俳優・佐藤健(30)、鈴木亮平(36)、松岡茉優(24)、音尾琢真(43)、佐々木蔵之介(51)が25日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで映画『ひとよ』(監督:白石和彌/配給:日活)ジャパンプレミア試写会を白石監督(44)とともに開いた。
15年前、稲村家の母とその子どもたち3兄妹にある事件が降りかかり家族は崩壊してしまう。15年前の事件に縛られ家族と距離をおき、東京でフリーライターとして働く次男・雄二を佐藤、町の電気屋に勤務し、3兄妹で唯一自身の家庭を持つが夫婦関係に思い悩む長男・大樹に鈴木、事件によって美容師になる夢を諦め、スナックで働きながら生計を立てる末っ子の妹・園子に松岡、そして、15年ぶりに3兄妹のもとへと帰ってくる母親・こはるは田中裕子が演じている。別々の人生を歩んだ家族が15年後に再会するという、家族の絆を問いかけるヒューマンドラマに仕上がっている。
ド派手なスモーク演出のなか、客席の間を縫って歓声を浴びながらキャスト陣が登場。稲村家のキャスト陣は口をそろえて、作品の出来に自信を見せ、佐藤は「素晴らしい共演者のみなさまと白石監督の下ということで、今回、自分でなにかしようという気負いがなくて、過去どの現場より、1番力を抜けた状態で臨んだと思います。完成した作品は素晴らしかったです。この作品に出演できたこと光栄に思います」と、しみじみ。
続く鈴木も「とにかく評判がいいですね。健が言ったように、兄妹の空気感を気負わず、白石監督がパワフルに家族の話に仕上げてくれています。登場人物の誰に感情移入するかで、いま自分が家族に思っている思いを再確認してもらえると映画になっていると思います」と、笑みが浮かぶ。松岡に至っては「ご期待に添える、ご期待を超えていく作品だと思っています。私は大好きな作品で、監督に出してもらってありがとうございましたと胸を張って思えたのは16年間で初めてでした」と、胸を張った。
佐藤はこれまでにも、白石監督の作品にとにかく出演したかったそうで、「本当に話が来る前から、白石監督の作品の出るならこういう役作りをしていこうと考えていたことがあるんです。線を太くして体内を汚して挑もうと思っていたんです……」といい、白石監督と相思相愛で出演できて喜んだそう。すると、松岡が「この映画の佐藤さんは汚い!」と口をはさみ、佐藤は「あんまり言うな!傷つくだろっ!女性に言われると悲しくなる……」と、掛け合いして笑いが起こることも。
鈴木も白石監督の作品出演に憧れていたそうで、「昔、綾野剛くん主演の『日本で一番悪い奴ら』という映画を観に行って、剛くんに『あれはすごい!羨ましいし、悔しい!』と、メッセージを送ったんです。白石和彌さんという名前が残っていて、今回、このお話を頂いて、ぜひという感じで嬉しかったです。それと、これまで活発な役が多かったので、内向的な役をやらせたいと思いってくれたことが嬉しいです」と、しみじみ。ここで、松岡が「西郷どんはどこに行ったんだというくらい!」というほどだそうだ。
ちなみに、松岡については、白井監督から「松岡茉優やっぱりすさまじいな」と言わしめるほどだったのだとか。母親を演じた田中との共演へは、「一緒にお布団に入るシーンで、ギューッと抱きしめてくださって。すごい抱きしめてくださるなと。そのとき、ものすごく息を吸ってみたんです。私のお母さんの匂いとは違うんですけど、お母さんの匂いがあるんです。それで、私が思っているのか園子が思っているのか分からなくなて」と、役と自分の境界が分からなくなったそう。
佐藤も田中へ「芝居の中で目が合った時に鳥肌が立ちました。ゾクゾクッというか、素晴らしい女優さんと言われる理由が言葉じゃなく、体で感じられたので非常にいい経験だったと思います」と、手応えを語っていた。
一方、音尾は、本作で9回目の白石監督作品への出演ということで、「良い演技をしなかったら次は呼ばれないんじゃないかと思うんですよ。いつか俺をバッサリ切ってしまうんじゃないかと思って。だから、白石監督のお歳暮のグレードに迷うんです」と、出演が多ければ多いだけ不安になるのだとか。すると、白石監督は音尾が高校の後輩ということを持ち出し「(白石組の)卒業とかないですよ!」と伝えて安心させていた。
ほかにも、忘れられない一夜(ひとよ)はないかという質問に佐藤は、蔵之介へ飛び蹴りするシーンを挙げ、「全力飛び蹴りしたんです。あれは忘れられないですね。アクションシーンって、巧妙なテクニックでカット割りとかで作っていくんです。ですけど、今回はそういったプランがなくて、アクションシーンじゃなくただの暴力なんです。蔵之介さんに伝えたら、『全然来て』と言って頂いて。本当にありがとうございました」と、お礼すると鈴木も「当日小声で『痛くするしかないんだよな』って言ってましたね」と、証言。そこに松岡が佐藤の主演作『るろうに剣心』のことを持ち出し「あっ『剣心!』って思って」と感想を伝えたが佐藤は「剣心はあんな雑な蹴り方はしない」と、そこはちゃんと訂正していた。
そして佐藤から、「この作品に入っていて、しばらく家族と連絡とってないなと思ったんです。何でもいいんですけど、連絡をしてください。唯一無二の存在なので」と、呼びかけていた。
映画『ひとよ』は11月8日より全国公開!