人気デュオ『KinKi Kids』堂本剛主演で公開中の映画『まる』(監督:荻上直子/配給:アスミック・エース)。本作が11月1日より副音声上映を予定していることや、本編映像、第3弾入場者特典が10月30日に発表となった。
堂本27年ぶりの映画主演作品で荻上直子監督オリジナル作品。美大卒だがアートで身を立てられず、人気現代美術家のアシスタントをしている男・沢田がふと見かけた○(まる)に、浸食され始めるという奇想天外な物語となっている。共演は、綾野剛、吉岡里帆、森崎ウィン、小林聡美、戸塚純貴、おいでやす小田、濱田マリ、早乙女太一、片桐はいり、吉田鋼太郎、柄本明らが出演している。
副音声上映は、11月1日からで堂本、荻上直子監督によるもの!こちらは、スマートフォンとイヤホンを使ってコメンタリーを聞きながら、映画鑑賞も同時に楽しめる上映となっている。
この副音声について、映画評論家・松崎健夫氏から5つのポイントが挙げられている。
①映画館でまるっと、観る・聴くオーディオコメンタリー
Blu-rayやDVDの音声特典として収録されることがある“オーディオコメンタリー”=“副音声解説”は、映画を鑑賞しながら監督やキャストが語る撮影の舞台裏をリアルタイムで聴けるという趣向。今回は、主人公・沢田を演じた堂本剛さんと荻上直子監督が、劇場パンフレットに掲載されているプロダクションノートやメイキングよりも濃密な情報によって、1時間57分の上映時間をふんだんに解説してくれる。また、堂本剛さんから見た現場の様子と、荻上監督から見た現場の堂本さんの様子、双方の視点によって多角的に語られるという強みもある。さらに、ふたりが語る綾野剛さん、吉岡里帆さん、森崎ウィンさん、柄本明さん、片桐はいりさん、小林聡美さんといった出演者に対する印象。例えば、歩いている尺の中で円周率を全部言い切る柄本明さんの演技に、堂本剛さんは圧倒されたことを述懐している。
②作品の細部がまる裸に
映像に合わせたピンポイントな解説を聴けるのも副音声上映の利点だ。例えば、細やかな美術。映画の冒頭をよく見ると、沢田の眠るベッドがビールケースを並べた簡易なもので出来ていることが判る。既製品を使わないことによって、沢田のキャラクター造形にも繋がっているというわけなのだ。また、骨折した沢田は右手を使えないという設定。左で「まる」を描く、左手で鋏を使うことの難しさが語られているが、部屋の水槽に古代魚のエンドリケリが登場する経緯と意図を、堂本剛さんが説明しているのは必聴!さらに荻上直子監督は、ある場面で実際には撮影現場で鳴っていない<音>を後から付け加えたことを後悔。一方、ある場面では天候に左右されてしまい撮影場所を一箇所に集約しなければならなかったことが、逆に功を奏したという知られざる裏話を忌憚なく語る。副音声上映は、映像のどこに注視すべきかのガイドとなるのも利点のひとつだ。
③作品に対する理解が深まる
作品内に点在する「まる」というモチーフ。沢田を演じながら無意識に「まる」を描くことが難しかった、と堂本剛さんは述懐している。今作ではENDRECHERI.名義で劇伴を担当しているが、「絵を描くように作った」という音楽制作の裏側も語られる。また、『まる』は、デジタル撮影全盛の時代に16ミリフィルムで撮影されているという特徴がある。荻上直子監督にとっても十数年ぶりの挑戦であるフィルム撮影に対するこだわり、そして意義についても語られてゆく。現代社会では、データによって数値化されたエビデンスを重視する傾向にある。その傾向はアートの世界においても無縁ではなく、劇中ではギャラリーのオーナー・若草が「売れないアーティストに価値はない」と言い放つ。創作における「お金とは?」という命題に対する、堂本剛さんのアーティスト論も必聴だ。
④極まる、堂本剛さんの沢田役への愛
副音声では、沢田というキャラクターをどう捉え、役に対してどう向き合っていたのか?という堂本剛さんなりの解釈が語られる。例えば、「沢田を一番ブサイクにしようと思っていた」というある場面や、4段階のレベルに分けられた沢田の目の下のクマ。視覚的な印象によって、沢田の変化を演じ分けていたことを窺わせるエピソードも満載だ。また、悪天候下で体調を崩した堂本さんが体に鞭打って撮影に挑んだエピソードや、志村けんさんの「変なおじさん」を無意識のうちに参照していたというエピソード。さらに、もし「まる」という作品が世間に発見されなかったとしたら、沢田はどうなっていたのか?と考える堂本剛さんの言葉に、沢田という役に対する愛を感じずにはいられない。
⑤堂本剛さん自身の本音に迫るマル秘トーク
作品の解説から離れて、堂本剛として周囲の期待に応えなければならないことに対する本音、芸能活動や創作に対する考え、或いは、「もし、この仕事をしていなかったら?」と私的な側面が語られているのも重要な点。ここ数年、多様性に対する社会の姿勢が変化したことを実感しながらも、これまでは社会に対して生きづらさを感じていたと真摯に語っているのだ。そして、自身の人生に対し「トライする機会をたくさん貰っている人生」と語りはじめる。いっけん映画とは関係のない話題にも思えるが、やがて沢田という人物の行動を理解することへと繋がってゆく語りは圧巻。副音声を聴きながら作品を再見することで、映画の新たな楽しみ方が始まる!
ほか本編映像は2シーン公開や公開3週目となる11月1日(金)~11月7日(木)までの上映で来場者特典として、本編上映後に「劇場限定 特別映像(special making)」が上映。本編エンドロール後に上映を予定している。
※本編映像
https://youtu.be/oEcAJodpvd8
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