アニメーション『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』(監督:大森貴弘、伊藤秀樹/配給:アニプレックス)初日舞台あいさつが29日、東京・新宿バルト9で開かれ夏目貴志役の神谷浩史、ニャンコ先生/斑役の井上和彦、夏目レイコ役の小林沙苗、田沼要役の堀江一眞、多軌透役の佐藤利奈、お笑いコンビ『バイきんぐ』でもんもんぼう役を演じた小峠英二、六本ある妖怪を演じた西村瑞樹、津村容莉枝役の島本須美、津村椋雄役の高良健吾が登壇した。
漫画家・緑川ゆき氏が2003年から連載している作品で、2008年に初のTVアニメ化。その後も17年までにTVアニメが6期まで制作されるという息長くファンに愛されている作品。本作はTVアニメ化10周年を記念して制作されており、緑川氏が監修しているオリジナルストーリーとなる。小さい頃からほかの人には見えない妖(あやかし)が見えることから人と、距離をとることしか出来ず生きてきた夏目貴志(神谷)。亡き祖母レイコが勝負をしかけ、負かした妖に契約書の束「友人帳」を継いだ貴志は、自称用心棒のニャンコ先生(井上)とともに妖たちに名前を返す日々を送ることとなる。
エンドロールが終わると劇場には温かい拍手、声優陣が姿を見せると大歓声が起こるなかスタート。あらためて10年、第6期までのTVアニメシリーズを経て、ついに劇場版公開となった『夏目友人帳』の魅力について、井上はニャンコ先生の声で「そりゃ、間違いなく私だろ」と、お茶目なアピール。
すると、神谷もニャンコ先生のぬいぐるみを指して「悔しいけどそうでしょうね。(映画のポスターなどで)街中でこいつを見かけるんですよ」とうなずいたが、井上が再びニャンコ先生の声で「気安く“こいつ”とか言うな!」と掛け合いで、会場は笑いに包まれる。
そんな神谷は「10年間も関わってきたのに(本シリーズの魅力が)思い浮かばなくて……でも、観終わって『いいもの観たなぁ』という気持ちになるんですよね」と、しみじみ。小林は「妖怪たちの思いの強さにいつもジーンと感動します」と語り、堀江も「妖怪たちに見習うことがあるんですよね」と、相づちを打った。
一方、高良は、本作が声優挑戦。以前から本作品を好きだったそうで「せっかく好きな作品なので、俳優が声優をやる意味を考えながら参加しました。(普段の俳優業と違って)いろんな制限がある中で、難しかったですが楽しかったです」と、得るものが多かったよう。そんな高良演じる椋雄の母・容莉枝を演じた島本は「こんなに優しくて素敵な息子ができて幸せです」と、目を細めることも。
ちなみに島本といえば、過去に何度も井上と夫婦役や恋人役で共演しており「和彦さんがいるなら安心!」と、思ってアフレコスタジオに足を踏み入れたものの、ニャンコ先生の声を耳にし「『何この声?おもしろい(苦笑)! 』と思って(笑)、この作品はどんな作品なの?と、迷ったりもしましたが、演じる上では、アニメアニメした声じゃなく、スクリーンの中で容莉枝が生きているかのように、観終わった後も成長していくのを想像していただけるようにできたらと、できるだけ自然体で演じました」と、振り返っていた。
続けてトークが、作品のテーマにもなっている「出会いと別れ」のエピソードの質問が。
佐藤は「実生活でも猫を飼ってて、猫との出会いと別れはすごく印象的です。(自身が演じる)多軌ちゃんがニャンコ先生を大好きなので、多軌ちゃんと出会えたことも出会いです」といい、井上さんが持つニャンコ先生のぬいぐるみを見て「カワイイ! 持って帰りたい! たまらない!」と、大興奮!
堀江、小林、井上は、声優の世界に入ったきっかけとなった出会いと別れを述懐。堀江は「高校の時のクラスメイトが事故で亡くなって、すごく落ち込んで、その子も何かやりたいことがあったんじゃないかと思い、その子のためにも自分も何か燃えるものを見つけてやらなきゃと声優を目指して」と、告白。小林は、恩師、声優・たてかべ和也さんに声を掛けられ、この世界に入ったことを明かし「最初にお会いしたときの、たてかべさんの太陽のような笑顔が忘れられないです。作品の影響で、服もオレンジが多くなるとおっしゃっていて、私生活から作品を大事にしている姿が印象的で、この仕事を始めてからも、その思いがずっとあります」と、語る。
井上は、声優・永井一郎さんとの出会いを挙げ「もうお亡くなりになりましたが、ずっとお世話になっていて、永井さんにお会いしていなければ声優になっていなかったし、ニャンコ先生の役はもしかすると別の人がやっていたかもしれないですし」と、感謝を口にしていた。
一方、終始“ハゲ”ネタでトークを展開していた小峠は、最初に司会に「ぬらりひょん役」と紹介されると「アニメが違う(笑)!」とツッコみ、自身の出演理由についても「(演じたもんもんぼうの見た目が)ハゲているからかと……」と自虐。さらに、別れに関するエピソードでも、親戚一同がみんなハゲていることを明かし「お葬式とかハゲが全員集合のところにハゲたお坊さんが来て『故人にお別れを』と言われて棺を開けると故人もハゲてて……」と語り、会場は笑いに包まれる。
そんな小峠に対し、島本が「棺に爪や髪の毛を棺に入れたりする風習がある土地もあるけど、そういうときはどうするんですか?」「小峠さんがメイクルームでメイクをすると聞いて、何をするのかと…。テカリを抑えたり?」などと果敢にイジりまくり、会場はそのたびに爆笑に包まれていた。
西村はといえば、そんな相棒の小峠との出会いについて「22年前。大分の教習所でこいつと出会って、その後、養成所の面接で偶然、再会したんです」と懐かしそうに明かしていた。
そして神谷から「もし、『夏目友人帳』が2018年に始まったとしても、10年後の2028年にきっと劇場版にたどり着いていたと思います。何が言いたいかと言うと、この作品はいつの時代にあっても、変わらずにみなさんの心にあり続ける作品だということ。また、10年後にこの作品を見た時、同じ気持ちになっていただけると思います」と語りかけ、会場は再び温かい拍手に包まれた。
『劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~』は全国公開中!