歌手・氷川きよし(43)が19日、大阪・新歌舞伎座で『氷川きよし特別公演』初日公演を開幕した。
今回の劇場公演は新歌舞伎座新開場10周年を記念したもので、政府・大阪府及び緊急事態舞台芸術ネットワークのガイドラインにのっとり、感染症対策を実施したうえでの開催。
公演は二部制で、第一部は芝居『限界突破の七変化 恋之介旅日記』。本作は昨年5月に新歌舞伎座で演じられ好評を博した、旅役者・恋之介とゆかいな仲間たちが繰り広げる旅物語の第2弾。日本一の人気役者・嵐恋之介(氷川)は、京の都で役者としてより進化するため、新しい自分を見つけようとしていた。そんな時、公家の棚橋雪平(西寄ひがし)に仕える女中が武士の一団に追われ飛び込んでくる。彼女を救い事情を聞くと、棚橋の娘・綾姫と将軍の弟・松平景元の祝言が決まったが、それを阻もうとする何者かに姫は命を狙われ、江戸に行くこともできないという。恋之介は姫を助けることを決意。景元配下の影山主水(川野太郎)や興行師のお京親分(山村紅葉)、育ての親の嵐源之丞(曽我廼家寛太郎)や、謎の女・るい(真瀬樹里)の力を借りて江戸を目指す。恋之介は無事江戸へたどり着けるのか?そして、新しい自分は見つけられるのか?笑いあり涙ありのオリジナル喜劇。
今年8月末~9月に明治座にて開催された公演から約1か月半の期間を空けての本公演となるが、今回の新歌舞伎座公演では、初めて観るお客様にもよりわかりやすくするため、明治座公演とは一部設定や演出などを変更。タイトルの『七変化』にふさわしく、旅役者・恋之介が次々と変化する豪華な衣裳の数々も必見。とくに恋之介が綾姫に扮して登場する艶やかな振袖姿は見どころの1つ。
そして第二部は、ヒット曲満載で構成されたコンサート。明治座公演では股旅姿で登場した氷川だが、今回の新歌舞伎座公演では紫の着流し姿に変更。デビュー曲『箱根八里の半次郎』からスタートし『大井追っかけ音次郎』や5周年記念曲『番場の忠太郎』など初期のころの股旅演歌の数々を披露。会場中のファンも感染予防の為“きよし”コールの代わりに3回の手拍子で応えて大盛り上がり!
続いて、紫の紋付と黒袴に着替え『最上の船頭』と2016年の紅白で熊本城からの歌唱で話題となった名曲『白雲の城』を熱唱。全身真っ赤なスーツに衣装替えした氷川は今年の勝負曲『母』を披露。「大阪が大好き!」という氷川が「大阪の歌をプレゼントしたい」ということで、明治座公演にはなかった大阪にまつわる楽曲『大阪とんぼ』と『面影の都』を続けて歌唱すると関西のファンは大喜び。「大阪のたこやきが大好きで、自分でも作ってみるんだけど、いつも固くなっちゃう」と、料理上手な氷川のめずらしい失敗談も披露したり、「やっぱり大阪で食べる本場のたこやきが一番!」と、笑顔を見せた。
今回は演歌・歌謡曲だけでなく、ポップス曲も披露。今年話題となった初のポップスアルバム『Papillon(パピヨン)-ボヘミアン・ラプソディ-』より『Never give up』、『限界突破×サバイバー』、『碧し』の3曲を熱唱。「氷川きよしワールドを楽しんでほしい」との言葉どおり、音楽ジャンルの枠を超えた幅広いタイプの楽曲の数々で魅せた。
アンコールでは世界各国の国旗の数々をあしらったワールドフラッグスーツ姿で登場し、『大丈夫』と『きよしのズンドコ節』でファンと一緒に大盛り上がり。「今日は来てくれたみなさんのおかげで、最高の初日を迎えられました。これで10日間がんばれます!」という氷川の声に、会場中のペンライトが激しく揺れ、割れんばかりの拍手が響く中、新歌舞伎座公演初日の幕を下ろした。