理由
■最優秀作品賞[本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰]
◯『怪物』 (是枝裕和監督及びスタッフ・キャスト一同)【授賞式監督登壇予定】
受賞理由:声に出せない思いを抱えるこどもたちが解放された光溢れる世界を映すことで、「怪物」を生み出す実社会の生きづらさを描き出した。
◯『雑魚どもよ、大志を抱け!』 (足立紳監督及びスタッフ・キャスト一同)【授賞式監督登壇予定】
受賞理由:少年たちは、友の危機にそれぞれの覚悟で立ち向かう。その姿は大人へと成長する逞しさを感じさせ、観る者の胸に熱く迫った。
■特別賞[映画ファンを魅了した事象に対し表彰]
◯宮﨑駿監督及びスタッフ・キャスト一同 (『君たちはどう生きるか』)
受賞理由:溢れ出るイマジネーションと細部のリアリティを表現したアニメーションは、主人公同様観客にも創造の積み木を持ち帰らせてくれた。
◯上田誠氏、山口淳太監督はじめヨーロッパ企画及びスタッフ・キャスト一同(『リバー、流れないでよ』)【上田誠氏およびキャスト登壇予定】
受賞理由:時の牢獄で翻弄される人間模様を、唯一無二のグルーヴと時間 SF の尽きぬアイデアで描き出し、軽妙な笑いと発見の喜びを与えてくれた。
■最優秀男優賞[本年度最も心に残った男優を表彰]
◯佐藤浩市 (『春に散る』『せかいのおきく』『仕掛け人・藤枝梅安 2』『大名倒産』『キングダム運命の炎』『ファミリア』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)【授賞式登壇決定】
受賞理由:俳優・佐藤浩市ならではの滲み出る渋さと颯爽と放つ華が、若手俳優の魅力も最大限引き出し、作品を輝かせ続けている。
◯鈴木亮平 (『エゴイスト』『劇場版 TOKYO MER 走る緊急救命室』)【授賞式登壇決定】
受賞理由:『エゴイスト』において、愛とエゴの狭間で葛藤しながらも献身的に注ぐ愛は繊細で切なく、実在感あるものとして観る者の心に刻まれた。
■最優秀女優賞[本年度最も心に残った女優を表彰]
◯菊地凛子 (『658 ㎞、陽子の旅』)【授賞式登壇決定】
受賞理由:故郷への旅のなかでさまざまな人と出会い、自身の孤独な人生と向き合って、静かに奮い立つ瞬間を表現した。
◯黒木華 (『せかいのおきく』『ヴィレッジ』『映画 イチケイのカラス』『ほつれる』)【授賞式登壇決定】
受賞理由:凛とした所作が美しい武家の娘であり、気っぷがよいおきゃんな娘でもある「おきく」の創出により、爽やかな青春ドラマに昇華させた。
■最優秀新進監督賞[本年度最も飛躍した監督、もしくは顕著な活躍をした新人監督を表彰]
◯福永壮志 監督 (『山女』)【授賞式登壇決定】
受賞理由:村社会を離れ山に入って解放される凛の姿は現代にも通じる。そして自然を前にした人間の弱さと自立する姿を鮮明に描き出した。
◯金子由里奈 監督 (『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』)【授賞式登壇決定】
受賞理由:ぬいぐるみに話しかけ、思慮深く他者と関係を紡ぐ姿を絶妙なバランス感覚で描いた。溢れ出す優しさが私たちに寄り添ってくれた。
■最優秀新進男優賞[本年度最も飛躍した男優、もしくは顕著な活躍をした新人男優を表彰]
◯目黒蓮 (『わたしの幸せな結婚』『月の満ち欠け』)【授賞式登壇決定】
受賞理由:キャラクターを華がある演技でスクリーンに焼き付けて観る者をとりこにし、美世への想いの移ろいを繊細な感情表現で演じきった。
◯奥平大兼 (『君は放課後インソムニア』『ヴィレッジ』『あつい胸さわぎ』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』)【授賞式登壇決定】
受賞理由:物語に溶け込み、役柄を的確に捉える優れたバランス感覚と素直な表現力は、映画の未来を担っていくことを予感させる。
■最優秀新進女優賞[本年度最も飛躍した女優、もしくは顕著な活躍をした新人女優を表彰]
◯山田杏奈 (『山女』)【授賞式登壇決定】
受賞理由:逆境に屈せずに逞しく凛と存り続けた姿に圧倒させられ、その強い眼差しには観客の心を揺さぶるエネルギーを感じた。
◯髙石あかり(『ベイビーわるきゅーれ 2 ベイビー』『Single8』『セフレの品格 決意』『わたしの幸せな結婚』ほか)【授賞式登壇決定】
受賞理由:言葉にせずとも目で訴えかける静の佇まいから抑えきれない感情の抑揚を全身で体現する躍動感まで、変幻自在に役に入り込んだ。