俳優・綾野剛（39）、舘ひろし（70）、磯村勇斗（28）、女優・小宮山莉渚（15）が29日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで映画『ヤクザと家族 The Family』（監督・脚本：藤井道人／配給：スターサンズ／KADOKAWA）初日舞台あいさつを、藤井監督（34）とともに開催した。
本作は、2019年にタブーに切り込んだ衝撃的な問題作として話題となった映画『新聞記者』のメガホンをとった藤井監督が担当。道井監督自身が『ヤクザ』をテーマにオリジナル脚本で挑んでおり、1999年、2005年、2019年の変わりゆく3つの時代の価値観で切り取るものとなる。綾野は、山本賢治というヤクザ役で、「組織＝ファミリー」と「愛する家族」の間で揺れ動く姿を、舘は山本の面倒を親代わりに見ている柴咲組組長・柴咲博役を演じている。
新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言下のなかで無観客で272館でのライブビューイングの舞台あいさつ。そんななか初日の幕を開けられたことに綾野は第一声から「とても感謝しています。本当に感謝しています。カメラを向けてくれる人もいてくれて感謝です」と、万感といった様子。
小宮山は今回が初の舞台あいさつということで初々しさを見せると、「僕の“娘”にグッと来ています」と、温かい言葉でフォローし、小宮山を感激させたり、逆に小宮山から「格好いいです」と服装とともにストレートに褒められ、照れ笑いする一幕も。
本作は公開前から評判がいい状況だそうで、綾野はそのことを司会から伝えられると、「素直に大傑作だと言われますし、そういった実感自分自身の集大成という気持ちはありますし、自分たちの愛を受け取ってもらえたんだなということを感じました」と、静かな自信を見せる。
さらに、そういった高評価だったことにより、「僕たちは受け取ってもらうことがすべてだと思っていたんですが、自分たちが渡しに行かなくても、自分から会いに来てくださっているという、これまで起こりそうで今までなかったことが、いろんなことが、リンクして起こっていると思います。なんかこのいまのこの時代にこの作品が、ただフィットしたというだけのものじゃないものがあるんだろうなと。映画という家族に愛された気がしています」と、思いの丈とともに語った。
共演した舘へ綾野は「いま映画にしてもドラマにしても情報過多になっている時代に、舘さんのお背中は佇まいだけで物語があるというか」と、憧れの視線を向けつつ、「磯村くんもきょう着ているスーツは舘さんがもともと着ていたスーツを頂きまして、きょうはそういう意味では舘さんのスーツを継承していて、晴れ舞台というか門出ですかね。今実際、お客さんに会えていない状態ですけど見てもらっているんだんと思って」と、しみじみ。これに舘は「僕が着ているより格好いいから返してほしいなと思います」と、軽口を叩き笑いを誘った。
一方、磯村は綾野演じる山本に憧れる若者・木村翼役で出演。撮影はどうだったのかと質問が。「今でも覚えてるくらい濃厚な時間を過ごしました。大変というか、今、お2人（綾野と小宮山）に挟まれていますけど、2人が1対1で演技をするシーンはグッと来るものがあって！」と話していたところに、綾野がニコニコの笑顔を向け、磯村も釣られて笑顔になり、「こういう顔するの！もうアニキです！」と、2人の楽しげな関係性を窺わせるコメントも残していた。
そのまま本作の撮影時のエピソードとなり、磯村と小宮山の1対1で撮影するシーンを綾野がこっそり見守っていたという話が飛び出し、「2人のところに行こうと思ったら（撮影用の）ドローンが飛んだんです。それに映ってるといけないから、近くのコンビニまで走って逃げたんです！藤井監督は暴君で、ずっと撮り続けるんですよ！」と、藤井監督の長回しにより、出ていくタイミングを逃したと笑いながら話していた。
そんな綾野は本作を観てほしい人へ「素直にパッと思い浮かんだので自分がそういう人間だと思うんですが……」と、前置きしつつ、「いま撮影を進めている現場のスタッフ・キャストに観てもらいたいなって。友人を友人に紹介するみたいな。そうやっていろんなものをシェアして育まれた『自分の愛している仲間たちを紹介します』という感じで。そういやって紹介すると紹介した人同士で仲良くなって『置いていかれてる俺？』という光景を見ているのが好きなので。やっぱり大事だと思うんです。できることできないこと、媒体によっても環境によっても、良いものを作りたいという気持ちは全員一緒だと思います」と、しみじみ話していた。
イベント終盤には今月26日が綾野の誕生日だったということで“39GO”と花で文字を作った花束がプレゼント。これに綾野は「嬉しいです。素直に。カメラの向こうのみなさんに落ち着きのない姿を観られるのは恥ずかしいですけど」と、嬉れし恥ずかしといった感じで身悶えていた。
そして綾野は同日に公開された映画『花束みたいな恋をした』と『名も無き世界のエンドロール』のタイトルを1つ1つ挙げながら、「いろんな作品が手と手を合わせてみなさんの心の疲弊を少しでも止められるような映画を届けたいと思っています。いつか許された日が来た日には、自分からみなさんに会いに行きます。みなさんにお目にかかれる日を楽しみにしてますので、楽しみにしていてください」と、映画愛あふれる温かいメッセージを残し、来場した報道陣に何度も何度も頭を下げながら舞台あいさつを終えた。
映画『ヤクザと家族 The Family』は公開中！
共演者を先に出るよう誘導する綾野
まずはパネルのあるところで頭を下げる綾野
報道陣へ感謝の気持ちを込めて1人長い時間頭を下げ続ける綾野
ステージを降りてからも丁寧に頭を下げる綾野
小宮山の「格好いい！」に照れるあまり後ろを向いてしまう
思わず吹き出してしまう
記念撮影の際に声がかかった記者を探して目線振りを確認する