お笑いコンビ『カラテカ』の矢部太郎(40)が7日、東京・浜離宮朝日ホールで『大家さんと僕』手塚治虫文化賞贈呈式を前にお笑いコンビ『130R』の板尾創路(54)とほんこん(54)、お笑いタレント・石田靖(52)、俳優・木下ほうか(54)とともに囲み会見を開いた。
アパートの1階に住む、挨拶が「ごきげんよう」な、気品あふれる高齢の「大家さん」と、その2階に間借りしている、あまり売れていない芸人の「僕」の温かい交流を描いたエッセイ漫画『大家さんと僕』(新潮社)。矢部が現在進行系で体験中の、住んでいるアパートの大家さんや、周囲の芸人たちとの姿を描き、30万部を突破するベストセラーとなっている。
受賞へは、「発表の1ヶ月前に、寝起きでお知らせ頂いて、本当にこんなに嬉しい気持ちになることがあるんだって」と、飛び起きるほど喜んだのだとか。大家さんにも報告したそうで、「『ご立派になられましたね』と言ってくださいました。伊勢丹で買ったハンカチをプレゼントさせてもらって」と、しっかりお礼もしたという。
相方の入江慎也(41)も「喜んでくれて、これはチャンスだとマネージャーに言ってました」と、ともに喜びを分かち合ったというのだが、相方の入江がこの受賞を知ったのは世間のニュースだったのだとか。こっれにも理由があるそうで、矢部は「身内の人には知らせてもいいですが、あまり言わないでくださいと言われたんです。とくに入江くんは口が軽いからと固く口止めされてました」と、関係者たちから止められたとも。
これを機に芸人をやめる?との質問も飛んだが「お笑いをやってたから描けたんです」と、作家と両立していくそうだが、報道陣から「どちらの活動が楽しい?」という問いかけには真面目に受け取った矢部が頭を悩ませ、石田から「そこはお笑いだろ!(笑)」と、ツッコミを受けていた。
ちなみに、この日、ともに囲み会見に登壇した面々は作品内のキャラクターのモデルになった人たちなのだとか。矢部が「モデルに勝手にさせて頂いた方に来てもらいました」というと、ほんこんが「無断使用や、おい事務所どこや!」とがなりたて矢部が控えめに「ちゃんとお伝えしたじゃないですか」と“抗議”するとほんこんが「(事務所)一緒やった(笑)」と、まるで漫才のようなやりとりも。
会見では、ほんこんをはじめとした先輩芸人たちからはひたすらイジり倒されていたが、板尾からは本作の初めのころにアドバイスをもらったという話や、「僕の絵の才能を1番最初に気づいてくれたんです」という石田と、温かい先輩たちに囲まれている様子を見せた矢部。
しかし、以前は週4で飲みに行っていたという飲み仲間の木下は矢部のことを心配しているようで、「受賞はめでたいですけど、最近はメッセージを送っても既読スルーで会ってくれない。以前はダメなときでも丁寧に、『重ねてすいません』とお詫びのメールがあったんですけど、調子乗ってはんねん。いまが頂点で落ちるだけで」と、クギを差す。板尾も後ろにあった朝日新聞のパネルを指しながら「これが夕日に変わるぞ」と早い“落日”を指摘し、大いに矢部を恐縮させていた。
本作での印税は「みんなに恩返ししたいなって気持ちがあります」と謙虚だった矢部。それでも、最後は、「先輩にわざわざ来て頂くのはいいのかなと思っていたんでうすけど……みなさんいい働きをして頂いて」と、上からのような言い方を天然で言い放ち先輩芸人から報道陣まで大爆笑で一同ずっこけさせつつ、「決して僕だけで取れた賞だとは思っていません。応援してくださった方と一緒に頂いたものです」と、矢部の温かい気持ちあふれる会見を終了し贈呈式へと向かっていった。