シンガーソングライター・阿部真央が10月4日に東京・Zepp DiverCityで全国Zeppツアー『15th Anniversary Abe Mao Zepp Live Tour 2024』をスタートさせた。
以下、公式レポート部分。
今年1月21日にデビュー記念日を迎え、15周年イヤーに突入した阿部真央。8月にニューアルバム『NOW』をリリース、8月から9月にかけて全国の映画館や小劇場、能楽堂、歌舞練場を回るソロツアー「15th Anniversary Abe Mao Solo Live Tour 2024」を開催するなど、アニバーサリーにふさわしい活動を続けている。Zeppツアー初日のZepp DiverCity(TOKYO)公演でも彼女は、代表曲、ヒット曲、新曲を網羅したセットリストとともに、さらに進化したステージを見せつけた。
バンドセットでのワンマンライブは、昨年4月に東京、大阪で行われた「阿部真央 Live Tour“Never Never Tour”」以来、1年半ぶり。今回は15周年を記念したツアーということもあり、これまでのシングル曲やアルバムのリード曲が散りばめられた、15年のキャリアを体感できるセットリストが組まれていた。往年の代表曲を“今の阿部真央”のボーカルで堪能できるのも、今回のツアーの醍醐味だろう。
また最新アルバム『NOW』をバンドサウンドで味わえるのも大きなポイント。現行の洋楽やカントリーのテイストなどを取り入れたアレンジ、まさに“今”の感情を描いた歌が一つになった『NOW』の楽曲はまちがいなく、このツアーの軸になっていると思う。
「今年、阿部真央は皆さんのおかげをもちまして、デビュー15周年を迎えることができました!本当にありがとうございます。周年への思い、たくさんあるんですけど、今日のライブを通して、まずは歌で、あとは間で挟む言葉で感謝を伝えられたらいいなと楽しみにしてきました」というMCの後は、アコギの弾き語りや“ピアノと歌”のアレンジによる楽曲も。さらにハンドマイクによるパフォーマンスもあり、幅広いステージングを楽しむことができた。
特筆すべきはボーカルの素晴らしさ。パワフルな高音、ふくよかな響きをたたえた中低音、そして、喜怒哀楽をビビッドに描き出す表現力を含め、“阿部真央の唄は、今がベスト”と断言したい。凄腕のバンドメンバー(この日は吉田佳史/Dr、三浦淳悟/Ba、ミトカツユキ/Key、和田建一郎/G、akkin/G、前田雄吾/マニピュレーター)も、最高の演奏で彼女のパフォーマンスを支えていた。
ライブの後半、彼女はこんなふうに語り掛けた。
「この場にいる方はご存じだと思うんですけど、本当にたくさんの過渡期を経て、ここに立って歌を歌えています。それって奇跡的なことだなって思います。何度も言わせてください。今日は来てくれてありがとうございます」
2009年、19歳のときにアルバム「ふりぃ」でデビューした阿部真央。その後、「貴方の恋人になりたいのです」「いつの日も」などのヒット曲を生み出し、順調な活動を続けてきたが、ここまでの道のりのなかには様々な出来事があった。喉の不調による活動休止、結婚、出産、離婚などのライフイベント、事務所からの独立。それらの経験を糧にし、自分自身と自らの音楽を成長させてきた阿部真央は、15周年を迎えた今、ベストのコンディションでライブに臨んでいるーー。会場に足を運んだ観客は、その事実をしっかりと受け取ったはずだ。
ライブ後半ではポジティブなパワーを持った楽曲を次々と披露。腕を振り上げ、踊りまくり、大合唱を生み出すオーディエンスも全力でこの場を楽しんでいた。ファンとの強い絆もまた、15年という時間のなかで作り上げられた大切な宝物だ。
最後に「私にとって今日は、本当に本当に忘れられない日になると思います。それくらい素敵なライブでした。ありがとうございました!」と感謝を伝えた阿部真央。哀切なラブソングから前向きなパワーソングまで。15年のキャリアを追体験しながら現在の阿部真央を余すことなく体感できる、最高のステージだった。
全国Zeppツアー「15th Anniversary Abe Mao Zepp Live Tour 2024」はこの後、札幌(10/10)、福岡(10/17)、名古屋(10/24)、大阪(10/25)で開催。そして2025年1月26日(日)には東京ガーデンシアターでのワンマンライブ「阿部真央らいぶ2025
-15th ANNIVERSARY- at 東京ガーデンシアター」が開催される。アニバーサリーを迎えた彼女の“今”を、ぜひライブ会場で体験してほしいと思う。
Text by 森朋之
Photo by 森好弘