俳優・佐藤健(30)、鈴木亮平(36)、松岡茉優(24)、MEGUMI(38)、佐々木蔵之介(51)が9日、東京・TOHOシネマズ日比谷で映画『ひとよ』(監督:白石和彌/配給:日活)公開記念舞台あいさつを白石監督(44)とともに開いた。
15年前、稲村家の母とその子どもたち3兄妹にある事件が降りかかり家族は崩壊してしまう。15年前の事件に縛られ家族と距離をおき、東京でフリーライターとして働く次男・雄二を佐藤、町の電気屋に勤務し、3兄妹で唯一自身の家庭を持つが夫婦関係に思い悩む長男・大樹に鈴木、事件によって美容師になる夢を諦め、スナックで働きながら生計を立てる末っ子の妹・園子に松岡、そして、15年ぶりに3兄妹のもとへと帰ってくる母親・こはるは田中裕子が演じている。別々の人生を歩んだ家族が15年後に再会するという、家族の絆を問いかけるヒューマンドラマに仕上がっている。
上映後の舞台あいさつ。佐藤は第一声から「あらためて映画というのは個人の力はちっぽけでたくさんの方に支えられているんだなと思いながらでした。監督・共演者のみなさんに助けられました助けられた……と、いうことを通り越して頼り切っていたんだなと思っています。兄妹のみんながなんとかしてくれるから、全身ほぼノープランで臨んでいました。感謝してもしきれません。この映画に出演できたことを嬉しく思います」と、万感な気持ちをスピーチ。熱くなるあまり、そのままイベントを締めそうになって笑いが起こることも。
鈴木も「観た方に感想を聞くと、みなさん感想が違うんです。それぞれが誰に共感するというのが違うんですよ。みなさんで話してみて、こう思ったんだと意見の交換をしてもらえると楽しんでい頂けると思います。自分の家族に対して、どういう視点で家族を見ているだろうと、発見してもらえる映画になっていると思います」と、序盤から熱い思いを語った。
続けて、共感したセリフに話題が移ると佐藤は、松岡演じる園子が「『まだ吐くよ~』というセリフで、あんなリアリティーのあるセリフはないですす」と感心したそう。白石監督によると松岡のそのセリフはアドリブだったそうで、佐藤はさらに「さすがですね。松岡さん」と、べた褒めだった。
松岡は作品中での母親の介護のことを真面目に話したことに対して、鈴木は、「『デラべっぴん』」のアクセントをどこにつけるかという話で、MEGUMIも同意すると松岡は「私が真面目に話すのがバカみたい!」と、苦笑いしながら絶叫する一幕も。
さらに、そのセリフの話から佐藤は「ちょっとアレンジするのをよしとする監督と、白石監督はもはや意味が変わってもいいって言われて懐の深い監督だなって」と、撮影現場で感じたことを話すと白石監督は「みなさんの見てないところでなんとかするんですよね」と、しみじみだった。
ほかにも、佐藤は蔵之介を蹴るシーンが印象的だったといい、蔵之介は「ああいうのあると役者は燃えるよね」というと、佐藤は「燃えるというよりドキドキが10倍でした」と、気を使う方が多かったというが蔵之介は「大丈夫だろうと思ってました」と、そこは佐藤に信頼を寄せていたよう。
その蔵之介へのキックのシーンで佐藤は、すぐにお詫びに向かったという話を引き合いに、松岡がピーナツの乗った皿を佐藤へぶつけるシーンで松岡が役に入り切り来なかったと話して、松岡を大慌てさせたり、鈴木は体格差を考えて倒れ込むのが難しかったなどさまざまなエピソードが飛び出すことに。
イベント後半には、自分にとっての家族とはという問いかけもあり、松岡は「友達も恋人も時期によって変わったりしますけど、家族はずっと踏ん張らせてくれる場所かなと思います」というと、鈴木は、「一緒に過ごした時間、家族になるといい意味でもつながっていて、切りたくても切れないこの社会の中で1番濃い人間関係なのかなと思います」。佐藤は「大切な存在です。それは揺るがないんです。僕はいま30歳ですけど、これから家族を築いていくという立場でいうと僕にとっては憧れかな。未知の存在ながら非常に憧れがあります」と、それぞれの意見を語っていた。
そして佐藤から、「何か素直になれなかったり、家族と向き合えないときにはクラッシュするくらいぶつかり合う必要があるのではないかと感じた作品です。自分が素直に気持ちを言えるタイプではないのでそうしていけたらなと感じています。クラッシュするくらい、ぶつかっていってもらえたら」と、メッセージを寄せ、終演を迎えていた。
映画『ひとよ』は全国公開中!