『BE:FIRST』の“RYOKI”こと三山凌輝と、アイドルグループ『乃木坂46』久保史緒里が1月26日に神奈川・Kアリーナ横浜でW主演映画『誰よりもつよく抱きしめて』(監督:内田英治/配給:アークエンタテインメント)(監督:内田英治/配給:アークエンタテインメント)完成披露試写会&PREMIUM EVENTを『2PM』ファン・チャンソン、穂志もえか、永田凜、北島岬、竹下優名、内田英治監督が登壇し、司会はロバート山本博が務め『BE:FIRST』がゲストとなった。
作家・新堂冬樹氏の同名小説が原作。三山は強迫性障害による潔癖症で、常にビニール手袋着用で生活し、同棲する恋人にも手すら触れることができない絵本作家志望・水島良城役。久保は、良城の恋人ながら触れてもらえず彼の病気を理解しつつも、自分の揺れ動く心に思い悩む書店員の女性・桐本月菜役を演じる。治療を決意した良城が、病院で初めて同じ症状の女の子・千春(穂志もえか)に出会う。葛藤を共有できる2人の交流に、月菜が嫉妬のような感情を覚えてしまう。そんななか、月菜の前に、恋人と触れ合っても心が動くことができない男・イ・ジェホン(チャンソン)が現れ……という物語。
以下、昼公演公式レポート部分。
キャストと監督が順に登壇すると、観客は大きな拍手で出迎える。三山は歯切れよく挨拶しつつ「なんかラップみたいになっちゃいましたけど…」と添えて、アーティスト・BE:FIRSTのRYOKIとしての顔も覗かせながら、場内をさっそく笑いで包んだ。また内田監督は「こんな(規模の)完成披露上映会、見たことないですよね。たぶん日本で初めてじゃないかな?光栄です」と、約2万人を収容する会場・Kアリーナ横浜のスケールを噛み締めた。
アーティストという共通点を持ち、作品の中核を成した三山、久保、チャンソン。撮影現場では、後半まで3人で同じ現場になる機会が少なく、人懐っこい三山が仲を明るく取り持っていたという。久保とチャンソンにまだ距離があった頃、2人で楽屋にいたところに入ってきた三山は、「お葬式みたいな空気が流れてて。2人が喧嘩でもしたのかな?と……」と当時を述懐。これに対して久保は「お二人がオープンすぎて心を開かざるを得なかったというか(笑)。こんなに仲良くしてるんだ!とその場で知りました。その後は三山さんのおかげで、チャンソンさんと2人のシーンでもすごく話せるようになりました」と、現場でのエピソードを明かした。さらに内田監督が「凌輝はアメ車みたいな人。最近は日本も元気ないし、こういうタイプってなかなかいないから、今の日本に必要な人だと思います」と重ねると、会場からは賛同するように大きな拍手が起こった。
潔癖症に苦しむ良城の繊細な感情表現について、三山は「すごく考えさせられる役でしたが、自分自身も撮影期間は悩んでいたタイミングだったので、タイミングがむしろ良かったなと。より深く良城を理解できる瞬間が多かったです」と説明。内田監督は俳優・三山凌輝の印象を、「すごくしっかり役を詰めて準備をされていて、思考回路が70歳くらいのベテラン俳優かと思いました。なので、現場では『任せられるな』と」と、信頼感たっぷりに紹介していた。
久保が内田組に参加するのは、映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』、ドラマ『落日』に続いて3度目。「撮影の合間に、アイドルをやりながら俳優業をやらせていただいていることへの思いを打ち明けたときに、内田監督からいただいた返答が自分にとっては宝物のようなもので。これからも頑張ろうと思いました」と、印象的だった現場での監督とのやり取りを明かした。
舞台挨拶のため、韓国から駆けつけたチャンソン。人を真に愛することができないジェホンの役柄について、「自分も練習生の頃にそういう時期があったので、これがジェホンの感情かなと、監督と相談しながら役作りをしていきました」と振り返る。内田監督はチャンソンについて、「日本語が上手すぎるから、少し下手にしてもらった」「料理シーンの手元撮影のために吹き替えを用意していたけど、チャンソンが上手すぎて必要なかった」と、裏話を明かしていた。
このほか、ドラマ『SHOGUN 将軍』への出演で世界的に注目されている穂志は、良城と同じく強迫性障害による潔癖症を患う千春を演じるにあたり、私生活でビニール手袋を着けたり、除菌グッズを持ち歩いて役作りに臨んだと振り返り、「特別な病気の人の話ではなく、皆さんや周りの人のお話だと思ってもらえたら嬉しい」と思いを伝える。また月菜の友人・早智子を演じた永田は、劇中の印象的なセリフがアドリブだったと明かし、観客を驚かせた。そして15歳の竹下、今作が初の映像作品だという17歳の北島はフレッシュな空気を振りまき、三山は「久しぶりに会ったら、2人とも身長が倍になっていて驚きました!」と、2人を可愛がるようにジョークを飛ばしていた。
続いて作品タイトルにちなみ、全員がそれぞれ「今、誰よりもつよく抱きしめたいもの」を発表。三山は迷わず「チャンソンです!」と答え、チャンソンと熱いハグをする。久保は「餃子」と答え、永田と共に餃子フェスを訪れたこと、最近は春菊の餃子にハマっていることを明かした。そして穂志は愛猫、永田は布団、北島はヘッドホン、竹下は祖母の家にいる猫、内田監督は今作に出演した子役の子と回答。最後に期待の目を注がれたチャンソンは、もちろん「凌輝~!」と叫び、再び2人は熱いハグを交わした。
舞台挨拶に続いては、久保が、劇中で良城が執筆した絵本『空をしらないモジャ』を朗読。久保はエアリーなラインの純白のワンピースに身を包み、透き通るような声で優しい物語を読み上げた。
最後に久保が「スタッフも共演した皆様も、本当に全員でいろんな気持ちを込めて繊細に作り上げた作品なので、どうか届いてくれたら嬉しいです」、三山が「どんな人にも当てはまるような、人同士のすれ違いや理解できないもどかしさなど、人間の心の奥をヒューマンストーリーとして描いた作品。心にそっと寄り添えるものになっているんじゃないかなと思います」と挨拶。華やかなイベントの幕は降りた。
※記事内画像は(c)2025「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN /アークエンタテインメント