劇場版オリジナルアニメ『駒田蒸留所へようこそ』(監督:吉原正行/配給:GAGA)舞台あいさつ付き上映イベントが28日、東京・角川シネマ有楽町にて開催され駒田琉生役・早見沙織、高橋光太郎役・小野賢章、河端朋子役・内田真礼、吉原正行監督が登壇し、司会は藤津亮太氏が務めた。
アニメ制作会社『P.A.WORKS』による“お仕事シリーズ”初のオリジナル長編。ジャパニーズウイスキーを題材に、崖っぷち蒸留所の再起に奮闘する若き女性社長と、夢もやる気もない新米編集者が、家族の絆をつなぐ”幻のウイスキー”復活を目指す物語が描かれている。
以下、公式レポート部分。
ウイスキーを題材に選んだ理由を聞かれると吉原監督は「若者のビフォーアフターの作品を作りたいということで、どういうハコ(設定)がわかりやすいかを考えて、蒸留所を舞台にしました。ウイスキーは成果物が出るために3年、いいものだと10年以上かかります。働いた成果が出るのに時間がかかるので、そこに向き合うためのモチベーションとしていい題材だと思いました」とコメント。
蒸留所へのロケハンも振り返り、「すごく若い方が働いていて、一生懸命説明してくださいました。その夢中になっている姿に感動しました。」と話しました。
続いて、“印象に残ったシーン”について質問が投げかけられ、早見は「1つめは、琉生が社長を務める蒸留所の取材へきた高橋さんとのやり取りです。2人の関係はあることをきっかけに大きく動くことになるのですが、そこにウイスキーも絡んでくるんです。もうひとつは家族の絆を表すようなウイスキーを作るための奮闘。そのなかでの母とのやり取りはとても胸を打ちますので、楽しみにしていただきたいです」、小野は「光太郎はこれまで何となく生きてきた仕事に熱が入らないような青年で、それをよく表しているのが友人に『仕事をやめようかな』と漏らすシーン。仕事のちょっとしたミスで『この仕事向いていないかも』と愚痴をこぼすのですが、居酒屋で聞いたことがあるようなリアルさがありまして(笑)。僕はあまり感じたことがありませんが、みなさんには共感してもらえるかもしれません」、内田は「朋子はとてもよく怒ります(笑)。そして、琉生との友情を感じるシーンが見どころです。会社を守ろうとする熱意があって、そこを感じていただきたいです」とそれぞれに回答しました。
P.A.WORKSで新人育成も担当している吉原監督。「かれこれ20年くらい育成しています。最近は『絵を描きたい』という動機以外で入社を希望する子もいたり、毎年たくさんのことが起こります。彼らの芽が出てくるためにはウイスキーと同じで3年はかかると思うので『こういう成果が出るんだよ』ということを作品でも出せたらと思いました」と本作へ込めた想いを述べました。
“仕事”をキーワードにキャスト3名がトーク。早見は「私の仕事は、今日やったことがすぐに成果として返ってくることはあまりなく、120%注いでもうまくいかなかったり。『あのとき頑張っていてよかったな』と思えるような種まきができればと思います」、小野は「30代になってから、責任感を伴う仕事が増えてきたと感じます。これまでは『楽しい』が先行していましたが、みなさんの前に立たせてもらう機会も増えてきて『作品についてちゃんと語れるようにならないと』と思うようになりました。演じた光太郎の目線でいうと、『知っていくこと』はすごく大事だなと。無知が引き起こすミスは当然ありますし、それをどう乗り越えていくのか?というところが丁寧に描かれていると思います」、内田は「私たちの仕事はスタジオにこもって、人前に出ないことが多いんです。先日東京国際映画祭のレッドカーペットを歩いたのですが、その前は2畳くらいのスタジオでの仕事でした(笑)。作品が世に出て、みなさんに届いていることが感慨深いです。達成感や満足感が得られることの喜びを感じながら、日々仕事をしています」と語りました。
最後は登壇者から
早見「客席に座ってもう一度観たいと思いました。何か胸に残るものがあればと思います」
小野「本作のテーマは『仕事』、『蒸留所の復活』です。光太郎と琉生の仕事に対する向き合い方が丁寧に描かれています。いろいろな方に楽しんでいただけると思いますし『仕事、しんどいけど頑張ってみよう』と思ってもらえると思います」
内田「映画ではいろんな出来事が起こりますが、観終わったあとに清々しい気持ちになる作品だと思いました。楽しみにご覧下さい!」
吉原監督「今晩はウイスキーで乾杯してください(笑)!」
とメッセージが贈られ、イベントは幕を下ろしました。
『駒田蒸留所へようこそ』は11月10日より全国ロードショー予定!