東宝が明治座と貸館契約!2025年3月市村正親主演「屋根の上のヴァイオリン弾き」上演へ

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 2025年2月をもって再開発のために一時休館となる東京・帝国劇場。同劇場を有する東宝株式会社演劇部が株式会社明治座と複数年、ならびに複数月にわたる貸館契約を締結したことが5月15日に発表となった。

 明治座といえば、創業150年を超える日本有数の名門劇場として知られている。今回の締結へ東宝株式会社側は、「明治座様のこの度の格別なご高配に、この場をお借りして心より御礼申し上げます」と感謝のメッセージを寄せるとともに、「この度のご協力により、相互の知見を相乗的に高め合い、より一層お客様に楽しんでいただけるよう、さらに演劇製作興行に邁進する所存でございます」とコメントしている。

 あわせて2025年3月に明治座でミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』(日本版演出:寺﨑秀臣)を上演することもアナウンス。同ミュージカルは、1964年にブロードウェイで上演され、トニー賞ミュージカル部門の最優秀作品賞、脚本賞、作曲賞など7つもの賞を獲得。日本では1967年秋に帝国劇場で日本初演となり、森繁久彌のテヴィエ、越路吹雪のゴールデ以下、豪華キャストが顔を揃え、その後の再演を含め、森繁テヴィエは通算上演900回を達成し、有終の美を飾った。1994年の再演からは西田敏行がテヴィエ役を。2004年からは2006年、2009年、2013年、2017年、2021年と市村正親がテヴィエ役を演じ半世紀以上にわたり連綿と受け継がれてきた不朽の名作として知られている。

 2025年3月公演も市村がテヴィエ役を演じ7演目の公演。相手役の妻・ゴールデは、市村にして“最強の女房”と言わしめた鳳蘭が、2009年以来の「名コンビ」で送る。長女・ツァイテル役には美弥るりか。次女・ホーデル役には前回の2021年から唯月ふうかが続投。三女・チャヴァ役には大森未来衣。長女と相思相愛だが貧乏な仕立屋・モーテル役には上口耕平。次女・ホーデルと恋に落ちる学生・パーチック役には内藤大希。三女・チャヴァと駆け落ちするロシア人青年・フョートカには2017年、2021年に引き続き神田恭兵。娘の歳ほど差がある長女・ツァイテルとの結婚を望む金持ちの肉屋・ラザール役には2017年以来、久々に今井清隆がキャスティングされている。

 今回の発表にあわせ市村からは、「明治座は西村晃さんの付き人時代に、三木のり平さんのお芝居で2度ほど出演しています。ただ、新しい劇場になってからは機会がなかったので、ついに明治座に登場か!という気持ちです。初めて出演した時は“町人その1”のような役でしたが、時を経て、『屋根の上のヴァイオリン弾き』で明治座に乗り込むことができます。人形町の食べどころも楽しみにしています!明治座をこよなく愛しているお客さまに、素敵な作品の『屋根の上のヴァイオリン弾き』をお届けいたしますので楽しみに待っていてください」と、メッセージを。

 鳳からは作品へ「今の時代に失われつつある、家族の強い絆と愛情、近隣で暮らす人達との交流と友情、その様な人が生きていく上で支えとなる大切なものがギュッと詰まったミュージカルが『屋根の上のヴァイオリン弾き』です。私はこの公演で5回目のゴールデです」とのコメントともに、明治座での上演にも言及し「今回明治座での上演ということで、初めての劇場ですので、心も新たに市村パパに寄り添って、愛と優しさと可愛さのある、ちょっぴり口うるさいゴールデを演じたいと思います」としている。

 ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』東京公演は2025年3月に明治座にて。以降4月に富山・愛知・静岡・大阪、5月から6月1日にかけ広島・福岡・宮城・埼玉とそれぞれ全国ツアーを予定している。

 ■STORY
 1905年― 帝政ロシアの時代、アナテフカという寒村で酪農業を営むお人好しで働き者のテヴィエ(市村正親)は、信心深くて、楽天家で、25年連れ添っている妻のゴールデ(鳳 蘭)には頭が上がらないが、5人の娘たちを可愛がり、貧しいながらも幸せな日々を送っていた。
 長女のツァイテル(美弥るりか)、次女のホーデル(唯月ふうか)、三女のチャヴァ(大森未来衣)ら年頃の娘たちの今の最大の関心事は、自分たちの結婚について。今日も村に住む世話焼きのイエンテが、ツァイテルに縁談を持ってきている。娘たちは気もそぞろ。娘たちにとっても、姉さんが早く結婚を決めてくれないと、自分たちに順番が回ってこないからだ。だが一方、ユダヤの厳格な戒律と“しきたり”に倣い、両親の祝福が無ければ結婚は許されない。
 そんなある日、金持ちで肉屋のラザール(今井清隆)からツァイテルを後妻に迎えたいと申し出を受けたテヴィエは、酔った勢いでついつい結婚に同意してしまう。長女の結婚相手が見つかったことで妻のゴールデも大いに喜んだが、当のツァイテル本人には仕立屋のモーテル(上口耕平)という相思相愛の存在があった。ツァイテルとモーテルの熱意に心を動かされたテヴィエは、ついに若い二人の結婚に同意する。が、結婚の許しを同時に二つも出してしまったテヴィエ、ゴールデやラザールに何と切り出せば良いのやら…。
 さらには、次女ホーデルは革命を志す学生のパーチック(内藤大希)を追ってシベリアへ旅立ち、三女のチャヴァはロシア人学生のフョートカ(神田恭兵)と結婚したいと言い出し駆け落ち同然で家を飛び出す始末。そしてテヴィエ一家にも、革命の足音と共に、故郷を追われる日が刻々と迫っていたのだ――。