ほのぼのした生活が楽しめる『あつまれ どうぶつの森』や、すごろくのような形式で友達と騒ぎながら熱中できる『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~ 』など、新型コロナウイルス禍によるSTAY HOME時間が増えたこともあってかソーシャルゲームだけではないゲーム需要が見直されている。
この期間にいままで手を付けられなかったシリーズ作品をあらためてプレーされる方も多いのではないだろうか。そんななか『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』シリーズとはまた違った長寿シリーズで、本を読むような気持ちで剣と魔法のファンタジーが楽しめる王道の作品が『イース』シリーズだろう。
『イース』といえばゲームソフトウェアの老舗、日本ファルコムのアクションRPG(ARPG)ゲームシリーズで、現在ナンバリングタイトルはⅨまで発売されている。その歴史は古く、1987年にPC向けのソフトで『イースⅠ』としてリリース。以降のシリーズ作品はPCに限らずさまざまなハードなどで展開されている。
そんな『イース』シリーズは、ほかの有名シリーズと違うポイントが1つあり、それはアドル・クリスティンという赤毛の剣士がシリーズを通して主人公を務め続けていること。しかも、アドルがつづった冒険日誌をたどりゲームとして表現しており、シリーズのどの作品を遊んでも同一の世界観のなかで話を楽しめる。
その『イース』シリーズの世界観を形作った古代王国イースの謎に迫るⅠ・Ⅱ。当時日本ファルコムに在籍したゲームミュージックプロデューサーの古代祐三氏が作り上げた楽曲の雰囲気は、後々の作品にも受け継がれ、『イース』といえばアップテンポの楽曲に乗せた戦闘、なにげなく入った酒場や道具屋の軽快な音楽、物語が進むに連れ緊迫感を増す楽曲が耳に残り、物語により没入していけるものとなった。
とくに、ⅠのOP楽曲『FEENA』は『イース』シリーズの「優しさ」や神秘性、これから始まる冒険への期待など、さまざまな気持ちを掻き立てる。続編のⅡのOPでは、疾走感のある楽曲『TO MAKE THE END OF BATTLE』とともに、ⅠからⅡへつながる物語を映像として表現。ちなみに、ヒロインのリリアが振り向く姿に虜となったユーザーも当時出現するほどの仕上がりを見せた。
さらに、Ⅱが2000年に『Ys Ⅱ ETERNAL』としてリメイクされた際のOPムービーは、現在ではアニメーション映画『君の名は。』や『天気の子』などで知られるようになった新海誠監督が手掛けていることでも知られる。新海監督の特徴である空の表現はもちろんのこと、古代王国イースの過去と現在をしっかりと表現しているうえ、ブラッシュアップされた『TO MAKE THE END OF BATTLE』が映像と見事に合わさり、イースという作品へさらなる彩りを加えている。
ARPGとしては、最初期のⅠはヒントなしでクリアするには難易度が高かった。しかし、以降の作品は簡単すぎず、難しすぎずかつシンプルな操作かつ爽快感のあるアクション。シーンに合った気持ちが盛り上がる音楽。ジュブナイル小説の中に入り込んだような冒険のなかで古代ロマンを感じさせるような物語性がバランス良く混じり合い、総合的に高いゲーム性とともに、遊び終わった後に独特の余韻を残す。
そんな古代王国イースの謎を追った総決算的な立ち位置の作品となるのが2003年にリリースされた『イースVI~ナピシュテムの匣~』。本作が、2020年末にスマートフォン向けとして今年配信リリースされるとアナウンスもされており、スマホという舞台でアドルが再びどんな冒険を見せてくれるのか楽しみなところだ。