女優・菅野美穂(43)、高畑充希(29)、尾野真千子(39)が5日、東京・有楽町のよみうりホールで映画『明日の食卓』(監督:瀬々敬久/配給:KADOKAWA/WOWOW)完成報告会を子役の柴崎楓雅、外川燎、阿久津慶人、瀬々監督とともに開いた。
作家・椰月美智子氏の同名作が原作。“石橋ユウ”という子供を持ち、住む場所も環境も全く違う母親3人を描く。子を持つ親なら誰もが直面する社会問題が提議される。それぞれの「石橋家」が交錯し、明るく幸せな生活が思いもよらない方向へと向かっていく……。
菅野は2011年に主演した映画『ジーン・ワルツ』以来10年ぶりに主演。そのことを司会から振られ、「10年ぶりと言って頂くと『ああもうそんなに年を取ったんだ』という気がしているんです。その間に私も子供が生まれて母親の役を頂きまして、原作を読ませて頂いて、世の中のお母さんは、みんな自分を重ねてしまう役だなと思って」と、強く共感したという。
さらに新型コロナウイルス禍直前からのクランクインとなり、「もしかしたら映画無くなっちゃうかなと思いました」という不安ととともに「自分も子供と向き合う時間のなかでのものだったので運命的な出会いと感じて、ぜひやらせて頂きたいと」と、より気持ちがこもったそうだ。
撮影で、菅野は「子供を怒らないといけないシーンがあって、そこは背筋がゾクゾクするような怒りというか。そういうのが、自分と切り離して考えられないところがあるんです。難しいもので、実際にそういう感情があってもカメラの前でいざ本番となると、自分の経験を活かせてないようなこともあって」と、うまく表現できなかったという。
すると菅野の演じた石橋留美子の息子・勇役を演じた外川は、「留美子さんは勇の前だと怒ってばっかりで怖いお母さんですけど、撮影が終わった後に、明るくフォローしてくれたり、明るく話しかけてくれてとても優しい人でした」と、明かすと菅野はロケ場所を借りられる時間がいっぱいになってしまい1発で成功させないといけないという焦りもあったことからゲンコツを勇に振るうシーンで「やっているうちに力が入っちゃって痛かったと思うんですね。それで、『えっ……?』みたいな感じで目をウルウルさせてて、悪かったなと思って。親御さんからもそんなことされたことないんだろうなと思ったりして。私の爪の跡も残ったりすることも合ったと思うし」と、ひたすら平謝りする一幕も。
さらに、菅野は「以前は親子が歩いている姿を見て、ほほ笑ましいな、ほのぼのするなと思っていたんです」と切り出した菅野は、「いや違う、それは1日のほんのわずかな時間なんだって。こんなに命を育むことが大変なのに、それができて当たり前という感じがあって。子供ができたんだから、母になって、父親で当然でしょって。実際にこんなに大変ですごいことをしているのに、誰にも何も褒められないので、なんてひどいんだ!つらいな!って思って」と、感じたことを伝えたり、「椰月さんの小説のなかで、『子供が生まれてからいままで、良かったこと、悪かったことどちらが多かったですか?と聞かれたら、悪かったことということが多かったかもしれない』という部分があってすごく共感していて。それがこの映画で表現できたらなと思っていました」と、話していた。
そして菅野から現場では一緒になることはなかった高畑と尾野の演技に敬意を払って「おつかれさまでしたとお伝えしたかったので」とあたまを下げつつ、「自分がえぐられるようなパワーのある映画です。でも、観終わった後に癒やされるというか。明日を見ようと、前を向くような力があって。素晴らしい映画になっています」と、メッセージを寄せていた。
映画『明日の食卓』は28日より全国ロードショー予定!