吉本興業株式会社が8日、東京・新宿区の同社本社で『第1回経営アドバイザリー委員会』を開催。終了後に同委員会で座長を務めた国際医療福祉大学教授の川上和久氏がメディア向けに説明の場に立った。
6月から報じられ続けている闇営業問題に端を発し、その社内改革を目的に『経営アドバイザリー委員会』を設置。同日、その委員に就任した川上氏を含めた7人の有識者を発表した。
・関西大学大学院法務研究科教授で元最高検察庁総務部長も務めた弁護士の大仲士和氏
・株式会社読売巨人軍顧問で前同社会長・元社長の久保博氏
・元警視庁副総監の一般財団法人 日本サイバー犯罪対策センター理事長の島根悟氏
・ゆうちょ銀行社外取締役でノンフィクション作家、経済ジャーナリストの町田徹氏
・山猫総合研究所代表で国際政治学者の三浦瑠麗氏
・元日本弁護士連合会副会長、元第2東京弁護士会会長で弁護士の山田秀雄氏
同委員会では、いわゆる第三者委員会のように不祥事を調査してその責任の所在や社内処分のありかたを提言するものではなく、経営にかかる懸案事項について、専門的知見から助言・アドバイスを提示し、社内改革を進めていくものとなる。このため、個別の人事案件や個々の契約内容を取り上げることはないとしている。
『経営アドバイザリー委員会』では4つのテーマを審議。(1)反社会的勢力の完全排除へ何を実行すべきか、(2)所属タレントとの契約に関して、(3)コンプライアンス体勢の検討とあり方について、(4)コーポレート・ガバナンスのあり方についての4点。同日午後2時からは、吉本興業の岡本昭彦社長とともに町田氏と三浦氏をのぞく5人の委員が出席し、この日は(1)、(2)が集中的に審議されたという。
会見で川上氏は反社会的勢力へ打っていく手について「難しい問題ですけど、不断の努力をしていくことが重要だと。直営業をしたときにその相手が反社会的勢力ではないということをどうチェックしていくか。情報共有ができるシステムが必要なのではないかということが議題に出ました。結論が出ているわけではないんです。100点満点の回答はございませんけれど、吉本興業が反社会的勢力とのつながりはないということをきちんと担保していこう。そのための努力をということになります」という。
さらに、川上氏は「吉本興業が反社会的勢力を断つ努力を怠っていたということではないと思います。一般の企業より少し上回る水準くらいのことをやってきたことは事実だと思います。しかし、こういった難しい問題についてどう解決していったらいいかということを次回以降も検討していこうと思います」と、続けた。
一方、所属タレントとの契約について、約6000人すべてのタレントと反社会的勢力との決別も含めた条項の入った『共同確認書』を結ぶと発表。その『共同確認書』をベースに、2つの契約を結ぶことになるといい、1つめはいままで通りのマネージャーがついて営業することができる『マネージメント契約』、2つ目はタレント個人がマネジメントを行う形の『専属エージェント契約』を個々のタレントが選ぶことになるという。
今回の『経営アドバイザリー委員会』に参加した岡本社長は「できることはすぐにでもやっていきたい」と意欲を見せていたという。