俳優・柄本佑(31)が1日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで主演映画『きみの鳥はうたえる』(監督:三宅唱/配給:コピアポア・フィルム)トークとQ&Aを三宅監督とともに開いた。
作家・佐藤泰志氏の同名作を原作に、現代にアレンジした作品。主人公の「僕」(柄本)、その同居人の静雄(染谷将太)、「僕」と同じ書店で働く佐知子(石橋静河)の取り戻すことのできない青春を描いている。今年9月に上映開始となったが開催中の『東京国際映画祭2018』(TIFF)内の『Japan Now』部門に選ばれたことからイベントの開催となった。
上映後のトークショーとなり、柄本は「僕が東京国際映画祭に来るの初めてなんです。この作品は話を頂いて3年経っていて、僕の中でも割と宝物のような作品なので、この作品で来れたことが嬉しいです」と、笑みを見せる。
司会から、この作品にはあいまいさが多く潜んでいるのではとの声が寄せられたが柄本は「演じているときは、あいまいとかを考えないでやっていました。結局、あいまいなことをあいまいにやると、あいまいになっちゃうので、あいまいさを具体的につかまえるというか……。僕だけは『僕』という役で、世の中の人って、みんな僕だから、『僕』ってなんなんだろう考えていました。だから、撮影の2日目から監督・スタッフを含めいろんなことを試しながら、僕の掴んだことを真っすぐ入る、直線ということなんです。『僕』ってその時、その時に正直に話しているから、その部分をちゃんと大事にしないと、あいまいさというか具体的なものはつかめなかったかなって思っています」と、演じたときのことを分析。
さらに、自然体のようだったという司会からの指摘には、「主張のないというか『僕』って役は、空、山、海、『僕』みたいな感じで、台詞でも『空気のような存在になれる』と言ってますけど、やっぱり自然ではなかったというか」と、感じたことを口にしていた。
その後は、観客とのQ&Aを行い、作品の細かいシーンの解説などをし、共演の石橋を劇中で不意打ち的な演技で笑わせたといい三宅監督は「石橋さんは笑顔が本当に可愛くて魅力的なので、佐知子の役柄をつかまえるのに重要なので」と、演技プランを話したり、柄本も「本当に素直に受け入れてくれる壁のないのが石橋さんで、そういう石橋さんだから、こういう『僕』になったので、助かりましたね」と、その存在に助けられたようだった。
また、柄本といえば、先月27日に母で女優の角替和枝さん(享年64)を原発不明がんで亡くしたことを発表して以降、初公の場となったが、イベントでこのことに触れることはなかった。