狂言師で俳優・野村萬斎(51)、歌舞伎俳優・市川猿之助(41)らが3日、東京・丸の内TOEIで映画『花戦さ』(監督:篠原哲雄/配給:東映)初日舞台あいさつを開いた。
暴君と化してしまった豊臣秀吉(猿之助)の圧政から町衆を守るため真っ向から秀吉に戦いを挑んだ花僧、初代・池坊専好(萬斎)。一世一代の大勝負で専好が手にしたのは刃(やいば)ではなく、なんと花。その驚くべき対抗の秘策などが描かれる。
舞台には萬斎、猿之助以外にも中井貴一(55)、佐々木蔵之介(49)、佐藤浩市(56)、山内圭哉(45)、和田正人(37)、森川葵(21)、吉田栄作(48)と初日らしい豪華キャストに加え篠原監督(55)も加え、華やかなものに。
劇中の岐阜城のシーンは萬斎、猿之助、中井、佐々木、佐藤が勢ぞろいするという豪華な顔ぶれだそうで、萬斎は「ロイヤルストレートフラッシュがそろったと思います(笑)。みんなが割合、京都弁に慣れようとしていたので、僕も無理やり参入しようかなと戸惑っていました」とお茶目に話しつつ、「撮影中は緊迫感があります」と、刺激的な現場だったと明かす。それだけに、中井は「このメンバーだから1日で撮影が終わったんだと思います。いろんなところから来た異種格闘技戦だったんで」と、しみじみ。
猿之助によると、撮影現場は「花のインパクトはすごかったですね。花って生き物ですからそれを枯れさせないようにするスタッフさんの努力がすごいと思いました」と、花への扱いに感じ入るものがあり、佐藤も、「僕は浅い知識で、花を周り込んで観たんですけど、『花は正面から観るものなんだ』と言われまして、演技を変えました」と、勉強にもなったそう。
そんななか和田が、「見どころしかない作品だと思いました。千利休(佐藤)が専好さんに茶を点てるというシーンがあったんですが、緊張感あるやりとりに、本物が乗り移ったんじゃないかと思うくらい迫力あるシーンでした。佐藤浩市さんがその後にコーヒーを飲んでまして個人的に印象的でした。お茶じゃないんだって」と、裏話を暴露すると佐々木も「コーヒーを飲むのも黒楽茶碗じゃなくて紙コップかーい!って思って」と、ツッコんで場内を和ませる。
続く森川が、「みなさんと初日を迎えられて……」といったところで、考えてきたコメントをど忘れして、5秒ほど思い悩みつつ、思い出せてパッと笑顔になり「たくさん笑いましたし泣きました。私は21歳なんですけど、高校生の方でも楽しめる作品だと思います!」と、オススメしていた。
司会からは、佐藤と萬斎に、文化を担うものとして分かり合えることはあるかという質問をすると佐藤は「この人の前で文化・伝統を語れないでしょ!」と苦笑いだったが、萬斎は「役柄でひっかけていうなら正反対なところがいいのでは。まともにやれない役も多いですし、受け止めて頂ける方がいるのは幸せだったなと思います」と、うまく返す一幕も。
ほかにも、作品にかけそれぞれ壁にぶつかったときに難題を乗り越えるためにしていることへ質問が挙がり、萬斎は、「昔はエレキギターを爆音で弾くということをしていました。いはまは、やらないですけど、モノマネしたりして遊んでますね」と、意外な一面を見せたり、猿之助は「寝ますね。悲しいときも、嬉しいときも寝ると薄らぐんです。ですから、とりあえず寝ます」とも。
さらに、中井は「滝に打たれます……ウソですよ(笑)。ぶつかったときに、壁のことばかり考えてしまうので、引いて壁をみるとどこかに抜け穴があるのでそのようにしています」と、大人な意見を出したり、佐藤はかつて動物園に通ったこと、山内と和田は酒、吉田は旅行などさまざまに挙がる。そこで、森川が、「いま仕事いう壁にぶつかっているので、ギターを弾くとか、滝に打たれるとか、参考にしてどうにか乗り越えられるように頑張ってみます!」と、意気込んだが山内から滝はウソだったからとツッコミを受けはにかみ、笑いを誘っていた。
映画『花戦さ』は3日より全国公開中!