歌舞伎俳優・中村勘九郎(35)、中村七之助(34)兄弟が15日、東京・浅草公会堂でシネマ歌舞伎『め組の喧嘩』(配給:松竹)ジャパンプレミアに登場し、司会はいとうせいこう(56)が務めた。
本作は中村兄弟の父・中村勘三郎さんが2012年5月に浅草の平成中村座にて上演した作品をシネマ歌舞伎として上映するもの。品川の町火消の「め組」鳶頭の辰五郎(勘三郎さん)と力士(中村橋之助)の喧嘩で巻き起こる騒動とそのてん末が描かれるというもの。9月15日から18日までの4日間開催する“したコメ”こと『第10回したまちコメディ映画祭in台東』前夜祭の作品となった。
勘九郎は本作が勘三郎さんの最後に出演した平成中村座作品となったことに「浅草の地で、前夜祭で上映して頂いて嬉しいですね。感無量ですよ」と、感慨深げ。
勘三郎さんは本作の辰五郎を演じることに最初は“ゴネていた”そうだが、話を聞いていくうちにどんどん乗ってきたそうで、勘九郎は「『次いつやろうか!』って言っていて」と、楽しげに思い出を。
いとうからは「次やるの?」と質問が飛んだが、七之助は「うちの父が最後に1ヶ月やった思い出の作品ですし、いつかは中村座でやれたら最高ですよね」と、希望を口にすると客席からも賛同の拍手が飛び交うことも。勘九郎もその声援に後押しされてか「(勘三郎さんが)死ぬまでに4回はやりたいと言っていたから6回くらいはやりましょうかね」と、前向きだった。
本作ラストにはお神輿も登場するド派手なもの。勘三郎さんは血が騒いでいたそうだが、勘九郎も「たまらなかったですね。途中から全部吹っ飛ぶんです(笑)。塩がかけられるんですけど、かかると『やってやろう!』って。それであまりに興奮しすぎて神輿を担ぐ肩を逆に入れていて(苦笑)」というエピソードもあるのだとか。
するといとうから、実際に浅草公会堂の前にサプライズで神輿を用意したことをアナウンス。この神輿は普段展示しているものではなく倉庫の奥に入れていることから傷んでおらず、しかも仲見世の方々100人が担ぎ手としてすでにスタンバイし道路使用の許可も取っていることが伝えられると勘九郎は「本当に浅草の人たちは(いい意味で)馬鹿ですね(笑)」と、その粋さに思わず七之助と笑いあっていた。
そして、浅草公会堂の前のお神輿の前にはあっという間に人だかりが!太鼓などの鳴り物が打ち鳴らされるなか、勘九郎、七之助も音頭をとって練り歩き、夜の時間帯ながら浅草公会堂前は熱気で騒然となり、大盛り上がりとなっていた。
シネマ歌舞伎『め組の喧嘩』は11月25日より東劇ほかにて全国公開!