人気デュオ『KinKi Kids』堂本光一が11月29日に東京・帝国劇場で主演ミュージカル『Endless SHOCK』(作・構成・演出・主演:堂本光一)大千穐楽公演を『KAT-TUN』上田竜也、『ふぉ~ゆ~』福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介、松尾龍、松浦銀志、中村麗乃、前田美波里らとともに上演。そのカーテンコールで心境などを語った。
2000年1月に初演された『Millennium SHOCK』以来、堂本が国内ミュージカル単独主演記録を更新し続けている『SHOCK』の最新公演。今年は4月と5月には東京・帝国劇場にて『Endless SHOCK』本編とスピンオフの『Eternal』を同時上演、7月と8月には大阪・梅田芸術劇場、9月には福岡・博多座、11月には帝国劇場に戻っての上演となる。なお、2128回目の本公演をもってシリーズは終了となる。
すべてを終えカーテンコールへ。去来するさまざまな思いからか「本当にありがとうございました」といった後に「どうしよう」と、何から話し始めたらいいのか迷う様子を見せつつ、「2000年から当時自分が21歳で、とにまただの若造でしたけども、そんな自分を信用してくださって、そうやって帝劇のステージというところに立たせて頂き、この24年間も、ずっと毎年この景色を見せて頂けて、心より、本当に感謝を申し上げたいと思います」と、厚い感謝と、今年4月から上演のキャストが「最後の最後にこうやって集まってくれたことにも感謝したいと思います」といって始める。「きょうは最後に何を喋ろうかなってちょっと考えたんですけど、自分の生い立ちから全て話して……1979年に生まれました(笑)。生まれて、そっからなんだかんだあって、今に至りました。ありがとうございました(笑)」とざっくりと生い立ちをまとめた。
大千穐楽公演はライブビューイングもされたが、帝国劇場に近いTOHOシネマズ日比谷はじめ全国の劇場で、演劇ライブビューイングとしては過去最大級の申し込みとなり11月26日には急きょ追加の劇場を増やしたほどで、堂本によると約7万人が全国の映画館で見守っているものになったという。「いつも千穐楽は大っ嫌いなんです。大千穐楽は大大っ嫌いなんです。それでも全国で7万人の方が見守って頂けたというのは励みになりました」と心境を。それでも「最初の10分ほど音ズレが発生していたと聞いていて、それも生だからこそ、ライブだからこそということで申し訳ございません」と、座長としてキッチリとお詫びも入れた。
続けてこうした『Endless SHOCK』記念行事お馴染みのくす玉割りで大量の紙吹雪を浴びつつ、堂本が主要キャスト1人1人にコメントを求めることに。このキャストのコメント中、堂本は話している相手の方向に体を向け続け話をじっくりと聞いていく様子を見せる。さらにアンサンブルキャストやオーケストラピットのスタッフの紹介し、全員への感謝を窺わせる様子が。
その後、約40分をかけてそれぞれがコメントをしていくなか再び堂本へ。「2000年から始まって、そのときのリハーサルやけいこは朝までずっとステージ上でやってて、今の世の中は働き方改革で絶対にできないけど、そういうふうに積み重ねてきていまがあるので、これを超える作品をとなるとできないと言ったらおかしなことではあると思います」と心境を吐露するとともに、そのために「自分的にはSHOCK専用劇場でも作ってやればいいのでは。誰か融資してくれるかな」と、冗談めかすことも。
さらに、堂本は「いまやったメンバーの(『Endless SHOCK』のその後を描いた)『Endless SHOCK -Eternal-』も見たいし、まだまだやれることってあると思うんです。ただ、帝劇がなくなっちゃう。もちろん自分がもうコウイチ役を演じることはないかもしれないですけど、誰かに受け継いでもらえたら嬉しいなって思うのと、お客さん・ファンの方にとったらちょっと複雑な思いもあるけど……っていうのも理解しております」ともコメントをした。
また、コウイチ役を演じるにあたり「2005年にストーリーは変えましたけど、24年間コウイチという人物を演じるにあたって、ステージに立つ人間としての、なんか究極系みたいなものをこう描いてきたんです。それが時を経て、コウイチにも弱い部分がたくさんあるしというところを自分なりに、お芝居で描くようにしていったんです。ですが、やっぱりヤツは究極体なんです。その究極体を演じるっていうのが、まぁ……つらい24年でした。だって、究極じゃねえんだもん、俺。全然……。だから、そういった意味ではね、自分自身が役に負けないように、このステージに立つ。そのためには、技術とかそういったものっていうのは自分にはそんなにありませんから、何ができるかっていうと、やっぱ気持ちしかないんですよ。その気持ちをずっと維持し続けるというのは……いや、これは頑張りました、自分でも」と、すべてが終わった大千穐楽だからこその気持ちを吐露した。
「でも、自分はエンタメを卒業するわけでもないので、次のキャリアというか、もちろんみなさんに喜んでいただけるものを発信していかないといけないっていう思っているので楽しみにしていてもらえればというのと、『SHOCK』という作品は、舞台というのは儚いものですよね。その時のシーズン、その時見たものが終わってしまうと、何かこう、ほんとに自分の記憶でとどめておくしかないものなので。それが舞台の良さだったりするんですけど、でもなんかこのストーリーの中にある、特にエターナルですけどね、『思い続ければきっとそこにいるんじゃないか』っていうセリフがありますけど、今見たもの、そういったものがみなさんの心の中にこうあって、思い続けられる作品となっていてくれたら、きっと『SHOCK』はずっと生き続けていくものだと思います。思い浮かべていただければ嬉しいかな。それだけの作品にこう成長できた、成長させてくださったことを本当に心より感謝を申し上げたいです」。
思いは尽きず、途中何度か締めくくろうとしたが、言い残しがないようにと話を戻して舞台で使われた大道具などが撤去し解体されてしまうことに、堂本は「1番自分の中で衰えたなって思ったことがあるんですよ。なんだと思いますか?」と問いかけつつ、その答えとして「パフォーマンスに関しては、もちろん21歳の方が爆発させるエネルギーとかあったかもしれない。けど、総合的にはね、心に体ともに今の方がたぶん自分の中では自信はある。だけど、唯一これが1番ダメだということが、(舞台上で暗転して)暗くなった瞬間にはける(降りる)動作が遅くなったんです。怖くてしょうがない。目が悪いということじゃないと思う。なんか年齢を重ねれば重ねるほど怖さが出てきて。舞台に立つことって本当に怖いことだと」と、変化が訪れているという。これに隣にいた前田が「でも、立たなければ、他に私の自分が生きることはない」というと、堂本も「舞台が1番ってことですね」とうなずいていた。
最後に幕が降りる瞬間、堂本は一人上を見上げすべてをやりきったことを現すかのように、両腕を天にかかげてステージを終える。劇場は拍手で満ちるなか、その観客たちの思いに応えてWアンコールに1人姿を見せたかと思えば、男性キャストたちが駆け寄ってきて堂本を胴上げ。数度宙に舞った堂本は、会場の特効のテープを手にとると「ありがとうございました。お帰りください」とお茶目に呼びかけ、ステージを下りた。
(その後の会見の模様:堂本光一『Endless SHOCK』大千穐楽直後に客席で会見!「さらに重いものを背負った」)
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ