俳優・大森南朋(47)、長澤まさみ(32)、でんでん(69)、江口のりこ(39)、石橋静河(25)、永岡佑(37)、川畑和雄(36)、飯田あさと(31)、赤堀雅秋(48)、田中哲司(53)が15日、東京・本多劇場でコムレイドプロデュース『神の子』(演出:赤堀雅秋)ゲネプロを開いた。
大森、田中、赤堀の3人による演劇ユニットによる約4年ぶりの新作舞台。路上で警備員をしつつも独身で貧乏をしており目的も展望もない生活を送る池田(大森)、五十嵐(田中)、土井(でんでん)。ある日、池田は若くきれいな田畑(長澤)と斎藤(石橋)の2人に声をかけられ、街頭でのゴミ拾いボランティアに参加することになる。単調な日常に小さな変化が起こり池田も田畑との出会いに夢を抱き出すのだが……。
ゲネプロ前に囲み会見が開催。まずは赤堀から、作品について「終始どうでもいい些末なエピソードの連続ですけど、世の中に漂っているような虚無感ややるせなさがにじみ出ていたら嬉しいなって思います」と、アピール。すると記者から「なぜ4年ぶりなんですか?」との声がかかり「グダグダしてたんで(苦笑)」と、冗談めかしつつ「みなさん忙しくて、劇場を押さえるのに時間がかかったんです」と笑った。
大森は自身の演じる池田へ「人としてどうしようもない男を演じています。妙な緊張感を持ちながら、きょう1日を過ごすのかと思うとソワソワしています」というと、田中は「あまり細かいことは言えませんが、僕が演じている五十嵐はこの舞台の中でおそらく“最低”だなと思っています(苦笑)」。さらに、でんでんも「土井という本当に“最低”な人間なんですけど、自分が自分であるというものをなんとなく支えている人間です」と、3人とも行き詰まった感じの人物たちを演じるよう。
一方、長澤は「いま自分がいる場所で、ここにいていいのか迷っている役の女の人です。池田さんと出会うことで、自分の求めるものに出会えるのかなというところが見どころです」と、自身の見どころを。
そんな長澤をオファーへはラブコールを送りキャスティングが成立したというのだが、大森が「僕がラブコールを送りました。ファンだったので」と言い出し、ほかのキャストからも「気持ち悪っ!(笑)」と、憎まれ口が飛んで会場が沸き立つなど和気あいあい。続けて大森は「赤堀さんの作品に興味を持っていられたようなので声をかけてみました」と、真面目に話すと、田中は「キャスティングは無理だなと思っていたんです。(大森、赤堀と)3人で飲み屋で飲みながらメールをして無理、無理、無理と思っていたんです。そうしたらだいぶ経ってからでしたけど、決まったとなっておおっ!ってなって」と経緯を話した。
そんな熱烈なラブコールによって迎えられた長澤は「15歳くらいのころからかわいがってもらっていたし、なかなか一緒にお芝居する機会がなかったので嬉しいなって。赤堀さんのお芝居にも出てみたいなと思っていたのでラッキーって感じました」と、当時の心境を。実際に演じてみて、「緊張するし、やっぱり難しいものだなって舞台に立つたびに毎回思うんです。でも、楽しちゃいけないなと思うことが多いので、楽しむために楽をしないで、こういう生の舞台で生の温度を感じて、自分も苦しみながら楽しくお芝居ができたらなといつも思っています」と、気持ちを語った。
今年1年はどうだったかとの質問も。田中は「赤ちゃんのことしかなくて、子守りばかりしていて、子守の合間に仕事をさせて頂く1年でした。可愛いですね」というと、大森も深く共感し「僕もそうなんですよ!今年子供が生まれたので、自分個人にとっては大きな出来事でした。この作品とは間逆なので、まとまらずにいて俳優としてふがいないところではあるなと」と、作品と対照的だったようだ。
また、“最低”が連呼されたということで、けいこ中に最低なことはなかったかとの質問が。これにでんでんが「けいこ中にパニクったりするんですよ。若い人のパワーに入ってもがいているという感じで」と話すと長澤からは笑みが漏れ「でんでんさんの魅力に可愛いくて笑っちゃいました」と、和んでもいた。
そして大森から「最後まで全力で突っ走れたらと思っています。とにかく頑張っていますのでよろしくお願いします」と、メッセージを寄せていた。
コムレイドプロデュース『神の子』東京公演は15日から30日まで本多劇場にて、名古屋公演は2020年1月7日から同9日までウインクあいちにて、福岡公演は2020年1月13日に福岡国際会議場 メインホールにて、広島公演は2020年1月16日にJMSアステールプラザ大ホールにて、大阪公演は2020年1月18、19日にてサンケイホールブリーゼにて、長野公演は2020年1月23日にサントミューゼ 大ホールにて、静岡公演は2020年1月25日に浜松市浜北文化センター 大ホールにて上演!
※記事内写真は撮影:引地信彦