元『AKB48』で女優・岩田華怜(21)が22日、東京・渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホールで主演ミュージカル『Signs!(サインズ)~微力だけど無力じゃない~』(脚本・演出:田中広喜)公開ゲネプロを前に、囲み会見を開いた。
本作は、1998年のインド・パキスタンの核実験を契機に、長崎の人々が核実験の禁止を求める署名を集め、それをニューヨーク国連本部に届ける役目となった『高校生平和大使』の活動をモデルにした作品。岩田演じる長崎東洋高校2年生・杉崎真理亜が、親友からの誘いをきっかけで『高校生平和大使』に応募し、その行動を通して成長していく物語とともに、『高校生平和大使』の20年の軌跡をエンターテインメントとして見せる。
劇中でも着ているセーラー服姿で取材に応じた岩田。初日を目前にして、「今回は6月の頭からけいこに入っていました。ストレートプレイだとけいこ期間は1ヶ月くらいなのですが、ミュージカルで2ヶ月と割と長いけいこ期間になりました。私にとっては長かったようで、結構あっという間で、歌とかダンスとかで自分の役と向き合って一緒に作品を作ってきたので、それが公開できることが、いま、すごく楽しみです」と、準備は万端といった様子。
本作の役作りのために今年6月に長崎市に2日間訪れた。現地では「長崎県の高校生平和大使の方たちと一緒に、長崎駅前の歩道橋で署名活動をしました。その後、みなさんにお話を聞く機会があって、なんで平和大使になろうと思ったのかと尋ねたんです。高校生といえば私自身は遊びたい時期だったので、みなさんもそうなのかと思って聞いてみたら、『高校生平和大使の活動を投げ出して遊びたいと思ったことは1回もない』と、きっぱり言い切っていて。自発的に自分たちの意志でやっているから活動に意味があって、みんな続けられるんだと感じました。私としてはその時間が貴重なもので、カンパニーのみんなにもそのことを話して、役に生かしました」と、活動をしている高校生たちの気持ちを引き継いできたという。
さらに、長崎市ではさまざまな場所を巡ったという岩田。「被爆遺構があるところに足を踏み入れると、緊張感というか、美しいけど悲しいというか、そういう風景は実際に行かないと感じることができなかった」と、感じたことを伝えていた。
これまで原爆の話などには、「学校の授業で学んではいたんですが、授業の一環という形で、その授業が終わったらさらに理解を深めようというのは周りの人たちと一緒でなかったんです」という岩田だが、「作品に出会って意識が変わったので、若い子立ちに少しでも多く観てもらって、まずは知ってもらうということ。少しでも興味が出てもらえればいいなというのを感じました」と、気持ちが変わったという。
そういった思いを踏まえて、これまでに出演してきた数々の作品との違いへ、「原爆や核兵器問題とか一見、パッと聞いたら難しそうだなと思いますし、私もそうなのですが、関心はあってもどう学んでいいかわからないという人にもミュージカルという歌とダンスを通して、肩の力を抜いて楽しんでもらえる作品になっています」と、作品の特徴を話しつつ、「私が演じる真理亜という役は被爆3世で、長崎でも実際に被爆3世の高校生はいて、その人達が実在するんです。言ってしまえばノンフィクションで、私が演じる役は誰かの人生なんだと思うと、より大切に演じたいなと感じています」と、意気込んだ。
そして、「長崎の高校生たちも観に来てくれるそうなので、喜んでもらえたらと思っています。長崎の子たちにも観てほしいなと思っておりますので、長崎公演ができるようにと目論んでおります」と、目標を掲げていた。
舞台では40人を超えるキャストが登場するだけに、息の合わせたダンスは圧巻。原爆の恐ろしさも正面から表現しており、引き裂かれるような心情も歌に乗せてわかりやすく伝わってくるものとなった。
「ただただ歴史を悲しむのではなくて、若い私達がその記憶を継承して語り継いで、震災なら対策ですが、戦争は人災なので、絶対に戦争は嫌だと私達が言うことが大事だと思います。世界中に目を向けながらいろいろな人に寄り添いながら演技ができれば」と、アピールしていたミュージカル『Signs!(サインズ)~微力だけど無力じゃない~』は8日から12日まで渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホールにて上演!