劇場アニメーション『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』(監督:増井壮一/配給:アニプレックス)完成披露上映会が26日、東京・新宿バルト9で開かれ梓川咲太役の石川界人、桜島麻衣役の瀬戸麻沙美、梓川花楓役の久保ユリカ、古賀朋絵役の東山奈央、双葉理央役の種﨑敦美が登壇し、司会はお笑いコンビ『天津』向清太朗が務めた。
作家・鴨志田一氏の“青ブタ”の略称で親しまれる『青春ブタ野郎』シリーズが原作。空と海が輝く現代日本に似た“藤沢”で、思春期に発症し不思議な出来事が起こる“思春期症候群”なる病が存在する世界が舞台。2018年10月より原作第1巻から第5巻までを描いたTVアニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を観ない』が放送。高校2年生の主人公・咲太や先輩で恋人・麻衣たちが“思春期症候群”によって引き起こされる騒動とそのてん末を、キャラクターたちの揺れ動く巧みな心理描写とともに描き興行収入5億円を突破するほどの人気を博した。本作は今年6月に公開となった『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』のその後を描き、高校生編完結を彩る作品となってる。
【前編(石川界人「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」台本は涙ながらに読んだ)より】
上映前のイベントとなり5人はそれぞれキャラクターを連想させるような色を取り入れた衣装で登壇。石川は観客たちに「これからご覧になる?よろしいか。心して観てください」と、何やらただならぬ雰囲気。種﨑に至ってはネタバレした話ができないこともあり、どうやって話したら良いのか分からなくなってしまったのか“オーバーヒート”したようなリアクションをとり、相当にネタバレなしの話が難しい様子を窺わせることに。
その難しそうな本作を紐解く鍵のような話を展開したのは瀬戸。咲太の魅力をトークすることになった際に、「観てみての私の気持ちも混ぜてお話します。絵が素晴らしい音が素晴らしいと、私が話せる立場ではないですが、本当にそれが素晴らしいすぎて隙がないんです。だからこそ、物語に集中できるんです。咲太の物語が軸に描かれているので、咲太の心情にすべてが寄り添っていて……音楽も映像も表情も全部が咲太に寄り添っていて……だから、私には咲太の魅力を見えたはずなんです」と、ここまでが前提という。
会場内には“咲太の魅力は結局どこなんだ?”というような雰囲気が漂ったが、ここで瀬戸が「きょうの台本に書いてたから2つ考えてきたのに忘れちゃった(苦笑)」とまさかの展開に観客もキャストもずっこけかけ瀬戸は「でも、さっきのプロセスが本当に大事で伝えたかったんです」と、苦笑い。
そこで話が止まるかと思われたが、瀬戸は「咲太本人は無自覚だし、しようと思ってしてる部分としようと思ってしてない部分があるんです。気づけてないところもある相手想いというか、家族想いなところです」と、なんとか話を着地させる。一見、一般論のように聴こえる、このコメントだったが、石川によると「観たこちら側からすると、“おおっ!!”て、なるものでした。確かにって思いました。以上です」と、相当に核心を突いたものだそう。
この瀬戸のコメントに衝撃を受けていたのが種﨑。イベントの締めにという流れを切るほどに興奮しており「瀬戸ちゃんの話を聞いて、謎がすべて解けたと思ったんです!!」と、身を乗り出す。その気持ちのあまりの前面への出しっぷりに、4人は思わず身を乗り出したうえ、東山にいたってはその場で少しぴょんと飛び跳ねるほどで、観客たちの視線も種﨑に集まる状況に。
種﨑はそれらの圧にジリジリと後ずさりながら、「いままで魅力的に見えていたヒロインが、みんなより魅力的に見えて愛しく思えて、その(咲太の)目線だったからなんだって思って」と言い切り、これには4人も我が意を得たりといった様子で思わず「おおっ!!!」との声があがり、向も「いまのことは覚えておいてください。良いことを言っていると思います」と、チェックポイントになっていると話していた。
そして石川から、「ポップに上映会のトークショーをしましたが、いろいろ考えさせられる内容になっています。考えながら観ると、より楽しめる内容です。僕らのお芝居もそうですが、音楽であったり音であったり絵の芝居、1つ1つの表情に何かしらに意味があって全ての伏線になっているので、小さな違和感を大事にして観て頂くとクライマックスが深いものに感じる、構成がかなりしっかりした映画になっていると思います。これはこうなのかな?という疑問とか感性を持ち帰ってもらえると思います。自分の気持ちと向き合いながら観て頂ければと思っています」とメッセージを寄せ、“青ブタ”イベントおなじみの楽曲『不可思議のカルテ』に乗せて舞台を降りていた。
『青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない』は12月1日より公開予定!