俳優・伊藤健太郎(22)、玉城ティナ(21)、飯豊まりえ(21)、秋田汐梨(16)が8日、東京・TOHOシネマズ日比谷で映画『惡の華』(監督:井口昇/配給:ファントム・フィルム)完成披露舞台あいさつを井口監督とともに開いた。
漫画家・押見修造氏が別冊少年マガジンに2009年から5年間に渡って連載し、アニメ化もされた同名作が原作。閉鎖的な地方都市を舞台に、鬱屈とした中学生の青春と衝動、暗黒面、絶望などを真正面から描いている。
上映後に登壇したキャスト陣。伊藤は「魂込めて作った作品を観ていただいて嬉しいです」と、いよいよ人目に触れたということで万感といった様子で、8年前から映画化を熱望しついに映像化にこぎつけたという井口監督は「紆余曲折の末にできて嬉しいです」と満面の笑み。
主人公の中学2年生・春日高男を演じた伊藤は、「いままで挑戦したことのないキャラクターで悩んだんです。14、15の少年の心に戻るというのが難しくて。まずは、お酒をやめてみたりとかしました」と、役作りを苦心したそう。役に入りきっていたのか、伊藤は「(撮影を)もうあまり覚えてないんです。激しい1ヶ月間の撮影期間を走り抜けた感じで、そのばその場で消化しきった感じで。8年間温めて頂いた物語の中に選んで頂けて、愛を持って全力でやろうという気持ちで臨みました」と、当時の心境を語った。
問題児の仲村佐和を演じた玉城は、原作の佐和を意識したといい、「超えていかなきゃいけないというプレッシャーはあったんです」と、気持ちを吐露。さらに、「異質な感じをどう保とうかなと思って。原作の独特の間を携帯でコマ撮りして、撮影直前に見直したり、待受にしたりして、常に仲村佐和の近くにいられるようにとしました」と、こちらも役作りを相当に頑張ったそうだ。
一方、クラスのマドンナ的存在・佐伯奈々子を演じた飯豊は井口監督とは以前、ドラマ『マジで航海してます。』シリーズでタッグを組んだことがあるだけに安心して臨んだといい、「(伊藤と玉城の)お2人とは違って穏やかに撮影していたので」と、少し余裕があったようだった。
撮影で強烈に感じたシーンはないかとの質問も飛んだ。玉城は、「私もしたことないようなことをしたんですけど、人生で人(高男)にブルマをはかせることはもうないんじゃないかな。よかった―、はかせられて」とおどけていたが、「裏では2人で『1、2、3でいくから、腰上げて』とか打ち合わせてアクティブな感じでした」と、かなり綿密に打ち合わせてやっていたのだとか。
伊藤は「(高男が)ブルマのニオイをかぐシーンはあれはなかなかねぇ」と思い出して嫌そうな表情を浮かべる。すると玉城が、「あれ慣れてたよね」と言いだし、伊藤は「待ってくれよ!」と、火消しに必死で、「最初台本を読んでどうしようと。かいだことないし。監督は段取りのときに、『ブルマの繊維などを吸い取ってくれ』と。この人何言ってるんだろうと。そのシーンがクランクインのファーストカットだったんですよ。あれをやった瞬間に春日ってこういうことなんだって。あのシーンがファーストカットでよかったなって」と、キャラクターを掴むには良かったと説明。
そこで司会が「変態性が開花した?」と、際どい質問をぶっこみ伊藤は苦笑いしながら「その期間は開花しなかったわけではない(苦笑)。変態ってこういうことなのかなって分かってしまう部分がありました。仲村にいろいろ言われてM的な要素があって。いまはないですよ」と告白し、両隣の飯豊と玉城が距離を微妙にとって沸かせる一幕もあった。
そして伊藤から、「この映画は“変態狂騒劇”とか宣伝されていて、過激なのかなとか思われるかもしれません。でも、思春期を通ってきた方は分かってもらえるようなことが詰め込まれていて、この映画を観て救われる人もいると思います。そして、自分と向き合うきっかけになったらいいなと思います。大人になった方は、子どもたちの気持ちを理解するきっかけになればと思っています」と、呼びかけていた。
映画『惡の華』は9月27日より全国公開!