俳優・古田新太、早乙女太一、清野菜名、須賀健太、高田聖子、粟根まこと、池田成志が13日、都内ホテルでいのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』製作発表記者会見を脚本を担当する倉持裕氏、演出いのうえひでのり氏とともに開いた。
戦国時代が舞台。政略結婚を解消して大名家を飛び出した紗々姫(清野)を、人生も後半に差し掛かった浪人軍配士・真中十兵衛(古田)と若き紗々姫の家臣・雨森源七(須賀)が守りながら城まで送り届けるという王道時代劇。もちろん『劇団☆新感線』らしい歌あり、笑いありのテイストで楽しませるエンターテインメントとなる。
まずはコンセプトへ、倉持氏が、「黒澤映画の『隠し砦の三悪人』と太宰治の『走れメロス』をあわせた話で何かできないと言われて」と、モチーフにしたものを挙げたり、いのうえ歌舞伎『乱鶯』とは違い「明るく軽いもの」にしているという。さらに、『乱鶯』では古田新太が出ずっぱりだったため、恨みを買ったという倉持氏は、「古田さんが一服できるくらいのインターバルが置かれています」とのことだった。
今回の起用へ古田は「劇団員なので、『古田、公演なので入って』と言われて。拒否権はないですよね」と、簡潔に伝えて笑いを誘ったり早乙女も合わせるように、「僕は動き担当です。よろしくお願いします」と、こちらも簡単に話して記者たちを笑わせた。
とはいえ、早乙女は6度目の『劇団☆新感線』公演にして古田と初共演を果たす。これに早乙女は「待望の……というか、いつかは古田さんと刀を合わせたいと思っていたんです。僕は勝手に師匠と思っているんです。やっとできるということで、僕は何よりも嬉しいことす。テクニックでは勝てないですけど、体力でついていきたいと思います」と、古田に対しては熱い思いを語り、古田はといえば、「師匠って先に衰えますから乗り越えていってもらいたいものです」と、軽く話していた。
早乙女、清野とともに倉持氏から“動き担当”といわれた須賀は「いのうえさんの千本ノック担当だと思っています」と苦笑いしつつ、「舞台をやりたいと思ったきっかけが『劇団☆新感線』さんだったんです。今回は劇団員のオールメンバーということで、僕の見ていた新感線に出られるんだというのがあってすごく幸せです。けいこがいまから心配ですけど頑張ります」と、『劇団☆新感線』の劇団員たちとの共演を楽しみにしている。
脚本について、池田は、「台本は電話帳くらいあります」と、その分厚さを明かし、「どこかカットするくらいと思っていたんですけど、きっちり入り組んでいるんですここをカットすると、この伏線が飛ぶとか。非常に悪辣なフォルムになっています(笑)。だから、テンポをあげないと面白くないし、テンポを挙げると体力を消耗するという……戦々恐々という感じです」というと、倉持氏は「僕もカットすべきだなと思っています」と、あっさりうなずいていた。
作品のキーワードに“翻弄”があるため、翻弄された思い出はないかと質問が出たが、早乙女が隣にいた須賀を見ながら、「『髑髏城の七人』Season《月》で健太と一緒にやらせてもらったんです。健太が自分のセリフじゃないところでセリフを叫んでて、最近では1番翻弄されましたね」というと、須賀は大焦りで「ちゃんと舞台上ですいませんと言いました」と、苦笑い。その逆襲とばかり、須賀は早乙女へ、「僕は作品が終わったら共演者の方たちとご飯に行く機会がほとんどないんですけど、早乙女さんは誘ってくれるんです。僕だけ誘ってくれたのかなって思って行ってみると、だいたい柄本時生くんがいて、俺は2番目なんだ……って」と、グチを漏らしていた。
さらに、池田からは古田に対して持っていた“爆弾”を破裂させることに。「昔“渡辺いっけい”から留守番電話が入っていて、記事にもできないようなシモネタを延々長くしゃべっていて、留守番電話のテープがなくなるくらいだったんです。私は非常に怒って、渡辺いっけいと絶交していました。それから、数十年経って古田くんにその話をしたら古田くんがニヤッとしたんです。それが古田くんによるいっけいさんの声真似だったんです。そのことが20年以上経って判明し、渡辺いっけいとは同い年で仲がよかったのに、その友情を壊し、そのことを俺に告白しなくて、非常に根深く翻弄された記憶があります。ですから、みなさんも古田くんの言うことを信用しないでください」と、恨みが炸裂と言った様子。しかし古田はどこ吹く風で、「もしもし~成志~渡辺でーす」と、当時を再現。これには池田もお手上げといった様子で、笑っていた。
会見中ものらりくらりとしたコメントで報道陣を爆笑させまくっていた古田だが、最後は「非常によくできたホンですよ。橋本じゅんさんは出てませんけど劇団員がフルメンバーでやるのは久々です。河野まさとを観に来てほしい」と、きっちりアピールしていた。
いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』東京公演は7月15日から8月24日までTBS赤坂ACTシアターにて、福岡公演は9月6日から同23日まで博多座にて、大阪公演は10月8日から同21日までフェスティバルホールにいて上演!