俳優・伊藤健太郎が20日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテル内の能楽堂で主演映画『十二単衣を着た悪魔』(監督:黒木瞳/配給:キノフィルムズ)完成披露報告会を女優・三吉彩花、伊藤沙莉、山村紅葉、笹野高史、黒木監督とともに開いた。
本作は脚本家で小説家としても知られる内館牧子氏が『源氏物語』を題材に、奔放で強い女性によって成長していく青年の姿を描いた長編小説『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』を元に実写化した作品。就職試験59連敗中で何でもできる弟に対して劣等感を持つ実家暮らしのフリーター・伊藤雷(伊藤)が、『源氏物語』の世界にトリップ。悪名高いキャラといわれた弘徽殿女御に仕え、翻弄されながらも、未来を当てる比類なき陰陽師として周りから認められることで成長していくという物語となる。
伊藤健太郎は雷というキャラクターへ「59社も就職試験に落ちて、世間から見たらちょっと大丈夫かなという男の子ですけど、共感できる部分があるんです」と切り出し、「あの平安時代に飛び込んで割とすんなりと対応していく姿。僕も、もし平安時代に言ったら対応していくだろうなと思って」と、自身と共通する部分を。
黒木監督の作品に出演するのはこれが「初です」という伊藤健太郎。その印象へ、「女優さんとしての黒木さんを1番知っていたというか、監督として現場で、どうやって演出するかワクワクしていて、役者さんや役者さんによって演出方法も違うし、役者の立場になって考えてくださるから現場ではありがたかったかなと思います」と、スムーズに行ったという。
その黒木監督からは伊藤健太郎をキャスティングしたエピソードが明かされることに。「最初から、健太郎さんでというスタッフもいましたが、受けて頂けるかというのもありました。そんなとき、ラジオ番組の収録に行くとポスターでエレベーターをあけるとポスターでいらっしゃるの!いつもそこを通りながらこの方が雷ちゃんやってくれたらいいのになーと思って。引き受けて下って嬉しかったです」と、ラジオが起用の要因となっていたことを明かし、伊藤も「ずっと“見つめてて”良かったなって(笑)。嬉しいな!ありがとうございます」と、ニッコリだった。
一方、伊藤沙莉は、現代劇ではなく、時代劇に参加できたことが嬉しかったと話しつつ、黒木監督も伊藤沙莉出演のドラマを見てプロデューサーに相談したところ、プロデューサーも同じ提案をしようとしていたと、満場一致での起用というエピソードが。
そんなトークを繰り広げているなか、伊藤沙莉は劇中の“ある演出”に「すごく驚いたんですけど、あれをお芝居で表情を引き出してくださいと言われたら、自分の中では……」と、詳しいシーンの説明はなかったが意味深発言が飛び出す。
このシーンには伊藤健太郎も関係があるようで、「そのシーンは台本に書いてなかったんですよ。黒木さんに本番前に呼び出されてこうしてくれと言われて、戸惑いまして。『タイミングが来たらやってくれ』と言われて、そのタイミングになって、行くべきなのか!?行って良いのか!?迷っていたんですよ。そうしたら本番中にもかかわらず、後ろから本番中に後ろから『(黒木監督が)行け!行け!』って言って。(事前に打ち合わせを聞いてなかった)沙莉からは何してるんだよ!という目で見られるし。俺は操られているんだ!と(苦笑)」と、説明。
これに伊藤沙莉は「健太郎がふざけたと思っていて。聞いたら任務を課せられてて、出来上がったものを見たら、なるほどなと思いました」と、事後承諾したという。しかし、この体験は伊藤健太郎にとって、「たまーに聞こえますもん」と、後ろから声が聞こえる“トラウマ”を植え付けられたそう。
そのシーンについて黒木監督は、「女優として見たらルール違反で、私が女優だったら怒っていると思います。そういうクレームもなくて安心しました」と、後々胸をなでおろしたといい、伊藤沙莉は「結果、素敵なシーンでしたよ」と、納得したといいつつ、伊藤健太郎へ「アゴクイとかできたんじゃない(笑)」と笑みを向けると、伊藤健太郎は「僕の技量不足です」と、ただただ苦笑いし、さらに謎を深める結果となっていた。
映画『十二単衣を着た悪魔』は11月6日より公開予定!