CONCERT THE BEST『New HISTORY COMING』(構成・演出:山田和也)公開ゲネプロが2月14日に東京・帝国劇場で開催し、60曲を超えるステージを披露した。
2月28日に建替えのために一時休館となる帝国劇場。本公演はその帝劇ラストを飾る公演で、帝国劇場で上演したミュージカル53作品のナンバーを披露するという集大成となる。
日程によって出演キャストにも変化がある本公演。俳優・井上芳雄、浦井健治、小野田龍之介、甲斐翔真、佐藤隆紀(LE VELVETS)、島田歌穂、三浦宏規、宮野真守が全日程レギュラー出演となるとともに、AからGまである公演プログラムによって出演者とゲストが変化。ゲネプロはAプログラムで、生田絵梨花、昆夏美、涼風真世、平野綾、森公美子が出演し、ゲストは鹿賀丈史、大地真央、松たか子が登場するものとなった。
開演時間となると、緞帳の降りているステージの袖から井上が登場し、帝国劇場にエスコートするような形で幕が開いていく。そこから、ゲスト以外のキャスト全員が登場する帝国劇場への想いが歌詞となり、これまでの公演タイトルがネオンサインのような映像としてあらわれる楽曲『THE 帝劇』で圧巻のステージを切ることとなった。
全体的な構成は楽曲披露と、キャストソロのトークを織り交ぜている。キャストが客席に降りてきてパフォーマンスをすることもあり、2階席までキャスト陣を身近に感じられる演出も。さらには、オーケストラピットの指揮者も走り出す展開もあったりと遊び心も垣間見られるステージを繰り広げた。
そのなかで、生田はゲネプロながら盛り上がりや、関係者も含めた観客が多く熱気の高い場内にキャスト一同感激していたと話すこともあった。ほかにも、キャストからこれまで数十年使われていなかった舞台の機構が今回、再び使われていることなども伝えられることもあった。
また、本公演だけでしか見られない光景としては、当時上演したミュージカルには出演していないキャストによる作品の歌唱も。なかでも、『DOMOTO』堂本光一が主演した『Endless SHOCK』ステージに小野田が立ったり、同じく堂本と井上共演の『ナイツ・テイル』では井上と浦井によるステージなどが楽しめるものとなった。
そのフィナーレは『レ・ミゼラブル』の『民衆の歌』で締めくくり、新たな帝国劇場への思いを馳せるように公演のタイトル『New HISTORY COMING』の文字が大スクリーンに映し出され余韻の残るなかステージは終演となった。
翌2月15日にはレギュラーキャストによる会見が開催。いまの心境へ井上は「けいこ中から、すべてのことが最後だなって思いで。考え出すといろんな思いもあるんですけど、とにかくお客さまに喜んで頂くことと気持ちを分かち合うということに昨日からなっているのではないかと思います。毎回いろんなゲストも来てくださいますし、お祭りだなって感じて。ですから帝劇最後のお祭りを楽しもうと思っています」と、意気込みとともに。
続く浦井は前日の初日の後に制作関係者から涙ながらのあいさつがあり「スタッフさんたちの存在があらためて尊く、人生をかけているんだなとすごく感じました」と、しみじみと話していたが、「手締め」をしたと話したところ、そこは井上や宮野からツッコまれ、マイペースな様子を窺わせていた。
けいこ中、井上は「すごく気を使いながらでした。僕と浦井くんが上も下も知っているので中間管理職的な気の使い方をしてました」と世代間を取り持つことで意外な苦労があったこともあったそうだ。
「とにかく帝劇への思いが増すばかりです。僕達(レギュラーキャストは)28日まで帝劇とのお別れをたまたましっかりできる立場です。その都度ゲストも来てくださいますし、今回いらっしゃらないですけど、帝劇への強い思いを持たれている方がたくさんいると思います。劇場に来てくださった方は分かち合いたいですし、演劇界にとっては寂しいけれど大きな節目でもあるので、最後までみんなで帝劇を愛し尽くして、抱きしめ尽くしてお別れしたいと思っていますので、28日まで同じ気持ちでよろしくお願いします」と、メッセージを寄せていた。
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ