アニメーション『劇場版モノノ怪 唐傘』(監督:中村健治/配給:ツインエンジン ギグリーボックス)公開記念舞台あいさつが7月27日に都内で開かれ薬売り役・神谷浩史、アサ役・黒沢ともよ、北川役・花澤香菜、三郎丸役・梶裕貴、平基役・福山潤、主題歌『Love Sick』を務めたアイナ・ジ・エンド、中村監督が登壇した。
『モノノ怪』は、2006年に異例の高視聴率を記録した『怪~ayakashi~』の一編「化猫」から派生し、2007年に放送されたTVアニメシリーズ。謎の男・薬売りが、人の情念や怨念が取り憑いたモノノ怪が引き起こす怪異を鎮めるため、諸国を巡るという物語。「個を殺し集団に染まることを強いられる生き辛さ」というテーマで描いている。
以下、公式レポート部分。
謎の存在・薬売りを演じた神谷は「本日はよろしくお願いいたします!」と超満員の会場に向けてハキハキと挨拶。見どころの一つである薬売りと唐傘のバトルシーンについて尋ねられると「僕はアクションに声を入れるのが好きですが、薬売りは滅茶苦茶強いので『フッ!』とか『ハッ!』とか声を入れると弱く見える。なので今回はアクション時の声は封印して、絵の魅力にお任せしました」と工夫を明かした。
大奥でキャリアアップを図る新人女中・アサを演じた黒沢は「キャリアアップを頑張りました!」と笑顔を弾けさせながら「人間関係において写実的かつ肉感的な描写もあればファンタジックな描写もあるので、その匙加減は監督の顔色をうかがいながら演じました。薬売りさんが神儀の姿に変わってからは空間の歪みが半端ないので、その距離感の取り方には苦労しました」と収録を振り返った。
アサの憧れの職位「御祐筆」を担う北川役の花澤は、謎めいた役どころだけに「映画が公開されて、やっと色々なことが喋れます!」とネタバレ OK トークに喜色満面。黒沢とのアフレコを振り返って「ともよちゃんとは普段から親しくしているのでウキウキで現場に行きましたが、北川はこの世のモノではないのでアサと会話してるように見えないよう、不気味さを意識しました」と熱演報告。
これに黒沢が「いつもの優しい香菜ちゃんがいなくて寂しい気持ちになりながら…」とショボンとすると、花澤は「でも一緒に芋けんぴ食べたよね?」と明かして、黒沢は「そうそう!香菜ちゃんが美味しい芋けんぴを買ってきてくれて、芋けんぴを齧りながら収録しました」と思い出して笑った。
大奥に派遣されたお目付け役・三郎丸役の梶は、本作の魅力について「視覚的にも聴覚的にも中村監督の世界観が詰め込まれている。カット割りも個性的でそこも大好きなポイントの一つ」と分析し「『モノノ怪』シリーズは憧れの作品だったので、そこに声優として参加が出来て嬉しかった」と喜んだ。
三郎丸の同僚で女好きのお調子者・平基役の福山は「大事なことはほとんど梶君が言ってくれているので、僕はそんな収録を見ながらどえらいカット数だなとか、中村監督のディレクションや梶君の真剣さをヘラヘラと見ていました」と冗談を飛ばしていた。
主題歌担当のアイナ・ジ・エンドは「非現実的なストーリーなのに、実際に目の前で起こっているかのように物語が進んでいった。それは声優さんのパワーで声色に命が宿っているから。こんなに面白い作品はないと思って瞬きするのも惜しかった」と絶賛。これに中村監督は「エンディングも MV も何度も観
ています!」と大喜びで、アイナ・ジ・エンドから「舞台挨拶前に監督から『MV の再生回数は俺に任せてください!』と言われました」と暴露されていた。
そんな主題歌「Love Sick」についてアイナ・ジ・エンドは「女の情念や恨みを芽生えさせた状態でありながら、とてもピュアな人間として歌いたいと思った。泥臭くなり過ぎないよう、でも透明感のある所は保ちつつ、シャカリキではなく冷静さもありながら、そのバランスを意識しながら歌うのが難しかった」とこだわった。
中村監督は「もう見抜かれていると思った。だからこんなにも作品に主題歌がハマったのかと……。今日もMVを再生します!」と宣言していた。
念願の劇場公開に中村監督は「公開を無事に迎えて万感の思いよりも、緊張しすぎて映画公開日から眠れません。今もボーッとしています」と率直な心境を吐露。第2章の製作も明かされたばかりだが、進捗状況について神谷は「実は明日収録です!無茶苦茶なスケジュールで、この舞台挨拶の後に収録をするという案もありました。どう思うみんな!?」と笑わせつつ「今日映画を観てくださった皆さんの熱気を感じたままアフレコできるのは良い体験です」と前向きだった。
中村監督は薬売りを演じた神谷について「薬売りは言語化の難しいキャラクターで、見る人それぞれによって好きなポイントがちょっとだけバラバラ。それをマルっと神谷さんはキャラクターに乗せてくれた。薬売りの設定の話をした際にのけぞるように『なるほど!』と理解してくれたのが印象的だった」と述べると、神谷は「テレビシリーズの薬売りが仮面ライダー1号だとしたら、今回の劇場版は仮面ライダー2号だと。その説明が僕に刺さる例えで、見た目や雰囲気も似ているけれど中身は違う。技と力が違う。…そのうち技と力の違う仮面ライダーV3が出てくるかも!?」と今後に期待を煽っていた。
中村監督は花澤について「オーディションでかなりの長いセリフを言ってもらったけれど、聞いていてまったく飽きない。感情が何度も入れ替わったりして凄い説得力だった」と賞嘆すると、花澤は「嬉しくて爆ぜそう。光栄な言葉を頂き嬉しいです」とニッコリ。
中村監督は黒沢については「セリフの中に細かい変化が入っているので、撮り直したら同じものがもらえない感覚があった。そんな中で黒沢さんは前の方から後ろの方まで一つの筋を通していてヤバい人だと思った」と高い演技力に脱帽。これに黒沢は「嬉しい!モノノ怪になれますか?」と声を弾ませていた。
最後に主演の神谷は「観れば観るほど解像度が上がるフィルムです。すべてをセリフで説明している物語ではないので、二回三回と観ることによって物語の全貌がわかるようになっています。すべての絵、芝居、目線、アイテムにヒントが散りばめられていて、必ず答えに辿り着くはずです。自分の人生や心が豊かになる作品を、映画館という『劇場版モノノ怪 唐傘』を観るに相応しい贅沢な空間で何度でも楽しんでもらえたら幸いです」と大ヒットを祈願していた。
『劇場版モノノ怪 唐傘』は全国ロードショー中!