アイドルグループ『関ジャニ∞』大倉忠義(35)、俳優・成田凌(26)が共演し、現在公開中の映画『窮鼠はチーズの夢を見る』(監督:行定勲/配給:ファントム・フィルム)。本作作中で1950年に公開されたジャン・コクトー監督の映画『オルフェ』が流れる理由が14日、明かされた。
『失恋ショコラティエ』などで知られる水城せとな氏の人気コミック『窮鼠はチーズの夢を見る』、『俎上の鯉は二度跳ねる』が原作。自分を好きになってくれる女性と受け身の恋愛を繰り返していた大伴恭一(大倉)がある日、大学の後輩・今ヶ瀬渉(成田)と7年ぶりに再会。渉から「昔からずっと好きだった」と突然想いを告げられ、ただひたすらにまっすぐな今ヶ瀬に、恭一も少しずつ心を開いていくのだが、そこの恭一の昔の恋人・夏生が現れ、2人の関係が変わっていく……。
映画『オルフェ』が流れるのは、今ヶ瀬が、恭一の帰りを一人、部屋で待っているシーン。元カノとヨリを戻すかもしれない恭一に対して「俺と寝てください。これを拒まれたら、もう二度と、触らない」と今ヶ瀬が懇願するそばで、テレビのモニターには『オルフェ』の一篇が流れ、「これからする事を理解しようとしないで」という意味深な字幕が映されている。予告編でも使用され、いち早く気付いた映画ファンからは「切なすぎる」「今ヶ瀬の心情に合っていて、絶妙」などの声が上がっていた。
行定監督は本編の中で『オルフェ』を起用した理由として、「脚本には『今ヶ瀬が映画を見ている』と書いてあるだけで作品の指定はありませんでした。私が『オルフェ』がいいと思いました。『オルフェ』は死の世界と現世という境遇の違う者が惹かれ合うが、相手のことを想い、別離を選択する“犠牲愛”を描いた映画です。今ヶ瀬は恭一への想いがあふれ、抑えられなくなったとき、ひとり『オルフェ』を見ながら、恭一への愛を貫き、自分に引き寄せることで本当に彼のためになるのか。自分が犠牲になって別れた方がいいのかと苦悩している。その逡巡する気持ちに『オルフェ』の登場人物たちの逡巡する気持ちと重なりぴったりだと思いました」と、明かす。
さらにそれだけではないそうで「香港出身の俳優、レスリー・チャンとお会いした時に、好きな映画が『オルフェ』だと聞いたことがありました。彼はその時、自分は常に“自己犠牲”を意識して生きていると語っていました。社会に対して自分を偽って生きていることも含めて、何かのために自分を犠牲にしていると感じていた。その彼の寂しさや憂いがとても印象に残っていたんです。その姿が今ヶ瀬と重なりました」という秘話があったそうだ。
映画『窮鼠はチーズの夢を見る』はTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中!
※記事内画像は(c)水城せとな・小学館/映画「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会
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