アイドルグループ『V6』の坂本昌行が2021年2月6日から上演予定の舞台『Oslo(オスロ)』(演出:上村聡史)を主演することが14日、発表となった。
本作は2017年トニー賞 演劇作品賞をはじめ、オビー賞、ドラマ・デスク賞など数々の演劇賞を総なめにし、アメリカ演劇界を席巻した史実をもとにした話題作。1993年、イスラエルとパレスチナの指導者たちが握手をかわした“オスロ合意”が成立した歴史的な道程に大きく寄与した一人の男と、彼の熱意に突き動かされた人々の5ヶ月を描いた人間ドラマを描いている。
坂本は、ノルウェーの社会学者テリエ・ラーシェン役を演じる。共演に、ラーシェンの妻で外交官モナ・ユール役を安蘭けい、イスラエル側の代表で外務省事務局長のウリ・サヴィール役を福士誠治、ノルウェー外務副大臣のヤン・エゲラン役をアイドルグループ『A.B.C-Z』の河合郁人が演じる。
ラーシェン(坂本)は、仕事上イスラエルや PLO(パレスチナ解放機構)に知り合いが多く、風土や人々を魅力的に感じていた。外交官の妻モナ・ユール(安蘭)のカイロ赴任に伴って中東各地を旅して回っていたある日、夫妻は2人の少年がにらみ合って武器を手にしている光景を見かける。憎しみにあふれた瞳。しかし、その奥に抱えているのは2人とも同じ恐怖なのだと気づいたそのとき、ラーシェンは決意する。『中東に和平を。少年同士がこんなことをしないで済むところへ』。
当時、イスラエルとパレスチナは長らく緊迫した状態にあり、公人同士が会えば法に触れる。PLOに至っては死罪と決まっていた。誰もが無茶な話だと一笑に付すなか、モナの上司であるノルウェー外務副大臣のヤン・エゲラン(河合)に思いを説いて協力を得られることに。しかし、極秘裏に準備を進めていた両代表の面会がいよいよ明日に迫ったある日、大惨事が起きてしまう……。そして、ふりかかるさまざまな難局をどうにかこうにかくぐり抜けようと模索するラーシェンに、ついに、待ち焦がれていた連絡が入る。これまで非公式に進めるために民間人が派遣されていたイスラエル側の代表が、外務省事務局長のウリ・サヴィール(福士)に代わる、と……。
今回の出演に坂本は、「ちょうど僕がニューヨークに行っていたときに上演されていたのがこの『Oslo(オスロ)』で、とても話題になっていたのを覚えています。題材になっているオスロ合意に関してはニュースでしか知らなかったので、いろいろと調べていくうちに、さまざまな背景がある作品にお声がけ頂いたんだなとあらためて認識しました。当時の新聞記事に『忍耐と信頼』とありました。僕らも良く使う言葉だけれど、実際に経
験された方から出る、重みを感じます。人が動くことで国をも動かす大きな話ですが、その人物の根底にある、軸にあるものを表現できたらと思います」と、作品への思いを語っている。
河合は、「台本を読み進めていく中で、セリフの量はもちろん、長セリフが数多ある事に驚きました。しかも2役。2役とも交渉を行っていくという責任感のある役ですが、実際の生活では経験したことが少なく、使うことの少ない言葉も出てきますが、僕の役どころ、キャラクターを考えると、明るくできるのかな、と想像しています。あまり硬くなりすぎずに、決めるところは決める、というのを出せたらいいなと思います」と、演技プランを。
さらに、河合との共演へ坂本は、「河合くんとは、作品で共演するのは今回が初めてです。同じステージに立ったら、当たり前のことですが、先輩後輩は関係なく、一役者として向き合いたいので、自由にやって欲しいですね」と、メッセージも寄せれば、河合は、「坂本さんという舞台界において一流の先輩とご一緒できるのも心強いです。これまでミュージカルや舞台でたくさん経験されたお話を聞かせて頂き、近くで勉強したいと思います」と、背中から学ぶ姿勢を見せている。
そして、河合から「今年に関してですが、生で演じる舞台でお客様がいらっしゃると嬉しい、楽しいというよりも、観劇しに来てくださると“安心する”と今年の舞台では感じられました。観に来られる方にも、安心して楽しんで頂けるように努められればと思います」と、意気込み、坂本は「舞台上で生きる、生でストーリーが展開していくというのは、唯一無二の機会だと思います。その喜びを感じながら、この作品のストーリーをお客さんにお届けできたらと思います」と、話している。
また、演出を務めるのは、第22回読売演劇大賞最優秀演出家賞、第56回毎日芸術賞・千田是也賞を受賞するなど、その演出手腕が高く評価されている気鋭の演出家・上村聡史氏が手掛けており、「決して大国とは言えないノルウェーの中立の立場で、信念を貫く社会学者テリエ・ラーシェンを演じる坂本昌行さんの力強い眼差しとおおらかなリーダーシップ、その妻で国際社会に切り込んでいくモナ・ユールを演じる安蘭けいさんの勇姿ある佇まい、合意という困難な壁に挑む登場人物たちを、14人の頼もしいキャストの魅力を活かして、今に再生したいと思います」と、キャスト陣のことへコメントもしている。
舞台『Oslo(オスロ)』東京公演は2021年2月6日から同23日まで新国立劇場 中劇場にて、宮城公演は2021年2月27、28日に東京エレクトロンホール宮城にて、兵庫公演は2021年3月3日から同7日まで兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて、福岡公演は2021年3月13、14日に久留米シティプラザザ・グランドホールにて、愛知公演は2021年3月20、21日に日本特殊陶業市民会館ビレッジホールにて上演予定!
■ほかキャストコメント
○安蘭けい
このような作品に呼んでいただき大変嬉しく思っています。この作品の世界観を表現できるよう、よりわかりやすく伝えられるよう、世界の情勢も学びながら、稽古場で話し合いを重ねて作っていきたいです。遠く離れた国に起こった実話で、なかなか馴染みのない話かもしれませんが、坂本昌行さん演じるテリエと私の演じるモナという夫婦の、ふたりで世界を変えようと一歩踏み出した“信念”の物語でもあります。国や世界という大きな話ではなくとも、自分ではなく人のために、という想いはきっとみなさん持っていらっしゃると思います。ぜひ劇場で、同じ時間を共有しながら、彼らの熱い想いを一緒に感じてください。
○福士誠治
歴史的にこういうことがあったと演劇を通して知っていただけることや、立場の違う人たちが色々な感情をむき出しにしながら良き答えを導き出そうと繰り広げる討論、会話劇はとても魅力的で、刺激的な舞台になると思います。難しく考えずに、劇場に足を運んでいただけると嬉しいです。キャストのみなさんとの関係性、人間性の化学反応も楽しんでいきたいです。
舞台ができなかった期間を経て、演劇をライブでお客さまに届けるという行為が、とてもぜい沢な時間だとあらためて知りました。来てただくからには、非現実の世界を味わって楽しんでいただきたいと思います。僕もあまりプレッシャーに感じず、キャスト・スタッフとともに楽しんで、挑んでいきたいです。