俳優・吉沢亮が11月30日に東京・パルテノン多摩 大ホールで『第16回TAMA映画賞』授賞式に最優秀男優賞を受賞したことから登壇した。
『TAMA映画賞』は毎年秋に開催。東京・多摩市民がつくる映画ファンの祭典で、国内映画賞のトップバッターとしても注目を浴びるイベント『TAMA CINEMA FORUM』内で開催されている映画賞。2009年からスタートし、前年10月から当年9月に一般劇場で公開、作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考しており、「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰する。
吉沢が受賞した最優秀男優賞は『本年度最も心に残った男優を表彰』するというもの。映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』『キングダム 大将軍の帰還』『かぞく』での演技が評価された。なお、『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は映画ファンを魅了した事象に対し表彰をする特別賞にも輝いておりメガホンをとった呉美保監督も出席している。また俳優・藤竜也が映画『大いなる不在』で同じく最優秀男優賞を受賞している。
その受賞理由として、「『ぼくが生きてる、ふたつの世界』において、さまざまな感情が込められた手話で親子の日常をとても自然に映し出して、観客を物語へと引き込んだ」と説明がされた。
ブラックフォーマルコーデで現れた吉沢。表彰を受けるセンターに向かおうとしたが、その手前にプレゼンター用のマイクがあり、そのマイクの前で立ち止まりそうになる、緊張している感じが伝わってくるような一幕があり、観客たちはそのお茶目さに笑顔が浮かぶ中で表彰を受けた。
「すごく緊張しているんですが、素敵な賞を頂けて、嬉しく思いました。6年前(2018年)第10回TAMA映画賞で最優秀新進男優賞を頂いて、それが僕にとって、特別な思い出になったなと思いまして。そして30歳になる年に頂くことができて、すごく縁を感じています」と、再び戻ってこれたことへ喜ぶとともに、トロフィーをしげしげと眺める吉沢。
苦労した部分としては「もうすぐ30歳になる大人が、中学生をやるというのは大変でしたね。監督からも『今の声を高くしてくれと言われて」とエピソードを披露して会場を沸かせつつ、手話を使った本作へ「文法で手話での言語も表情豊かなんです。それが役を演じるときに、僕が演じた五十嵐大という男は僕のイメージでは表情に出づらい寡黙というイメージだったので、手話の表現が矛盾する瞬間があって」とも話していた。
話の途中からは作品のメガホンをとった呉美保監督も同席しているということで2人でトークへ。吉沢が「助けてください!以前(に登壇したとき)よりもめっちゃ緊張してます」とヘルプを求めたが、呉監督もプレゼンターのマイクのところで同じところで迷ったことを呉監督も告白しシンパシーを感じたのか2人で笑い合う様子も。
呉監督としては吉沢の起用へ、「もっと観たいというのがあって、お話を頂いたときにこじつけとかでもなんでもなくて、この作品で新しい吉沢亮を見れるんじゃないかと想像したときに、プロット段階でオファーをさせて頂きました」と振り返り、吉沢は「いや嬉しいですね。僕も監督の作品はファンで、いつかご一緒したいなと思っていたので、お話を聞いたときはすごく光栄だなと思いました」と、状況を説明していた。
演技について呉監督は「私はお願いして快諾を頂いた時点で、心配はしていないというか。今回たくさんのハードルがあって、年齢もそうですが、手話。ろう者の方は実際のろう者の方をキャスティングしていたので」と話したが、2ヶ月しっかり手話を習って乗り越えたそうだ。
そして今後へは、「変わらずに、これからも自分が好きな作品や愛するような役をと思っています。ありがとうございました」と、メッセージを寄せていた。
以下、受賞一覧。
■最優秀作品賞[本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰]
◯『夜明けのすべて』 三宅唱監督 及びスタッフ・キャスト一同
◯『ぼくのお日さま』 奥山大史監督 及びスタッフ・キャスト一同
■特別賞[映画ファンを魅了した事象に対し表彰]
◯呉美保監督 及びスタッフ・キャスト一同 (『ぼくが生きてる、ふたつの世界』)
◯押山清高監督 及びスタッフ・キャスト一同(『ルックバック』)
■最優秀男優賞[本年度最も心に残った男優を表彰]
◯藤竜也 (『大いなる不在』)
◯吉沢亮 (『ぼくが生きてる、ふたつの世界』『キングダム 大将軍の帰還』『かぞく』)
■最優秀女優賞[本年度最も心に残った女優を表彰]
◯上白石萌音(『夜明けのすべて』)
◯河合優実(『ナミビアの砂漠』『あんのこと』『ルックバック』『四月になれば彼女は』)
■最優秀新進監督賞[本年度最も飛躍した監督、もしくは顕著な活躍をした新人監督を表彰]
◯近浦啓 監督 (『大いなる不在』)
◯山中瑶子 監督 (『ナミビアの砂漠』)
■最優秀新進男優賞[本年度最も飛躍した男優、もしくは顕著な活躍をした新人男優を表彰]
◯松村北斗(『夜明けのすべて』『ディア・ファミリー』『キリエのうた』)
◯齋藤潤(『カラオケ行こ!』『瞼の転校生』『からかい上手の高木さん』『正欲』)
■最優秀新進女優賞[本年度最も飛躍した女優、もしくは顕著な活躍をした新人女優を表彰]
◯森田想(『辰巳』『朽ちないサクラ』『サユリ』『NN4444』『愚鈍の微笑み』『正欲』)
◯早瀬憩(『違国日記』『あのコはだぁれ?』)
以上
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ