ミュージカル『レ・ミゼラブル』(演出:ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル)本初日開幕記念会見が12月20日に東京・帝国劇場で開催。ジャベール役のトリプルキャストとなる伊礼彼方、小野田龍之介、石井一彰がそれぞれ作品への思いを語った。
作家ヴィクトル・ユゴーによる作品。19世紀初頭のフランスの動乱期が舞台。当時の社会情勢や民衆の生活を克明に描いた大河小説。日本では1987年6月に帝国劇場で初演を迎え、3459回という上演回数を数えている。そんな本作は2025年2月に建て替えのため休館する帝国劇場のクロージング公演の1作となっている。すでに12月16日よりプレビュー公演を開催しており、この日、本公演を迎える。会見にはほか吉原光夫、佐藤隆紀、飯田洋輔、昆夏美、生田絵梨花、木下晴香が出席した。
会見では現在の心境と今年の自身を現す漢字1字とともに明かしていくことに。
伊礼は『繋』といい「3回目ですけど、1、2回目と一生懸命ジャベールを追い求めて役作りをしていったんです。そのなかで、この役はけいこ場から体が硬直するような緊張があるんです。そのなかで3回目ということで、その緊張から解放されて、スタッフさんとのつながりもできて、自然にけいこ場に立てたし、自然に舞台に立てる自分を今回発見して。純粋にバルジャンと会話をしているときに意識せず彼を見れたり、星とつながっている自分を発見できて」と、新たな発見によりけいこ場から自身のいかたが変わったそうだ。
さらに伊礼は自身の好きなシーンやセリフを聞かれた際に「この作品のコンセプトはバルジャンの抱いた憎しみが愛に変わり、それがコゼットに伝わっていき、マリウスとの出会いによって光・希望というのが繋がっていくんです。これを若い時に観た時に、マリウスとコゼットのシーンが“クソ面白くない”なと感じて、早く終わらないかなって思って目をつぶって過ごしていたんです。でも、それが7年前にジャベールとしてこの現場に入った時に、そのシーンがとても美しくて。たぶん、きっと自分が俳優として成長していき、守るものができたからということがあるとは思うんですけど、“なんて美しいんだ”って、けいこ場で涙が流れたんです。だからいま僕はあのシーンが1番好きなんだっていうことを、話しながら気づきました。そういうシーンを、今回もけいこ場で目の当たりにすると、自分の中の闇の汚れている部分が毎回浄化されていくなって」と、若い頃とは正反対の感じ方になっている部分を明かしていた。
小野田は「私は心『揺』さぶられたので『揺』を」と切り出す。これまでアンジョルラス役を演じてきた小野田は本公演からジャベール役を務めることとなり「この作品、バルジャンとジャベール以外は本当にたくさんの(兼ね)役を演じるんです。でも、今回、初めて1つの人物の魂で3時間のドラマを生きることができて、1つの役だけの視点でこの作品を見た時に、あらためて、この作品に出演する登場人物、たとえば民衆からすべて1人1人の人物を見たとき、なんて感動とか希望とか愛とかに心を揺さぶられながら生きているんだろうって、感動を味わったんです」と、見える景色が広がったという。
さらに、小野田は「ジャベール自身の人生も非常に揺さぶられながらドラマを紡いでいきますが、舞台全体の作品の感動で心が揺さぶられるのが客席に伝わった時に、本当に劇場が特別な空間になって。まさに神とつながったような感じがして。プレビュー期間で、あらためてレ・ミゼラブルの力強さ、そして恐ろしさを感じています。非常に昂っております」と静かながらも高揚している様子を窺わせた。
石井は「感謝の『謝』」といい、「16年ぶりにレ・ミゼラブルという作品にかからわせて頂いたんです。プロデューサーやスタッフの方から『おかえり』と言われて、とても感動したんです。その気持ちをお返しできたらと思っています。プレビューを終えてお客さまからも温かい拍手を頂いて、『謝』という気持ちです」とのことだった。
また、本公演は帝国劇場だけではなく、3月26日から6月16日まで大阪・福岡・長野・北海道・群馬を全国ツアーで巡る。そこでツアーでの楽しみはないかとの質問も挙がったが、石井は「大好きなカンパニーでスタッフの方もみんな好きなので、そういう人たちと新幹線で一緒に移動するのが好きなんです。ああでもこうでもないと話をしながらが滅茶苦茶楽しみで」と、楽しみを話していた。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』は12月16日のプレビュー公演から2025年2月7日まで帝国劇場で上演予定!
※会見別記事
・吉原光夫「この先の未来にあるレ・ミゼラブルに」!本初日開幕記念会見開催
・生田絵梨花 帝国劇場2階ロビーで知念里奈との思い出!『レ・ミゼラブル』本初日開幕会見
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ