人気デュオ『KinKi Kids』堂本剛が11月4日に東京・TOHOシネマズ日比谷で主演映画『まる』(監督:荻上直子/配給:アスミック・エース)大ヒット御礼舞台あいさつを荻上監督とともに開催した。
堂本27年ぶりの映画主演作品で荻上直子監督オリジナル作品。美大卒だがアートで身を立てられず、人気現代美術家のアシスタントをしている男・沢田がふと見かけた○(まる)に、浸食され始めるという奇想天外な物語となっている。週末3日間の動員は新作映画第1位のスタートを切り、堂本ファンとみられる方々がグッズ売り場にあふれ公開初日から売り切れが続出している作品にもなっている。
上映後に登壇したキャスト陣。事前に映画公式Xにて募集した観客の方々からの質問に答えていくコーナーも開催。
1つ目は、1番悩んだシーンへ、「沢田が丸を描いて、その場で1個100万円か200万円からとせめぎ合いしている数シーン。移り変わりのところなので、物事は激しく移り変わっているけど、沢田自体はついていけずに、沢田自身がどうなってるのというところですね」と、心情が見えなかった部分だそう。そこからコンビニのシーンに派生し、モップの使い方が「脇に挟んで巧みな技を使ってやってました。天才ですね(笑)」と、本コーナー前に荻上監督から天才と褒められた部分に乗っかった。
人が円を描くように動いているなか、そこから抜け出すように沢田が抜け出すシーンへは、「あそこは沢田一人が動いていることが強調できるように、わざとオーバーランして走ったり、タイミングとかがシビアで難しかったんんですけど、ロケ地の方300人と協力して撮りました」と、苦労があったそうだ。
続けて、映画の最初と最後では沢田の話すスピードやトーンが変化をつけているのは堂本と荻上監督の間で話し合いがあった?というもの。堂本は「具体的にはしてないですよね」というと荻上監督もうなずきつつ「最後のシーンは最後に撮ったので、気持ちがきっと……」といい堂本が「変わってたのかもしれないですね」と、自然とそうなっていたという。
堂本はさらに「声のトーンが高くなっている沢田とかは書いていなかったので、みんなで作り上げた結果、そうなった」とのことだった。ちなみに、事前の話し合いは多かったという2人だが、いざ撮影に入ると荻上監督は「1発OKが多くて……天才ですからね(笑)」といい、観客たちも拍手を寄せると堂本は「褒めないでください」と苦笑いしつつ「1回のお芝居に懸けるための環境をみなさん作ってくれるんです。だから思い切って、迷わずできるんです。それがあったから、そういう時間が多かったと思います」と、入念な下準備を窺わせる。
そんな堂本だが自身からもう1度撮影をお願いする部分もあったといい、それが「間のとり方とか雰囲気があったんで、そのときは、“ここと言えないんですけどもう1回やっていいですか?”って聞いて『いいですよ』ともう1回やったりするシーンもあったんです。そのときは、これはOKなんだっていうものが出るまで何度でもやろうと思っていたんで。でも、チームワークがすごかったので、スムーズに撮影が行っていました」。
綾野剛演じる沢田のアパートの隣人で売れない漫画家・横山とは友達になれそう?という質問に、堂本は「結局ピュアな人で、なんかなれるんじゃないですかね。芯に真面目さとか正義感とか、ピュアであるってものがないと人と会話すること自体が難しいんじゃないかって思うんです。横山はピュアというのと一風変わった人なので、友達になれると思いますし、実際に横山のピュアさに沢田は救われているので」と、思い浮かべていた。
沢田が口笛を吹くシーンの詳細を問うものも。「監督から『沢田が口笛を吹くシーンを考えているので、メロディを考えてくださいね』と言われて。それで最終的に広げて見せたというものですね」という堂本に、荻上監督からは「本当にパーフェクトで、それ以上何もなく。音楽つけなくていいですねというのもわかってくれて……いろんなマルチな才能ありますよね(笑)」と、隙あらば褒める荻上監督。
その話題をそらすように堂本は音楽監督も務めたことへ「フィルムで撮ってますし、役者さんの間というのが大切に閉じ込められているんですよ。音が違うと、息継ぎとかも含めて、変われてしまうのでそれが非常に怖かったのと、繊細な作業が必要になるなって。でも、音楽がなくても見れてしまう、みなさんのお芝居が素敵だから。だから、あんまり音楽をつける必要ないなって思ったんです。それで監督がこのシーンには音楽がほしいということを言ってくれて、そこから作業に入った感じで。だから映画にしては音楽が少ないと思います。でも音楽をそんなに入れないほうが……先程、10代・20代が観てますよとお伝えしましたけど、心の底にメッセージを届けるためには絶対的にいいんじゃないかって作業はしました。音が鳴っちゃうと、悲しい音楽を流せば悲しくなっちゃうし、明るい曲がかかると明るい感じになってしまうし、それを誘導してしまうことにもなるので、それはあえて、観る方がどういうふうに感じ取られるかという意味で、(音楽をつけようと言われたことに)反対してしまうシーンが多かったですね」と振り返っていた。
映画『まる』は公開中。
※イベント前半記事
・堂本剛「人生はそれの繰り返しだと思う」想いとうとう!もしかしたら“丸展”具体性?
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ