俳優ディーン・フジオカ(37)が6日、東京・テアトル新宿で映画『海を駆ける』(監督:深田晃司/配給:日活 東京テアトル)公開御礼舞台あいさつを深田監督(38)とともに開いた。
深田監督が、2004年にスマトラ島沖大震災で津波で壊滅的な被害を受けながらも、今では完全に復興を遂げた町バンダ・アチェを訪れて得た着想を映画化。自然はときに美しく、ときに脅威になり、それでいて生活とともにあるという様子を、国籍や宗教を越えて育まれる若者たちの友情を通して描いたファンタジー作品となる。ディーンはバンダ・アチェの海岸で倒れていた謎の男・ラウを演じている。
立ち見のファンが出るほど人気のイベントに。ディーンは「みなさん現実に戻ってきてください!(笑)」と、お茶目な第一声で観客達を沸かせつつ、「日本で映画を映画館で見るという文化の1部になれていることを嬉しく思います」と、公開されたことを喜んだ。
作品へ、ディーンは「リピーターのみなさんは何度も聞いているかもしれませんが……」と、前置きしつつ、「アチェで映画を撮るということは、作品を観てもらえれば分かると思いますけど、機材とか映画館もない場所に、映画を撮影をしにいくというのが狂気の沙汰としか思えなかったんですよね。すごく遠いところという感じがあったので、自分の知らないインドネシアに入っていくという感じで。宇宙と地上はつながっているような、ミクロの中に大きな宇宙があるような、手塚治虫さん的なものではないですけど、とにかくわからないもの、未体験のものにワクワクした気持ちと、狂気だなと思ったんでどうやってやるんだろうと、ドキドキ・ワクワクが強かったですね」と、撮影中は胸を躍らせていたとも。
劇中では、ラウが海上に立つようシーンもあるそうだが、実は海の中に橋を立てその上に立ったのだとか。ディーンも「インド洋を走り抜ける経験はできないと思います。立って(水平線を見ると)視界は全部海なんですよね。海に立っている不思議な感覚を感じましたね」と、体験を伝えていた。
この日は、深田監督が、喉の調子が悪くガラガラ声だったためディーンが深田監督に手をかざして“治そう”とする一幕もあったが、深田監督から、ディーンの起用の際に、「キャスティングがなかなか見つからなかったんです。ラウという超然としたキャラクターを演じるので。それでディーンさんを何人かから勧められて、グーグルで画像検索してお顔を見てみたら、ラウだと思いました」と興奮したそうで、ディーンも「グーグルのおかげで『海を駆ける』を主演することができました。グーグルさんありがとうございます。僕も毎日グーグル使ってます(笑)」と、ノリノリで返して笑いを誘った。
さらに、ディーンは自分で本作を観たときの感想へ、「最初の試写会のときは楽しい記憶が思い出されて思い出し笑いが止まらなくて(苦笑)。でも、あらためて冷静に観ると、監督が脚本の一番最初に書こうとしていた、宇宙には満足だけど、世界には不満足だという、そのクオートが印象的で、その一言でこの作品の宇宙感みたいな価値観みたいなものが表現されているんじゃないかなって。自分も作品から離れて、役者から離れても何度も納得するというか、頭の中で“エコー”しているわけですよ」と、しみじみ。ちなみに、コメント中にあった“エコー”はディーンが現在主演中のドラマ『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』(フジテレビ系)にて主題歌になっている自身の楽曲『Echo』にもかかっていることを匂わせ観客たちを沸かせる一幕もあった。
映画『海を駆ける』は絶賛公開中!