俳優・綾野剛が12日、都内ユナイテッド・シネマ豊洲で主演映画『カラオケ行こ!』(監督:山下敦弘/配給:KADOKAWA)初日舞台あいさつを、俳優・齋藤潤、芳根京子、橋本じゅん、やべきょうすけ、チャンス大城、坂井真紀、北村一輝、山下監督とともに開いた。
漫画家・和山やま氏の1巻完結ながら累計60万部を突破している人気作を実写映画化。ヤクザの成田狂児(綾野)が組主催のカラオケ大会で最下位にならないために、中学3年生の合唱部部長・岡聡実(齋藤)に歌のレッスンを乞うことになったことから巻き起こるコメディが描かれる。
狂児はロックバンド『X JAPAN』の楽曲『紅』が十八番という設定で、同楽曲は本作主題歌にもなっており、この日もアレンジされた同楽曲に乗せてキャスト陣が登場。『紅』にあわせて本日のコーデはそれぞれ紅をワンポイントに入れてのもので、綾野は胸元に洒落た赤いハンカチをさしてのものに。
初日を迎えて「とにかく嬉しいです。この映画はたおやかで優しい作品です。青春っていろん形があると思うんです。楽しいだけじゃなく、甘酸っぱい部分とかストーリーテリングをしていたと思うんです。1周まわってある種の優しさみたいなものが作品を包み込んでいる感じがして。齋藤潤くんの成長や実寸台のものを焼き付けようという集まった、みなさんの熱がこの作品のカラーになっていると思います」と、紹介を交えて心情を。
齋藤と共演してみて、綾野は「一緒の船に乗って、一緒にそれを漕いで、みんな一員となって向き合いました。彼はあらゆることから目を背けずにやっていたんです。設定上、劇中1時間くらいまではヤクザと中学生ですから、噛み合ってはいけないという話のもとだったんです。現場では2人でいる空間に慣れないようにと思っていましたし、カラオケのセットにはいっているときは 違和感もありました。そういう関係性だったために、手応えを感じられなかったと思いますので不安だったと思います。それを最後までやり遂げられてて嬉しくなって」と、目を細める。
これを聞いて齋藤は「噛み合っちゃいけないというのも、自分が理解できないくらい難易度が高かったなって感じていました」と、確かに不安を感じていたことを吐露し、綾野も労うような笑みを向けていた。
カラオケのジャッジをする北村へはキャストのなかで誰が1番歌が下手だったのかを質問。北村は「みなさんがうまいんです」と、お茶を濁しつつ、「好き勝手やる橋本じゅんさん」と、橋本がアドリブが多いと言い出す。しかし、橋本はこれに筋道を立てて反論をはじめ、「一言一句台本と違えずにやってるんです。それに北村さんとは同じ時間を過ごすことが少なかったので、僕のこと見てないはずなんです!」と、食い違いが……。
綾野も橋本がアドリブをしていた疑惑があるといい「ダンスをしていたところです」と話したが、これにも橋本は「監督から衣装合わせのときに踊ってほしいと言われたからやったんです。そのためにダンサーの方から習って2日間スタジオを借りて練習したんです。それで本番で見せたら、監督から『できすぎちゃってるんだよなぁ』の一言でカットされたんです」と、まさかのクオリティーの高さで公開の日の目を見なかったと暴露し、これには綾野一同目を丸くして驚いていた。
ほかにも、綾野は『紅』を熱唱しているそうだが、「情念を込めて歌っておりました。叫んで驚かせてすみませんでした。本当に情念を込めてました」と、相当に力が入っていたのか2度同じことを言うほど。ちなみに『紅』を歌唱するときの狂児は「絶対にジャケット着るんです。山下監督から『それは必要かな?』と言われましたが、必要ですと言って」と、スイッチが入る小道具のようだった。
イベント終盤には、歌を歌う作品ということで、この日はマイク型クラッカーが用意され、それを派手にぶっ放すと主題歌『紅』にちなんだ紅色のテープが飛び交う華やかな雰囲気に。その後、綾野らからコメントがある予定だったが、橋本、やべ、チャンスはその流れを知らなかったようで、さっさと降壇しようとして、綾野が急いで引き止める、コメディもある本作らしい、ほんわかした笑いが起こる一幕も。
そして、綾野から「この作品に出会ってくださって心から感謝しています。青山先生の原作を預けて頂いて、漫画原作の難しさを感じていました。脚本家の方が書かれたものが素晴らしくて現実と映画の融合がありました。その中で、現場でわれわれがどのように生きていくか明確に描かれていて、瞬間瞬間を楽しんでいて。それ以上にみなさん真剣に音楽に向き合い、みんなが齋藤潤くんに向き合って完成させてました。観ていただけたら」と、熱を込めたコメントでイベントを締めくくっていた。
映画『カラオケ行こ!』は公開中!