全国興行生活衛生同業組合連合会(以下:全興連)では、興行場での空気の流れを「可視化」した〈映画館における換気実証実験〉を実施した。
新型コロナウイルス感染拡大は映画界も直撃。4月から5月の映画館の長期休業、また新作映画の公開延期、映画製作に遅れが生じるなどの大きな打撃を受けた。
映画興行においては、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」において示されたガイドラインに基づき、業界独自のガイドラインを全興連により策定し、各劇場の衛生管理、従業員の健康管理、お客さんの体温、体調の確認など、各興行会社・映画館が一体となって感染防止策に努めている。
また、映画館・演劇場・演芸場・音楽堂・スポーツ施設等を含む興行場の換気については、各自治体の定める基準に基づき設置されている換気設備により換気がされている。しかしながら、映画館に対するアンケート調査(提供:GEM partners (株)※別途資料あり)によると、「映画館が危ないと感じる理由」に換気に対する疑念が多かった。
そこで、お客さんの不安感を取り除き、「映画館は密閉空間ではない」ということを分かりやすく理解してもらうために、専門家の指導のもと映画館内での空気の流れを「可視化」する実験を実施した。
実験では、映画館内(客席数352席)にスモークを充満させ、スモークが完全に消えるまで何分かかるかを検証。噴射開始後、場内に充満したスモークはスクリーン下の徐々に排気口から排出され、実験開始から20分後にはほぼ全てのスモークが消え新しい空気に入れ変わる結果となり、映画館内がしっかり換気されていることが証明された。
同映像は、「映画館に行こう!2020」キャンペーンのHPをはじめ、全国の映画館、各興行会社のHP等で公開される予定だ。
新型コロナウイルス感染状況の先行きが見えないなかではあるが、映画界ではお客さんの安全を最優先に徹底した感染防止策をしながら、大事な〈映画文化〉の灯を守るため引き続き努力していく。
【映画館における換気実験】映像 *2分38秒
・撮影日:6月23日(火)
・監修:愛知医科大学 感染症科 三鴨廣繁教授
・実験協力:愛知県立大学 看護学部 清水宣明教授
■全国興行生活衛生同業組合連合会 佐々木伸一会長コメント
緊急事態宣言解除後、全国の映画館は厚生労働省・経済産業省の指導のもとに作成したガイドラインを遵守し、営業を再開しております。お客様に“興行場は、換気設備が整った安全で安心できる施設である”ことを広くお伝えできればと思い、この動画を作成いたしました。
〜全国興行生活衛生同業組合連合会とは〜
映画・演劇・演芸をお客様にお届けする「興行場」の組合です。全国47都道府県の興行組合が会員となり、文化の振興を目的とした事業を実施しています。
https://www.zenkoren.or.jp
参考資料
※アンケート結果
新型コロナウイルスの影響トラッキングレポート第4回調査(6月13日実施)より(抜粋)
提供:GEM Partners(株)
―全国15-19歳の男女を対象としたインターネットアンケート(回答者数:3,872)
<映画館に関する意識項目>
・映画館は「3密(密閉、密集、密接)」に該当すると思う(とても思う、ややそう思う)63%
(以下、年間1本以上劇場鑑賞者の回答結果)
<映画が危ないと感じる理由>
・密閉:換気が悪そう54%/長時間室内にいることになる48%/屋内である29%
・密集:不特定多数の人が集まる50%
・密接:座席間の距離が近い39%/体調が悪い人がいても分からない42%
<映画館の取組みの認知度>
・従業員のマスクの着用37%/・鑑賞者のマスクの着用のお願い30%
・前後左右に1席ずつ間隔を空けての座席指定30%
・営業時間の短縮 27%/・館内の常時換気27%
<映画館の取組みの必要度(絶対必要、必要)>
・従業員のマスク着用81%/・アルコール消毒液の設置81%
・座席の消毒80%/・扉や券売機の消毒79%
・鑑賞人数の制限77%/・館内の換気状況の告知75%