庵野秀明監督 少年時代の着眼点鋭さ窺わせる!『ウルトラセブン』魅力熱弁

庵野秀明監督 少年時代の着眼点鋭さ窺わせる!『ウルトラセブン』魅力熱弁1

 庵野秀明監督が17日、東京・池袋のTOHO シネマズ池袋で『円谷映画祭 2023』Part1 公開記念トークイベントに登壇した。

 人気コンテンツ『ウルトラマン』をはじめとした特撮作品を世に送り出してきた円谷プロダクションが、創立60周年を記念し、同社の代表的な作品をセレクトして上映する『円谷映画祭2023』を17日から30日まで<Part1>、12月1日から同14日に<Part2>として上映。この作品を庵野監督がセレクションしており、<Part1>では昨年2022年に放送開始55周年となった『ウルトラセブン』の4K上映、<Part2>では今年放送開始50周年の『ウルトラマンタロウ』の特別上映を予定している。

 上映後観客たちから拍手が寄せられるなか、トークショーが開催。登壇するなりスクリーンの方を向くと上映館の画面比が4対3となっていることを気にする、らしさ全開なところからトークをスタート。

 小学校低学年のときに『ウルトラセブン』を体験したという庵野監督。当時、「(TVが)モノクロのブラウン管なのでなんか黒っぽい人が動いているなって感じてました。前にやっていた『ウルトラマン』と違うというのは感じていました」という印象だったのだとか。

 『ウルトラセブン』の好きな部分へは、「登場したときは等身大で相手が大きくなったら大きくなるとか。人間と同じ大きさが普通なんだというのが子供の時、衝撃でした。1話の最後は山の向こうで巨大化していたし、人間と同じ大きさで活躍していて大きくならないんだって驚きました」という魅力があるという。

 さらに、「組織があって、防衛軍の組織が存在して、宇宙人が攻めてくるのが毎回あって。侵略をテーマにして惹かれたのはセブンからかな。東映さんも『キャプテンウルトラ』という作品を作っていますが、それは宇宙でのことでしたし、『ウルトラセブン』は地球に来てくれるので、すごく腑に落ちて観ていた気がしています。(心のなかで)1番大きいものと言われると『ウルトラマン』になっちゃうんですが、『ウルトラセブン』はそれを外そう、外そうというスタッフの方たちの苦悩が感じられて良いなと思うんです」と、作り手の想いを掬っての部分も語っていた。

 幼少の頃に観るのと、大きくなって観るのと印象も違うという庵野監督。「子供のころは正直不満だったんです。けど大学生になるとこれが良かったんだと気が付きました」と、膝をパンと叩いて得心するような部分があったといい、「セブンの良さは年をちょっと取らないと」と、魅力が分かる部分があるという。

 続けて、「押井守はその頃、中学生だったんです。中学生がなんで見るんだと。小学校低学年だったら分かるんですけど……というくらい『ウルトラセブン』に魅力があったんだと思います」と、分析も。

 トークでは庵野監督の観察眼の鋭さを感じさせるエピソードが連発。ウルトラセブンの「構え方が違っていて」「セブンがちょっと大きいなとか」といい高校生になってから調べたそうで「中に入っている人が違うなと思ったんです。構え方がグーじゃないなと思って。そういうところばっかり見てました」と、着眼点を語ったり、主人公のモロボシ・ダンが女性に弱いことを「ちょっと本人に問題あるんじゃないかなって」と、イジり倒して笑いを誘った。

 最後に「ウルトラシリーズは本当に面白いんです。ティガ以降観てませんが(苦笑)。(円谷プロは)ウルトラシリーズ以外でも面白いものもやっています。『ミラーマン』も面白いです。ダメな回もありますけど面白い回もありますし、『ファイアーマン』も……当たりの回は少ないですが(笑)」と、円谷愛あふれるコメントで観客たちを聴き入らせるなか、イベントを終えていた。

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椅子に座るのに微調整する庵野監督