劇場アニメーション『映画大好きポンポさん』(監督・脚本:平尾隆之/配給:角川ANIMATION)初日舞台あいさつが4日、東京・新宿のEJアニメシアター新宿で開かれジーン役・清水尋也、ポンポさん役・小原好美、ナタリー役・大谷凜香、ミスティア役・加隈亜衣、アラン役・木島隆一、平尾監督が登壇した。
杉谷庄吾【人間プラモ】氏の原作コミックが口コミで反響を呼び、劇場アニメ化された作品。敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしている映画通の青年・ジーンが主人公。ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡され取り組むこととなったが、伝説の俳優・マーティン(CV.大塚明夫)の復帰作にして、新人女優・ナタリー(大谷)をヒロインに迎えるというものだった……。
上映後に登壇したキャスト陣。清水は念願だったという声優について「無事にきょうという日を迎えられてほっとした気持ちで胸がいっぱいです。声優の仕事は本当に初めてで、僕の中でこの作品は人生のターニングポイントとなった作品なので今本当に緊張しています。アニメは小さいころから好きだったので、アニメの世界に登場することが憧れだったんです。今回エンドロールに自分の名前があることがとても嬉しいです」と、胸いっぱいといった様子。
新人女優・ナタリーを演じ、自身も女優として活動する大谷も劇場作品での声優は初となり、「まず台本のシーン数に驚きました。実写と違いアニメはものすごい量で……」と、その違いに驚いたそうで、「私とナタリーとの共通点はおばあちゃんっ子なところです。私も思い返してみたら初めて映画館に一緒に行ったのはおばあちゃんでした。そんな思い出とかもよみがえりながらナタリーに自分を投影しつつ演じました」と、感情移入していったそうだ。
物語のキーマンであるポンポさんを演じた小原は清水・大谷との収録について「収録前、お2人は普段実写で演技されている方と知った時、すごく緊張しているだろうなと思いましたし、声だけのお芝居を聞きなりやるのは難しいところがあったと思います。私も新人の身なのであまり見守るという感じではなかったのですが、少しでも収録を終えて『大変だった』と思って終わるのではなく『楽しかった!』と思ってほしかったんです。収録最終日に2人が『終わっちゃった~!さみしい!』と言って満面の笑みで出てきたときは嬉しかったしホッとしました。でも本当に私は何もしていないんです」と、収録中の思いを。
すると、清水と大谷から「そんなことないです。その存在に僕たちは助けられていました」「まさに女神」と、感謝と称賛で返す。さらに、清水は「最終日にも自身の収録はなくとも小原さんが来てくれたんです。後ろで座って見守っててくださって、背中が温かったんです。こう、見守るパワーで……」と、作品のジーンとポンポさんの関係性のようななかでのものになったそうだ。
続く加隈はナタリーの先輩女優ミスティアの口癖、「はいにゃ~」とお茶目なあいさつから始まり、演じた役について「ミスティアはつかみどころのないキャラクターで、最初はどんな人なんだろうなと思っていたけれど、自分の見られ方をすごく理解していて、やりたいこともはっきりしている、とてもしっかりした憧れの女性です。そしてこの映画を観た後、すごく満たされたのと同時に自身の上を目指す飢えた気持ちに気づけた。いい刺激をもらえて、お互いを高めあえる作品だと思います」と、振り返った。
今回の映画オリジナルキャラクター・アランを演じた木島は加隈に乗っかり「はいにゃ~」とあいさつし笑いを誘い、「僕が演じたアランは映画オリジナルキャラクターで、原作が好きな方にとってはどうなるのだろうと不安もあったかと思います。でも、アランも良かったですよね?」と、客席に問うと観客たちから割れんばかりの拍手が起こり、歓迎ムード。「アランはみなさん誰しもそうだと思うんですけど、大人の世界に出てから絶対に挫折することってあると思うんですよね。そこで新しい目標や生き方を見つけていくことって難しい……でもジーン君と会えたことで一歩踏み出せた。出会いが人を変えていくんだ、出会いっていいなと思えました」と、作品とリンクさせて話す。
この木島のコメントを受け、平尾監督も「今回『ポンポさん』は偶然の縁が重なって重なって、ようやく完成までこぎつけられました。キャスト陣とも縁がつながって作品が作れたことを本当に誇りに思います」と完成と公開に喜びのコメント。
そして清水から「僕はこの作品の1番好きなところは、すごくキャッチーで可愛いイメージなんですけど、中で描かれているメッセージは実はきれいごとだけじゃなくて、人生ってそんなに甘くないし、夢をかなえるためには、何かを犠牲にしなければ何かを得られないという……人生にはそういう場面も必ずあるんだよ、その時に君はどうする?って語りかけてくれる作品だと思っています。僕もこのお仕事をしてきてそういう選択をする場面は何度もありましたし、そういう部分をこの映画を見て感じて、みなさんがそれぞれの感想を持ち帰っていただけたら本望です」と、メッセージを寄せ、平尾監督も「夢を追っている人、夢をあきらめかけている人への応援歌になればいいなと思って作り始めました。偶然縁が次々と重なって、完成したこの作品の縁というものを、もっと大きく広めて届けたいと思います。今日観て頂いた方にはぜひ、『ポンポさんはいいぞ』と宣伝していただけたらすごくありがたいです」と、呼びかけ温かい拍手が起こるなか、終演を迎えていた。
劇場アニメーション『映画大好きポンポさん』は全国公開中!
※記事内写真は(c)2020 杉谷庄吾【人間プラモ】/KADOKAWA/映画大好きポンポさん製作委員会