漫才日本一を決める大会『M-1グランプリ2024』決勝戦が12月22日に東京・テレビ朝日内で開催。優勝は髙比良くるまと松井ケムリによる『令和ロマン』が大会史上初の連覇を果たした。
以下、大会公式レポート部分。
昨年、結成わずか6年にして初の決勝進出、トップバッターにして優勝と、その名の通り新時代を象徴する躍進で日本一に輝いた令和ロマン。若手らしからぬ落ち着きと周囲に流されない芯の強さを武器に、この1年着実にキャリアを重ね、ネタの腕をさらに上げて、今年も決勝の舞台に勝ち上がってきた。その王者を含む過去最多1万330組の出場者たちが狙うのはただ1つ“第20代漫才日本一”の称号。決勝には令和ロマンほか、真空ジェシカ、トム・ブラウン、ヤーレンズ、エバース、ダイタク、ママタルト、バッテリィズ、ジョックロック、そして敗者復活戦からマユリカが進出。エバース、ダイタク、ママタルト、バッテリィズ、ジョックロックの5組が初の決勝進出となる。
司会はおなじみ今田耕司と上戸彩。番組冒頭に映し出された初代大会委員長・島田紳助からの「いつまでもM-1が夢の入り口でありますように」という言葉に2人は「深かったですね」と感激する。今年審査員を務めるのは9人のレジェンド漫才師たち。初めてM-1の審査員を務める柴田英嗣(アンタッチャブル)は「人生賭けたネタ楽しみにしてます」とコメント。若林正恭(オードリー)は「M-1に人生救ってもらったので一生懸命審査します」と意気込み。また、マユリカが会場に到着すると、2008年に同じく敗者復活戦から勝ち上がった若林は当時を思い返し「(相方の)春日がゆっくり歩いて大変だったので速やかに移動したほうがいいと思います」とマユリカにアドバイスを送った。
今年も出場順は笑神籤(えみくじ)で決定。最初の笑神籤プレゼンター・柔道男子・阿部一二三選手は、五輪2大会連続金メダルを獲得しているだけに「2連覇を見てみたい」と令和ロマンに期待を寄せると、引いたのはまさかの令和ロマン。これにはスタジオのみならずファイナリストたちも騒然となる。2人はトップバッターとは思えない勢いで会場を盛り上げると、審査員全員90点越えの850点という高得点をいきなり叩き出し、「2年連続トップで全員が安心して漫才を見られる空気に持っていくのがえげつない」(かまいたち・山内)、「技術もすごいし感情が伝わってくる、素晴らしい漫才。初審査で大変なことになりました」(若林)と全審査員を唸らせる。
2組目は昨年1票差で準優勝に終わったヤーレンズ。高速の漫才コントで笑いを量産すると、またも審査員全員90点超えながら合計は825点と令和ロマンに及ばず。4年連続決勝進出の真空ジェシカは、川北の攻めたボケとガクの絶妙なツッコミをさらに進化させたネタで、「全部が強烈な右ストレート」(山内)、「見るたびに上手くなってる。技術がスゴイ」(博多大吉)と審査員から賞賛の言葉が続き、849点という高得点で令和ロマンと1点差に迫る。
ここから笑神籤を引くのはパリ五輪卓球女子シングルス銅メダル・早田ひな選手。4組目となったマユリカは同窓会をテーマに漫才コントを繰り広げるが820点と残念ながらここで敗退。続くダイタクはラストイヤーにして初の決勝進出。双子という稀有な武器をフルに活かしたネタで勝負をかけるがこちらも820点で敗退となった。
6組目は結成2年にして初の決勝進出を果たしたジョックロック。ゆうじろーのポップなボケとかつてない福本の叫びツッコミが会場に轟くも819点で敗退。同じく決勝初進出のバッテリィズはアホキャラのエースが繰り出す意外な正論に会場中が爆笑の連続。「ボケが来るタイミングも角度もわからなくて全部不意打ちくらった」(NON STYLE・石田)、「すべてが整ってて4分を一番うまく使っていた」(中川家・礼二)、「長らく途絶えていたアホ漫才を令和にうまくよみがえらせた」(大吉)と審査員からの絶賛を受けて861点と一気にトップに躍り出る。ヤーレンズはここで敗退となった。
パリ五輪体操男子団体金メダル・萱和磨選手が引いた8組目は、初の決勝進出・ママタルト。大鶴は190キロの巨体とは思えない身のこなしを見せ会場を沸かせたが、812点で敗退し、バッテリィズが最終決戦進出決定。今年数々の賞レースで結果を残しM-1にも決勝初進出を決めたエバースが9組目。複雑かつドラマチックな展開をすべて笑いに変えたネタに上戸は「映画を観ている感じでした」とビックリ。848点とトップに迫るも4位敗退し、令和ロマンが最終決戦へ。
最後は6年ぶりに決勝の舞台に帰ってきたトム・ブラウン。変わらぬ狂気的なボケで自分たちの世界に観客を引き込むも、「わけわかんなすぎて涙出るほど笑った」(ナイツ・塙)、「テレビの向こうには伝わっていないかも」(アンタッチャブル・柴田)と審査員の評価は真っ二つ。823点と3位には届かず真空ジェシカが最終決戦に滑り込んだ。
最終決戦1組目は真空ジェシカ。ミュージシャンをテーマに繰り出す川北のボケは1stラウンドからさらにパワーアップ。2組目の令和ロマンはタイムスリップした世界を舞台に髙比良が縦横無尽にボケまくり。ツッコみつつ巻き込まれる松井の姿も笑いを誘う。第20回大会のトリは今大会の大穴となったバッテリィズ。世界遺産の情報に困惑するエースの素直すぎる感想がすべて見事なボケとなりオチまで笑い尽くしの漫才を披露した。結果は、5票を獲得した令和ロマンが史上初の2連覇を達成。2人は「去年の倍うれしいです!」(髙比良)、「悔いなくやれました。もう出たくないです!」(松井)と感激のコメント。大吉は「この1年の自信がネタに詰まっていてすごかったです。とんでもない漫才を2年連続で見せてくれてありがとうございました」と言葉をかけた。2人は最後に「次は審査員をやりたいです!」(髙比良)、「俺たちがチャンピオンだ!」(松井)と叫び、会場中が偉業を達成した2人に万雷の拍手を送る中、記念すべき第20回大会の幕が閉じた。
大会後、優勝者会見に臨んだ髙比良は「ほんとにうれしいもんですな。マジでもう誰も2連覇しないんじゃないですか? できないとかじゃなくてめんどくさいので」と苦笑。松井は「歴史に名を残すのが好きなのでめちゃめちゃうれしいです」と素直に喜んだ。
笑神籤でトップバッターになったときの心境を聞かれると、髙比良は「まさか2年連続で引かれると思っていなかったので、出た瞬間、『ひふみんー!』って」とボケつつ、「さすがに終わったと思いましたよ」という本音も。松井は「意味がわからなかったですね」と振り返った。昨年、事前の約束により、優勝賞金の1000万円はすべて髙比良のものとなったが、その分、今回は松井が「今年は僕がいただけるということで、なんとかトントンになりました」と安堵した。
前回は優勝直後に「来年も出ます!」と宣言しただけに、早速次回大会について聞かれると、「出ないでしょ」と即答する松井に対して、髙比良は「ラストイヤーまで8年あるので、いつ出るんだろう、と。M-1が盛り上がらなくなったらまた出るぞ、と」と煙に巻いていた。
この模様は、12月22日(日)よる6時30分 ~よる10時10分 ABCテレビ・テレビ朝日系列全国ネットで生放送された。
※記事内写真は(c)M-1グランプリ事務局
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