俳優・佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、田中裕子が同じ家族役で出演する映画『ひとよ』(監督:白石和彌/配給:日活)の公開日が11月8日となったことが7日、分かった。
15年前、稲村家の母とその子どもたち3兄妹にある事件が降りかかる。以降、別々の人生を歩んだ家族が15年後に再会。家族の絆を問いかけるヒューマンドラマに仕上がっている。
東京でうだつのあがらないフリーライターとして働く稲村家の次男・雄二を佐藤が、しがない町の電気屋に勤務し、三兄妹で唯一自身の家庭を持つが夫婦関係に思い悩み、幼少期より人とのコミュニケーションに苦手意識を持つ長男・大樹を鈴木亮平。事件によって美容師になる夢を諦め、スナックで働きながら生計を立てる末っ子の妹・園子に松岡茉優。そして、15年ぶりに三兄妹との再会を果たす母・こはるを田中裕子が演じることとなる。
本作は令和初日となる5月1日にクランクイン。ちょうど1ヶ月後の6月1日にクランクアップとなった。撮影最終日に行われた撮影では、家族全員がそろったクライマックスの重要なシーンを撮ることに。一連の流れでの動きの多いシーンでもあるため、白石監督を中心に入念な段取りが行われ、幾度もシーンの検証が繰り返され、時折キャストからも提案が挙がり、モニターで自らの動きを最終確認していく。本番ではほぼ一発OKで迫真の芝居が次々と収められていき、日付が変わる直前にクランクアップとなった。白石監督は「良い映画になっていると思います」と、手応えを滲ませた。
稲村雄二役を演じた佐藤は、「白石監督とはぜひ、いつかご一緒できたらと思っていました。こんなにも素敵な話で、こんなにも素敵な役者・スタッフのみなさまとぜいたくな時間を過ごさせていただき、振り返るとあっという間でした」と、しみじみ。
さらに、芝居について佐藤は「その時に出たもので勝負と言いますか、ドキュメンタリー的なアプローチの仕方をしてきたように感じています。白石監督が、『最高傑作になるであろう』というような言葉を漏らされていたとも聞いていますし、きっと素晴らしい作品に仕上げてくださると信じています。なので、みなさんも期待して公開をお待ち頂けたら嬉しいです」と、メッセージを。
稲村大樹役の鈴木亮平は、「スタッフのみなさまに演技のしやすい環境を作っていただき、いい雰囲気で毎日撮影できるのが幸せでした。撮影前の準備段階から(大樹の)吃音についてもサポートしていただいて感謝します。ありがとうございました」とお礼を言いつつ、「この映画は家族の話であり、時間の話でもあると思っています。僕は、(田中裕子さん演じる)お母さんの『ただの夜ですよ』というセリフが大好きで、台本で読んだときに、自分の中で良い夜も悪い夜も、いろいろな夜が思い浮かびました。観てくださったみなさんも、観終わった後にそれぞれの響き方をするのではと思っていますが、みなさんの人生の1つ1つに想いを馳せていただき、『ひとよ(一夜)』を想って頂けたら嬉しいです」と、メッセージを寄せている。
稲村園子役の松岡茉優は「憧れの白石組で、憧れの先輩方とご一緒できて嬉しく思います。私はこの映画を観てくださった皆さんに感動してほしいとか、泣いてほしいとかではなく、家族に対して何かゴロゴロとしたものを抱えて生きていらっしゃる方に、この映画を観てどこか許されてほしいなと思いながら演じていました」と、実感を。「そして、背中を押すまではできなくとも、たとえば『お母さんにメールをしてみよう』と、思い立つような、そんな映画になったらいいなと思っています。楽しいばかりの映画ではないかもしれませんが、『良かったな、楽しかったな』と、有意義な時間を過ごせるように頑張りました。あっという間に公開となりますが、楽しみに待っていてください」と、話している。
そして、白石監督からは、「俳優部のみなさんが充実した顔でクランクアップを迎えられていたのは、何より良かったです」と、気持ちを語りつつ、「俳優部みなさんの芝居を堪能でき、どのシーンも想像以上のシーンになっているので、(撮影を終えての)手ごたえはありますし、良い映画に向かっていると感じています。“家族”は誰しもがそれぞれのかたちで持っています。誰の中にもある家族の話に少しでも近づき、みなさんの心に引っかかる映画になればと思っています」と、意気込んでいる。
※記事内の画像は(C)2019「ひとよ」製作委員会