声優・櫻井孝宏が3月1日に東京シネマート新宿でアニメーション映画『親鸞 人生の目的』(監督:青山弘 /配給:「親鸞 人生の目的」実行委員会)公開記念舞台あいさつに俳優・杉良太郎とともに登場した。
66万部のベストセラー書籍『歎異抄をひらく』と25万部の『人生の目的』を原作とした作品。親鸞の青年時代を中心にその生涯を描く。今から約850年前の平安末期から鎌倉時代の激動の時代を舞台に、人間としての親鸞の苦悩と葛藤に焦点を当て、「やがて死ぬのになぜ生きるのか」「人は何のために生きるのか」「幸せとは何か」という普遍的なテーマを扱っている。
櫻井は親鸞聖人の青年期の声を、杉は芸能生活60年にして初めての声優出演で、晩年の親鸞役を務めた。櫻井はオーディションで今回の役を手にしたと話しつつ、親鸞の印象へ「選んで頂いて台本を頂いて文字の状態で見ると声優を務めているので、文字からの情報を拾うのですが映像と照らし合わせて親鸞の人間性が、完成したものを観てから分かったものもあるんです。気づかなかったことを改めて気づくこともあって。親鸞さんが目の前にいるような気分になって」と、収録前と完成品を観た後では変化があったそう。
さらに櫻井は杉へ「杉さんの親鸞さんが優しさも迫力も肉声感というか、杉さんの親鸞のお声が包んでいるような感想が自分の中に生まれました。素晴らしい作品が生まれたと思っています」と、杉の声によってより作品に深みを感じたという。
しかし、当の杉は「よくわからないんです。声だけというのがどこか頼りなくて。「79歳のときにお話を受けて、収録は80歳になってからで間に合いました。80歳代はいまだと若いですよね。だから90歳くらいのお声をという演技をしてみたのですが、音響監督から『もう少し若くて大丈夫です』と言われて。そんなこともあったから、櫻井くんは良かったというんですけど……」と、戸惑い気味。すると、櫻井は杉に体を向けて「本当に良かったですよ」と声をかけていた。
続けて親鸞の声をあてることで意識したことは?という質問があり、櫻井は「考えすぎると良くないのではと思ったので、収録当日は身一つでできるだけ自然体に台本・映像と向き合うようにしていました。考えすぎない。それでも、作品のテーマとか伝えたいことは絶対に表現できるようにという気持ちで臨んでいました」と、振り返っていた。
杉は演じるにあたって、自身が日々感じていることを親鸞聖人が作品のセリフとして「言いたいセリフだったのでやりやすくはありました」と、振り返るとともに、自身が刑務所への慰問をはじめとした福祉活動をしているときの話から、親鸞聖人の教えとして生きているときに「小さな幸せをいくつ自分が手にすることができるか。生きている間に何をするか」「今日この日を大事にする。人に優しい気持ちを大事にする。罪を犯してはいけない」そんな気持ちを持ってもらえたらと伝える。そこから、「1回や2回ではおそらく理解できないと思います。死ぬまでに何回も何回も何回も観て、みなさんが答えを見つけていく作品だと思います。アニメにしてわかりやすくお伝えしたわけであります。今の時代ウケを狙ったあいさつもできません。真面目に真面目に考えて1つこの作品をまたご来場頂いて観て頂けたらと思います」と、滔々と真摯な気持ちを語り終えると、櫻井も観客たちも自然と拍手でその気持ちに応える一幕もあった。
映画『親鸞 人生の目的』は公開中!
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ