俳優・長澤まさみ、森山未來が4月9日に東京・歌舞伎町のTHEATER MILANO-ZaでBunkamura Production 2025『おどる夫婦』(演出:蓬莱竜太)公開ゲネプロをアイドルグループ『timelesz』松島聡、俳優・皆川猿時、小野花梨、内田慈、岩瀬亮、内田紳一郎、伊藤蘭がその仕上がりを披露した。
とある夫婦の10年の軌跡を描いた作品。夫婦でもがくさま、世間に翻弄される様、互いに主導権を握り、踊り・踊らされているさま、あるいは、足並みをそろえて進もうとするさまなどが描かれている。長澤は自分の感情を上手く表現することができない舞台衣裳デザイナーの妻・キヌを、森山は人生の意味を哲学しながら不器用に生きる夫・ヒロヒコを演じる。
舞台開演時間15分前になると、森山が役としてステージに現れる。キヌとヒロヒコが夫婦になる前の出会いの部分で、学生時代の演劇サークルの待合のような雰囲気で、1人また1人と舞台にキャストが増えていく。そして時間となると、そのままキャスト陣がセリフや動きをはじめ、自然な形で劇へと入っていく様子を見せた。
舞台に設置されている机や椅子などは、キャスト陣が自身で動かすこともある。どの椅子に座るのかでも、そのキャラクターの置かれている状況や心情を表しているような様子も窺わせる。また1人2役を演じるキャストもおり、アクセントとして機能。時折、客席の取材陣の笑いを誘うような瞬間も見られた。
明日に初日を控え、キャスト陣からそれぞれコメントが公開された。以下全文。
●長澤まさみ/キヌ役
共演の森山さんは相変わらず、頼りになる優しい方で、森山さんがいなかったらこの作品に立ち向かうことはできなかったと思います。その時の、心を大切に、夫婦の在り方を毎日作っていけたらいいなと思います。
この物語の唸りがどんなものになるのか、私にも全くわかりません!!しかし、きっと、お客様には伝わるはず!!と思って、今はただ最後の稽古に励んでいます。
楽しみにしているお客さまに喜んでもらえるように出来ることをひとつずつ、積み重ねていこうと思います。
●森山未来/ヒロヒコ役
もしみなさんが、あなたにとっての世界を描くとしたら、何が起点になりますか。地球、環境、経済、宗教、国家、政治、会社、家族、隣にいる人。全てが絡み合ってこその世界ですから、どれかだけ、というわけにはいかないと思いますし、どれかだけで描写されるべきでもないでしょう。
『おどる夫婦』はそのどれもが絡み合う世界で、踊らされる人々の話です。それは蓬菜さんによって構成された振付作品であり、そこに関わることになった全ての人たちが保有する個人的な物語が混ざり合うドキュメンタリー作品であり、つまり、演出された舞台の上に広がる世界の片です。カーテンコールをお楽しみに。
●松島聡/光也役
この物語は、正直言語化するのが難しく、捉え方次第では全員が良い人にも見えるし、悪い人にも見えるという、すごく複雑な内容です。演じている側も胸が苦しくなるような瞬間も多いですが、それが日常に起こるリアルなのだと現実を知るのは大切なことだと思います。自分の思う光也としての表現のアプローチがたくさん生まれてきているので、早くご覧いただきたいです。
伝えること、特に愛とは何か、人とは何か、その難しいテーマに答えるべく、作・演出の蓬莱さんをはじめ、長澤さんや森山さん、錚々たる共演者の皆さまと、演劇を通して発信していけることがすごく楽しみで、光栄に思います。
●皆川猿時/薮原役
こないだ、衣装付き通し稽古のあと蓬莱さんが「いい感じです。ここからまた新たな感情に出会えると思うし、もっと自由になれるはずです」みたいなことを言ってました。私、皆川猿時、54歳、現在106キロ、それ聞いてうっとりしちゃいました。だって、自由になりたくて役者やってんだもん。というわけで、いよいよ初日です。うおー!!「ええ、非っ常に興奮しております。おかげさまで、膝、いい感じです。俺、がんばる、ゼッタイ!
●小野花梨/りく役
見どころは、作品の内容やそれぞれのキャラクターの魅力はもちろんですが、転換時のセットの大道具の動きにぜひ注目していただきたいです。1つの手を間違えてしまったら何手か先で大事故になるほど、物が流動的に、連動しながら動いていくことで場面を作っていきます!
まるで物が意思を持って生きているような、劇場自体が大きな生物のような、そんな空間の中で繰り広げられる蓬莱ワールド。必ず楽しんでいただけると思います!
●伊藤蘭/朋恵役
舞台とはそういうものとわかっていながら、今回は特に演じる側にとって全く油断もスキもあったものじゃない!―というのが正直な感想です笑
そんな中、どんな難題も軽やかにしなやかに次々とクリアしていくまさみさんと未来さんに毎日のように目を奪われ、そして励まされ、出演者一同稽古を積み重ねてきました。
蓮菜さんが丁寧に紡ぎ出した2人の物語、どうぞみなさまに届きますように。
Bunkamura Production 2025『おどる夫婦』東京公演は4月10日から5月4日までTHEATER MILANO-Zaにて、大阪公演は5月10日から5月19日まで森ノ宮ピロティホールにて、新潟公演は5月24日と5月25日にりゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場にて、長野公演は5月31日と6月1日にサントミューゼ 大ホールにて上演予定!
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ