俳優・真木よう子、井浦新、永山瑛太が7日、東京・新宿バルト9で映画『アンダーカレント』(監督:今泉力哉/配給:KADOKAWA)公開記念舞台あいさつを今泉監督とともに開いた。
漫画家・豊田徹也氏の長編同名作が実写映画化。突然夫・悟(永山)が失踪してしまった銭湯「月乃湯」の女主人・かなえ(真木)の前に、「働きたい」と現れた謎の男・堀(井浦)。生活を続けていくなかで、かなえが自分自身にとことん向き合っていき、おだやかな日常に漂う心の奥底(アンダーカレント)に触れた先にある出来事が描かれる。
この日、角膜ヘルペスのため左目に眼帯をしての登場となった真木。公開2日目を迎え上映後の観客たちに「ちょっと怖いというかどうお感じになったのか。作品は、エンターテインメントなものではないので、静かになってしまうかもしれませんが、いろんな感情がぐるぐる胸の中で回っていると思っています」と、作品の雰囲気に沿ったコメントをすると客席から「良かったよ」という声がかかり、「ありがとうございます」と、安どのえみを浮かべながらイベントをスタート。
劇中で自身が忘れられないシーンがあるそう。それはかなえがトラウマになっている幼馴染の女の子とのシーンといい、「思い出すとすごく切ないです」と、しみじみ。
一方、永山は、真木と永山の2人のシーンの大本読みをなぜかそのシーンに出演のない江口のりこも交えて行い、「江口のりこさんは何を感じながら見ているのかなと思いながらでした」と、苦笑い。
さらに、悟役を演じるにあたって、「セリフを体に入れていったときに、どこか共鳴できない部分があって不安を持ったんです。不安を持つと恐怖に変わっていって……。そんなどこか苦しい状態で本番に向き合わなきゃならなくなったんです。でも、本番で、真木ちゃん演じるかなえと向き合ったときに、悟の本質的な部分、どうやって生きてきたというが分かった気がしたんです。表現者であるがゆえに100%理解していないのは恐ろしいですが、理屈ではなく肉体が反応していたので、真木ちゃん演じるかなえが目の前に居て、今泉監督が受け止めてくれたからだと思っています」と、自身の心情の変化を披露。
これに今泉監督は、「大本読みのときに瑛太さんの芝居に不安があったんです」と瑛太が抱いた不安と同じものを抱いたという。そこでスタッフにも相談したそうだが、本番で瑛太は力を発揮すると言われてその言葉を信じて進んだところ、「本番になったときに空気が違っていたんです。肉体で出たというのは納得行くと言う感じでした」と、この場で初めて知ることがあったという。すると真木も、「瑛太のあのシーンは、すごく覚えていてまさかさそんな不安と緊張の中でと思わなくて」とびっくりしたという。
それでも真木はそのシーンの瑛太は「いつもの瑛太だなと思っていて、家族な感じで好きなので、『一発殴っていい』というセリフを言ったときに、瑛太が本気で構えていて、馬鹿だなぁと思って。こんなに愛しているのに殴るわけないじゃんとなって。だからこそ生まれたシーンなのかなって感じています」と、心情とともに流れを語っていた。
ほかにも撮影エピソードとして、井浦が丘の上から景色を眺めるシーンに、「あのロケ地は実家の近くで、僕の友達の家も見えるんです。堀でありながら、子供姿の自分が走っているような気持ちで撮影できて、ギフトを頂いたと思います。あのときの表情は、堀でありながら、井浦新になっていて、お芝居でできないようなシーンになっています。2度目を見る機会があったら、なかなか出来ないお芝居をさせてもらったと感じながら観て頂ければ」と情感たっぷりに話し、観客たちを驚かせていた。
またイベント終盤には、今月15日が真木の41歳の誕生日ということで、サプライズでケーキがプレゼント。41歳の抱負を問われ、「英語をマスターしてハリウッドに行きます」と言い出し、場内をどよめかせる一幕が。すると瑛太が、前日に真木が配信したインスタライブ内にてYou Tubeがやりたいと言った際に瑛太と一緒にどうかという声に対して、瑛太が“つまらない”ため遠慮すると発言したそうで、これには真木も心当たりがあるのか「見ていると思わなくて」と、苦笑い。そこで瑛太は「You Tubeをやるのではなく、ハリウッドに行くために英会話スクールに行ってもらえれば」と、真木と笑い合いながらもきっちり“意趣返し”する一幕もあった。
映画『アンダーカレント』は全国公開中!