女優・芦田愛菜(16)、原田知世(52)、俳優・永瀬正敏(54)が3日、都内で映画『星の子』(監督:大森立嗣/配給:東京テアトル、ヨアケ)完成報告イベントを大森監督(49)とともに開いた。
作家・今村夏子氏の同名作が原作。両親から愛情たっぷりに育てられた中学3年生・ちひろ(芦田)が主人公。両親(永瀬、原田)は、病弱だった幼少期のちひろを治した“あやしい宗教”を深く信じているという家庭。中学3年になったちひろは、一目惚れしてしまった新任のイケメンの南先生(岡田将生)に、夜の公園で奇妙な儀式をする両親を見られてしまう。そして、彼女の心を大きく揺さぶる事件が起きる――。
涼しげな真っ白のワンピース姿で現れた芦田。最初に脚本を読んだときに感じたことは「信じるというのが1つのテーマになっているのかなと思いました」という。
その“信じる”ということへ「身近に使っている言葉なのにちゃんと分かってないと思って。自分の答えというものを、ちひろと一緒に、探していこうと思いました」と、主人公と同じ目線に立っての演技になったという。
さらに司会からは、“信じる”ということをどう捉えているのかという、大人でも答えに窮しそうな質問が飛ぶ。これに、芦田は、「このお話全体を通して、その人のことを信じようと思いますという言葉を使うことがあると思うんですけど、それってどういう意味なんだろうっていうのを考えたときに、その人自身を信じているのではなくて、自分が理想とするその人の人物像みたいなものに期待してしまっているってことなのかなっていうふうに感じて。だからこそ人は、裏切られたとか、期待していたのにとか言うけれど、別にその人が裏切ったとかそういうわけではなくて、その人の見えなかった部分が見えただけであって、その見えなかった部分が見えたときに、あっ、それもその人なんだと受け止められる揺るがない自分がいるというのが、信じられることなのかなと思ったんです。けれど、揺るがない自分の軸を持つのってすごく難しいじゃないですか。だからこそ、人は『信じる』と口に出して、不安な自分がいるからこそ、成功した自分とか理想の人物像にすがりたいんじゃないかと思いました」と、淀むことなく返答。
これに永瀬も「しっかりしてるでしょ(笑)。これ以上の答えはないですよ」と、脱帽といった様子だったが、永瀬も「僕は信じているのは一貫して映画です。映画に裏切られたことないので映画を信じています」と、こちらも揺るぎない答えを出し、会場の報道陣をうならせる。
そんな硬派な質問に返答したかと思えば、作品タイトルにちなんで、星に願いをかけるなら?という質問が飛んだ際に、芦田は『猫と話したい』としたため「最近、猫を飼い始めて、私のことをどう思っているんだろうと聞いてみたいです。普段困ってることない?楽しく生活できてる?ご飯何にしてほしいの?とか、1日だけでもいいから猫と話したいです」と、ライトな話題もきっちり答える変幻自在ぶりを披露していた。
ほかにも、これまでの事前情報では芦田が長い髪をバッサリ切って臨んだということでも話題だった。このことへ芦田は「髪が長い自分が、ちひろを演じいているのがしっくり来なかったというか、相談させて頂きました」と、直感的なものだったことを明かしていた。
そして、芦田から、「私はこの映画を通して信じるってなんだろうと深く考えたんですけど、それって人それぞれで違うし、答えがあるものではないと思うんですけど、映画を観てくださったみなさんにとって信じるってなんなんだろうとか、自分が信じたいと思える人って誰なんだろうとか、そんなふうに考えるきっかけになってもらえたら嬉しいなと思います」と、メッセージを寄せていた。
映画『星の子』は10月9日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開!