俳優ディーン・フジオカ(37)、太賀(25)、鶴田真由(48)、阿部純子(25)、セカール・サリ(29)が26日、東京・テアトル新宿で映画『海を駆ける』(監督:深田晃司/配給:日活 東京テアトル)初日舞台あいさつを深田監督(38)とともに開いた。
深田監督が、2004年に発生したスマトラ島沖大震災にて津波で壊滅的な被害を受けながらも、今では完全に復興を遂げた町バンダ・アチェを訪れて得た着想をオリジナル作品。自然はときに美しく、ときに脅威になり、それでいて生活とともにあるという様子を、国籍や宗教を越えて育まれる若者たちの友情を通して描いたファンタジーで、ディーンはバンダ・アチェの海岸で倒れていた謎の男・ラウを演じている
サリが来日しているということもあって、ディーン、太賀、鶴田はインドネシア語で、阿部は英語であいさつするという多国籍なものに。
撮影現場へディーンは「太賀がマスコットでしたね(笑)」と、周囲から可愛がられたうえ、そのダンスも現地のスタッフから褒められデビューしたらと勧められるまでだっったそうだが、当の太賀は「まずは日本で頑張ろうと」と、そこは速攻で否定し会場を沸かせる。
サリもタカシ役の太賀の演技は楽しんでいたといい、「タカシの顔が面白くて笑いをこらえるのが大変でした(笑)。ビンタするところで、面白い顔をするから私が笑いだしてしまって」と、テイクを重ねてしまったそうだが、太賀は逆にそれが楽しかったという様子も。
撮影については、ディーンは、インドネシアと日本の撮影スタッフとの違いへ“レインストッパー”なる役職があったといい、「インドネシアから輸入するべきですよね」と、力説。その名の通り、雨が降るのを止めるのが仕事のようなのだが、鶴田は「冗談かと思っていたらそんなことなくて」とうなずきディーンは「普段は現場でコーヒーを飲んでタバコを吸っているだけなんです。雨雲が近づいてくると祈って、祈っていると雨雲が動いて僕らはスムーズに撮影ができるんです。マジなんです。1番最初にリストラの対象になるじゃないかって思ったんですが、現場にインする1週間前からずっと雨が降っていたんですけど、インしてからオールアップするまで1週間雨で止まったことことなくて。アップした後からまた大雨が降り出したんですよね」と、その効果に驚いたそう。
深田監督もそんなレインストッパーへ「撮っていてゾッとするというか笑えないというか。個人的にはスピリチュアルなことは信じないようにしようと思っていましたけど、信じたほうが得だなって思いました」と、感嘆を漏らしたが、ディーンは「信じないって言ってますけど、これ『海を駆ける』って作品ですから(笑)!」と、ラウが不思議な存在として描かれている作品ということを下地に思わずツッコミを入れ場内を爆笑させた。
ほかにも、ディーンは撮影で印象的だったシーンへ、「振り返って海に頭から突っ込むというシーンがあったんです。水の中で逆さになると耳とか鼻に水が全部入ってくるんですよ。衝撃的で、病院で鼻から塩水をすごい水圧入れるような感じで……すごいスッキリしましたね(笑)」と、体験を。
また、この日は、本作が海を超えてインドネシアはもちろんのことフランス、中国、台湾と世界5ヶ国での上映が明かされ、ディーンは「この作品は観た人それぞれの価値観、人生観、死生観みたいなものを問われると思うんです。話し合うことで、この作品の面白さが変わると思いますし、世の中にバックグラウンドの違う人がいるわけで、違う意見がエクスチェンジされるきっかけになる映画だと思います。世界に海を超えてかけていけるように、みなさん応援をよろしくお願いします」と、呼びかけていた。
映画『海を駆ける』は26日よりテアトル新宿、有楽町スバル座ほか全国ロードショー!