音楽劇『星の王子さま』(脚本・演出:青木豪)ゲネプロが8日、東京・池袋の東京芸術劇場シアターイーストで開かれた。
サン・テグジュペリの世界的ベストセラー作品『星の王子さま』。2016年以来の再演となり、今回はュージカル「レ・ミゼラブル」のジャベール役を演じた伊礼彼方と、エポニーヌ役を演じた昆夏美というミュージカル界で注目されている2人が主軸となり、昆は王子さま、伊礼は飛行士を演じることとなる。
すでに先週、水戸公演が開幕しており、満を持しての東京公演。舞台のピアノ演奏のほかに、薔薇の役も担うピアニスト・松木詩奈、笠松泰洋作曲による音楽、脚本・演出の青木豪によって音楽劇の形で創出された新たな『星の王子さま』の世界が、これから再び東京と兵庫で展開されることとなる。
今回、東京公演の開幕へ、キャスト陣がコメントを寄せた。
○脚本・演出:青木豪氏
4年前にこの音楽劇を初演して、多くのお客様からご好評をいただき、キャストスタッフ共に再演を望んできた作品です。ようやく再演の運びとなり、たいへん嬉しく思っています。
名作というものは大抵どうしても解けない謎を孕んでいるもので、その謎は解けないことがわかっているのに、なぜかとても魅力的で、今回の稽古場でも台本を読み、原作のページをめくっては「実はこういう意味なんじゃないか」という議論を重ねました。解答が出ることよりも、謎について皆で話し合うことが楽しく、それが「星の王子さま」が名作たる由縁なのではないか、とも思います。初演より深化した音楽劇 『星の王子さま』をぜひお楽しみください。
○王子さま役:昆夏美
読む年代や環境によって感じ方が変わる書物はたくさんあると思いますが、「星の王子さま」は、その代表と言っても過言ではないと思います。私は初演の際は作品をお客様に伝えることに必死でした。今回は存分に話し合いながらお稽古をした再演です。
私が王子さまを演じるときに大事にしているのは「自分の大切な人や場所はなにか」ということを、作品を通してお客様に感じていただくこと。そのために王子さまの旅の物語をきちんとお客様に伝えたい。観終わったあと、自分にとって大切な人や場所に思いを馳せて、温かい気持ちになっていただけたらうれしいです。
○飛行士役ほか:伊礼彼方
穏やかで温かい時間が感じられ、終演するとまた作品に帰りたいと思わせる僕にとって特別な作品です。
大切なものを失うという経験をしたにもかかわらず、日常に戻ると飛行士は大切な人とギクシャクしてしまう、変われなくて譲れない、そうしたどうしようもないところがあるからこそ人間なのだと思わせる大人のための作品です。
稽古の際に初演では気づかなかった疑問に気づき、稽古場にいる全員で作品を深めたと思います。
音楽と作品世界をぜひお楽しみください。
音楽劇『星の王子さま』東京公演は8日から12日まで東京芸術劇場シアターイーストにて、兵庫公演は15、16日に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演!
■出演
昆 夏美、伊礼彼方、廣川三憲(ナイロン 100℃)、吉田萌美、内田靖子、岡野一平、平山トオル、原田智子、沼舘美央、大内慶子、堀江葵月