俳優・綾野剛(35)、村上虹郎(20)、前田敦子(25)、風吹ジュン(65)、小林薫(65)、柄本明(68)が15日、東京・よみうり大手町ホールで映画『武曲 MUKOKU』(監督:熊切和嘉/配給:キノフィルムズ)完成披露試写会を開いた。
『海炭市叙景』や『私の男』などの文学を実写映画化し、その作品の持つ雰囲気を最大限に引き出すことで知られている熊切監督最新作。藤沢周氏の同名作が原作で、ある事情から剣を棄てた男・研吾(綾野)と、一度死ぬような体験をして剣に出会った少年・融(村上)の対決する宿命などが、心情とともに描かれる。
綾野は熊切監督の作品に5年ぶりに出演となるが、当時は熊切組への参加に浮足立ってしまい「喜びで地に足がついていない状態だったんです」と、反省があったという綾野。そして本作へのオファーがきて、「その間の中で自分の鮮度を高めて最高の素材として突入できるようにと思っていました。撮影にインする前に、しっかり時間がとれたので、剣道練習はもちろん、肉体的な面も含めてフィジカル面も強くし、アスリートのような精神状態で現場に突入できたことで、非常にいい状態で入れたと思います」と、ベストコンディションを作り上げて臨んだという。
そんな真面目な話とともに、「トレーニングもしていたしアルコールを摂取すると筋肉の分解がすぐ始まっちゃうので、一切摂取せずやっていたのでフラストレーションみたいなものが作品の中でぶつけるつもりで臨んでいた……って、冗談ですよ」と、茶目っけもたっぷり!
村上は撮影で「ちょこちょこけがして」と話していたが、「けがをしたときに、剛さんが誰よりも早く『はい!アイシング!!』と言ってくれて、すぐ持ってきてくれて、こんなに頼りになる人いるんだと」と、感心していたそうで、綾野も「地獄のような現場だったからね」とうなずく。
しかし、綾野は「脚本を読んで、映画化のことを知っていて融っていうのは、『すごく虹郎に合ってると思うな……読む?』と言ったら、案の定小説を読んでくれてしっかり引っかかってくれて、『この役やりたいです、自分』と言ってくれて大丈夫だなと思って」と、村上に対して仕組んだことへの思いもあったようだった。
撮影で印象的だった部分へ、綾野は「体育館でアクションするシーンで、普通はカットを割るんですけど、まさかのワンカットでしびれました。事前に練習してはいたんですけどね」と、長回しで撮り切ったところを挙げていた。
ほかにも作品にちなんで、自分のライバルはという質問が挙がったが、綾野は出演しているドラマ『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系)で演じている名前が研という共通点を挙げ、「“研さん”対決だなって思って。天使のように優しい研さんが勝つか、地獄のような研さんが勝つかですね(笑)」と、ユーモアたっぷりのことを言えば、俳優・村上淳と歌手・UAを父母に持つ村上は「両親ですね。永遠の」と、言いこれには綾野をはじめ会場もうなることも。前田はAKB48時代のことを語りだしたため、綾野が「しっくりこないなと思ったら、俺がセンターに立っちゃってる」と、イジって場内を沸かせていた。
村上からは、「この作品を世界に羽ばたかせられることが嬉しいです。体感してもらえれば」と、アピールすれば、綾野は、「いろんな感情が入り混じっている作品です。その中で1つ挙げさせて頂くなら、誰しもが誰かの子供であったということです。どうしてもそういうふうに断定してしまう関係にありますが、それでも誰かの子供だったんだというのと、生きている事自体が希望であるということです。この作品を最後まで通して観て頂いたなかに、生きているだけで希望なんだなと体感して頂けると思います。それと虹郎と一緒に、渾身のアクションではなく剣道をやっています。そこを最後まで見届けてもらえたら」と、見どころとともにスピーチしていた。
映画『武曲 MUKOKU』は6月3日より全国公開!