福士蒼汰 浅野忠信に「シビレました」や松本まりか涙ながらに“懺悔”と“生き方”と

福士蒼汰 浅野忠信に「シビレました」や松本まりか涙ながらに“懺悔”と“生き方”と6

(撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ)

 俳優・福士蒼汰、松本まりか、三田佳子、浅野忠信が5月18日に東京・TOHOシネマズ日比谷で映画『湖の女たち』(監督:大森立嗣/配給:東京テアトル、ヨアケ)公開記念舞台あいさつを大森監督とともに開いた。

 作家・吉田修一氏の作品が原作。ある殺人事件が、恐るべき真実を暴き出す――。福士は事件に挑む刑事・濱中圭介役を。事件が起きた施設の介護士・豊田佳代役を演じた松本。圭介と佳代の、一心不乱に互いを求めて貪り合うその姿や「今、世界は美しいのだろうか」という問いの答えを描いている。

 上映後にスーツ姿で登場した福士。暗いトーンの作品のようで「複雑な心境を持っている青年ですが、普段の僕は明るい感じなので安心してイベントを楽しんでもらえれば」と爽やかな笑顔を浮かべれば、松本は「撮ってから公開されるのがすごく恐くもありました。とても個人的ですが。SNSをまだ見ていない作品です。自分のなかでどう表現したらいいのか、すごく難しいというか……。でも、本当にこの作品は私にとって人生のなかでとっても大切な作品です」と、思い入れの深さを窺わせる。

 福士も松本と同じく「上映後初めてなのですが、みんながどう思っているのんだろうということは気になっています。濱中圭介という役をどう思ってもらえたんだろうって。佳代との2人のインモラルな関係性がありますし、1人1人に感想をお聴きたいくらいです」と、感想が気になるそう。

 松本は本作を撮り終えた瞬間に、女優をやめようと思ったというほど追い込まれたという作品だそうで、「この作品をやっているときはきつかったです。出口が見えないし答えも分からないし。大森監督は答えのわかっていない私をただひたすら、信頼し続けてくれました。ここまで覚悟を持って役者を、作品を、クルーを、信頼するのはどういうことなのかということを体感しました。撮影が終わって1年半経って、監督があのとき自分を信じ切るということを私はいまやろうとしています。そんななかで、作品に関われた日々を考えることがあって、本当に美しいものを美しいと思えるようになったとか、信頼することの美しさを考えるようになったりとか。生きるうえで大事なものを教えてもらいました。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』という作品を見たときと同じ感覚になりました、すごく暗くて混沌としていて、そういう世界のなかでほんとうの意味で美しいものというのが、見えてくるような気がしています」と、心境を次々と話し続けた。

 浅野は本作で圭介をパワハラする先輩刑事・伊佐美役を演じた。なぜこの作品のオファーを受けたのかへ「福士くんを痛めつけられるから」と、冗談めかして笑いを誘いつつ、本心としては、「こうした関係性での、福士くんとの共演が楽しみだったんです」と笑みを浮かべる。

 これを聞いて福士は「シビレました。一緒にお芝居をさせてもらって、監督からもいろいろお芝居の指導を頂きつつ、脊椎反射でするようにして臨んだんです。それを体現し慣れているのが浅野さんだったんです。目の前にその存在がいるので、毎日毎日少しずつでもいいから吸収していこうと思って」と、その背中を追い続けたと話していた。

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涙をぬぐう松本

 イベント後半には吉田氏からの手紙が寄せられ、司会から読み上げられることに。福士、松本の熱演をたたえる言葉たちに、福士は「自分の未熟さを実感しちゃうんです。素直に受け入れたいと思うんですけど、役者として多く変わりましたし、人としての物事の捉え方、言葉の扱い方が変わってく感じがして。だから、役者をやるって素敵だなって感じて。役者を続けていくと、こういうふうに綺麗な景色を見られるようになるんだと思って続けていきたいと思いました。吉田さんありがとうございます」と、自身の役者・プライベートともにとても影響を受けたとしみじみ。

 松本は約30秒ほど無言となり静かに涙を流し、観客たちも見守る様子が。そして心を落ち着かせると、ぽつぽつと言葉を紡ぎ始めた。

 「この作品を受けたこと事態、非常に罪深いことをしたという気持ちでした。自分には正直やりきれない、この役を体現するには自分はあまりにも未熟すぎました。人間性も芝居も。だけど、私は大森監督ので吉田さんの作品をどうしてもやりたかった。自分に必要な作品だったから、この世の中に自分で自分の欲求だけでやりたいと思いました。罪深いことをしたなと思って。その後に、試写会のときに吉田さんから、お言葉を頂いたときに、さらにその罪深さが増したなと思いました。でも、吉田さんが思って頂いたことには私にとって救いでした。自分が影響力を持つ仕事をしているという自覚。安易に言葉にしないということを意識して、本当に大事に生きていかないと行けないなと思いました。安易な言葉を使っているつもりはありませんが、自分から出てくる表現が嘘なく、美しものであり続けたい」

 と、懺悔するかのような、生き方を模索するかのようなコメントを寄せ観客たちはこのコメントを静かに聴き入っていた。

 そして福士から「この映画はいろんな要素が詰まっています。みなさんがどういう思いにあるのかわからないと思っています。僕、自身の話だと、個人的に大森監督に演出してもらって、自分の中の心の使い方がガラッと変わって浅野さんに近づいていけば良いんだと感じました。そして、何より、松本さんが佳代としていてくれたことが大きくて、撮影中は一切話さないということをやり通しました。キャンペーンや舞台あいさつを通して不器用だけど熱いものをめちゃくちゃ持っている人だって感じたんです。話しだしたら話が止まらなくなる。それがこの人が持っているエネルギーで、それが溜まっていくんでしょうね。それが見える瞬間が美しいなって」というと、松本は「この1ヶ月半の(プロモーションを通して)そう言ってもらえて、本当によかったです」と、つかえていたものが晴れたと笑みを見せていた。

 映画『湖の女たち』は公開中!

 取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ

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隣の三田の立ち位置を気遣う福士

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階段では手を取る紳士ぶり

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階段では手を取る紳士ぶり

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浅野にもやろうとして笑い合う